Cytiva

検索のヘルプ

Location:HomeContact

ライブWebinarでお受けした質問に対する回答をご紹介します。

ホモ3量体と抗体のカイネティクス解析を抗体キャプチャー法で実施しています。リガンド固定化量を下げてきれいなセンサーグラムが得られ、1:1 binding modelでfitting curveを取った解析も数字の上では特に問題ない結果が得られています。3量体と抗体の親和性を1:1 modelに近い条件で解析できていることを示す数字上の評価項目はあるのでしょうか?センサーグラムを見て2相性の様子が見られない等から判断するのでしょうか?長くなってしまいましたがご教示いただけると幸いです。

弊社スタッフの経験として、リガンド・アナライトを入れ替えて同等の結果が得られるかということから評価を行ったことがあります。
また、資料の11ページ「そのほか多価分子や結合様式が分からない場合・固定化量を極限まで下げると、Avidity環境ではなくなり1:1に収束」の通り、キャプチャー量を下げていくと、KD値に変化が見られなくなるところが現れてきます。このようにキャプチャ量を何点か変えて測定を行うことで1:1 binding に近い環境で測定ができているかどうか評価できます。


装なぜbivalent modelではka1kd1の値を採用するのでしょうか?(ka2kd2は何を表すのでしょうか)

はじめに、Avidity環境の中でKD値を求めるとはどういうことかというと、片手、両手で結合しているものが混在している中、片手で結合している分子だけの親和性を評価するということになります。また、片手と両手の入り混じった親和力を定義するパラメーターはこちらで認識している限りは存在しません。Bivalent Analyte モデルにおけるka1kd1は、その片手で結合している分子のAffinityを反映しているため、こちらの採用いただきます。
ka2kd2は、その正確な意味を定義することは難しく、そのため通常使い道がありません。Bivalent analyte modelは、IgGのような等価の結合部位を1分子に2つ有しているアナライトに適応されるモデルです。したがって、本来理想的な環境下では1つ目の結合部位で結合しようが2段階目の2つ目の結合部位で結合しようが、kakdは等しいはずです。それに対して、実際のモデル式の中ではka2kd2は、ka1kd1とは独立した変数として設定されています。これはセンサーチップ上の2段階目の反応はその環境として立体障害や局所濃度などの要素にも影響を受けると考えられ、それらの個々の要素を関数として記述することは不可能なため、ka2kd2という変数にまとめてしまったということになります。
このように本来正確に関数で記述することが不可能である2段階目の含んだ式がBivalent analyte modelですので、なるべく固定化量を下げて1:1に近い環境で測定することが誤差を小さくするための推奨条件になっている一つの理由です。


質問です。確かに固定化量を極限まで下げると1vs1でフィッティングしているようになりますが、二価のアナライトのアフィニティとして正しい値と言えますでしょうか。

資料の6ページ「二価の結合サイトを持つ分子の測定方法・AffinityとAvidityの違い」も参考にしてください。前提としてAffinityのパラメータであるKDkakdは、すべて1:1の環境での強さ、速さを定義する数値です。上記のご質問と同様、Bivalent analyte modelであったとしても同様に1:1であったらどうかというAffinityのパラメータを算出することになります。
こちらで認識している限りでは、Avidity環境での強さを公平に定数化するパラメータは存在しなません。Biacore™の場合でも固定化量を変えるだけでAvidity環境に変化が起こるため、統一したパラメータが取れないということになります。固定化量を揃えたうえで、レポートポイントを利用する(”見かけの”KDで評価する)などの工夫で、ある程度の評価はできるかもしれません。


single cycle法も特許などでも使われてきていますでしょうか。

Biacore™でKDを測定してそれを特許にしているものはあるようです。申し訳ありませんが、Muti Cycle法かSingle Cycle法であるかまでは、確認ができませんでした。


8KとT200のkdの測定限界の違いは、装置のどういった違いから生まれるのでしょうか?

装置の内部構造とソフトウェアの両方に違いがあります。一般的なデータポイントの取り方として、T200が平均値に対して、8K標準のInsigt Evaluation Softwareではメジアン値を採用しているため多少の違いがあります。
kdの限界に着目すると、T200で10-5であるのに対し、8Kは10-6まで測定が可能です。抗体などで非常に解離が遅いもの(30分で5RUくらいしか下がらないなど)では、装置の感度や再現性が重要になります。感度に関しては、8Kのほうが高いと言えます。


スライド19⑤の右側の残差プロットはどういう現象が起きている時に見られるのでしょうか?

フィッティング計算はChi2値が最小となるように実行されますが、フィッティングカーブに対してもとのセンサーグラムが大きくズレている状況です。資料19ページの残差プロットでは、解離相でフィッティングカーブよりもセンサーグラムがやや右肩上がりになる傾向と考えられます。選択したモデル式やRIをConstant=0にするなどのパラメータ設定が適切であるにもかかわらず偏りが大きい場合、実際の反応を十分に反映したセンサーグラムになっていないと考えられます。その場合、リガンドの固定化量、アナライト濃度レンジ、結合の特異性、再現性などが適切であるかといった観点からセットアップの見直しが必要となります。


実測Rmaxが理論Rmaxを超えている際は,非特異的な結合があるという認識なのでしょうか。この見方はX100でやったことなかったです。

実測Rmaxが理論Rmaxを超えている際は、その結合が部位特異的ではなく、目的部位以外にもアナライトが非特異的に結合してしまっている場合や、そもそも結合様式が異なっている場合があります。


スライド18に示されたFitting結果の信頼性評価は8Kでも可能でしたでしょうか?

Biacore™ Insight Evaluation Software v3.0以降であれば、1:1bindingによるフィッティング後、Quality controlタブからご覧いただけます。最新のソフトウェアはこちらからダウンロード可能です。


kd1は解離フェーズのおおよそ何秒くらいまでを反映しておりますでしょうか

アナライトが2価の場合の解離相のセンサーグラムでは、全ての領域において、kd2までの影響を含んだ形状を反映しています。二相性の形状が見られた場合、解離初期の方が純粋なkd1に近い形状を反映しておりますし、後期になればなるほどkd2の影響をより高く受けた形状になっています。


8Kにおいても余計なセンサグラムをremoveすることはできますでしょうか。

可能です。EvaluationタブのSensorgramが表示されている画面右上Chart Settings(歯車アイコン)から、Removeしたい領域のあるセンサーグラムをアクティブ(水色)にして、二本の線で挟まれる領域を選択後、Remove rangeを選択すると実施できます。


結合相をremoveする場合、何秒ぐらい解析に残すのが良いでしょうか

1:1 dissosiationに関するご質問でよろしいでしょうか。こちらのモデル式では、センサーグラムの結合相に対してフィッティングを行いませんので、すべて除いていただいて構いません。


off-rateランキングは抗体よりも相互作用の弱いタンパク質にも使用可能ですか?

低分子のような箱型のセンサーグラムでなければ実施は可能です。


proteinAチップを使用して抗体をキャプチャーしてカイネティクスを求める場合リファレンスセルは何が適当ですか

アクティブセルにのみ抗体をキャプチャーして、リファレンスにはなにもキャプチャーさせない方法が一般的です。


固定化量を下げることで1vs1フィッティングになるというスライドで、もっとも固定化量を下げたところで得られたセンサーグラムはノイズが目立っていましたが、例えばあの結果だけをもって得られたカイネティクスパラメーターは真値だと言っても大丈夫でしょうか。

資料の26ページ「パラメーターは良さそうだけれど。。。Chi2値」にもある通り、Biacore™の現行モデルであればRmax=数RUという固定化量で測定するケースは多いです。ギザギザしたセンサーグラムであっても、n=2のセンサーグラムやブランクの再現性を確認いただき、測定系として再現性が高いものであれば信頼性のあるデータと評価できます。
また、固定化量を漸減していった時のKD値が収束しているようでしたら、真値に近い値をとっていると理解されても良いかとは思いますが、最終的には研究者の方のご判断になります。
Ondemand Webinar 「正しいBiacore™データ、取れてますか?~失敗例を見てみましょう!~」 も是非ご紹介ください。


二価のアナライトをbivalent analyte modeで解析して得られたka1kd1を1vs1解析で得られるであろうkakdと同等にアナライト間の比較に使うことはできますでしょうか。

理論的には可能です。
手法論が異なることに関して第三者から(例えば論文査読などにおいて)指摘を受けるかもしれませんので、特にBivalent analyte modelの解析ではその信頼性保証をきちんと取られたうえで説明できるようにご準備をされた方が良いかもしれません。


お問合せフォーム

※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。