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バイオダイレクトメール vol.38 細胞夜話
<今、昆虫が熱い!>

今回は暑い夏に活発に活動する昆虫の培養細胞を取り上げます。昆虫の体は全体が体液に満たされており、気管を通じて体液と外部環境との間で酸素や炭酸ガスを直接やり取りをしています。そのため、組織や器官が体液の中で浮いている状態にあります。つまり体自体が培養時の状態に酷似しているのです。そのせいか昆虫細胞は培養株にしやすいといわれています。そして、昆虫の培養細胞はタンパク質の合成能力が高く、また大腸菌やヒトの培養細胞と比較しても多くの利点があるため、タンパク質の製造工場としての役割を期待されています。

insect cell

ほ乳動物と昆虫の培養細胞の違い その1~ 分裂回数

昆虫細胞は無限に細胞分裂を繰り返すことができるので、正常細胞から培養細胞を確立することができます。ヒトをはじめとするほ乳動物細胞は約60回で分裂が終了するため、培養細胞にするにはがん化させるしか手がありません。

ほ乳動物と昆虫の培養細胞の違い その2~ 生育環境

ほ乳動物の培養細胞はCO2インキュベーターが必要です。なぜなら培養の過程で培養液がアルカリ性に移行するためです。アルカリ化を防ぐため、高濃度の炭酸ガスの中で細胞を培養して培地をpH7に保ちます。一方昆虫細胞を培養すると培養液は酸性になります。代謝の過程で生じる有機酸を細胞が培地に放出するために酸性化がおこります。ですから昆虫細胞の培養ではCO2が必要ありません。

ほ乳動物と昆虫の培養細胞の違い その3~ 生育温度

一般的に知られるように昆虫は変温動物です。ですからほ乳動物より低い25 ℃前後の室温程度の温度で生育します。しかも18~29 ℃と広範囲の温度での培養が可能です。また、20 ℃ぐらいの温度では細胞が死なない、しかも増えないということが知られています。つまり、学会などでしばらく研究室をあけるときでも20 ℃にしておけば継代の必要がないのです。

タンパク質の製造工場としての利点(大腸菌との比較)

昆虫培養細胞でも、ウイルスを用いてベクターを細胞内に導入し、タンパク質を合成することが可能です。
一般に、大量のタンパク質を得るためによく使用されるのは大腸菌です。しかし、大腸菌に目的のタンパク質を大量に作らせるとアグリゲーションをおこし、精製できないことがよくあります。対して昆虫培養細胞では、作ったタンパク質は生理活性を持ったまま体液中に放出され、アグリゲーションの心配をすることなく大量にタンパク質を作らせることができます。

昆虫株の例

昆虫の培養細胞ではハスモンヨウ近種のSpodoptera frugiperda(ヨウトガ)から確立されているSF株が有名です。Spodoptera frugiperdaはハスモンヨウ近似種のヨウトガという「蛾」です。ヨウトガの成虫は羽を広げると3~4 cmの大きさになります。羽の色は灰色と茶色で、三角の白い模様が羽の先端と中央にあるのが特徴です。汎用されているSF9やSF21はメスのさなぎの卵細胞から確立されたIPLB-Sf-21-AEに由来しています。高い発現能力を持つバキュロウイルスに感染させることができるためタンパク質や薬剤を大量に生成する系に用いられます。現在でも昆虫-ウイルス系を用いて医薬品、診断薬などの製造が進められています。

Note

  • 昆虫培養細胞はタンパク質の製造工場として注目が集まっています。
  • 昆虫培養細胞は28 ℃、CO2なしの条件でも培養できます。
  • 昆虫培養細胞株で有名なSF株はハスモンヨウ近似種Spodoptera frugiperdaのさなぎの卵細胞から確立されました。

参考文献

  1. Vaughn JL et al. In Vitro. 13(4), 213-7 (1977)
  2. 昆虫バイオ工場 木村滋編著 工業調査会

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