バイオダイレクトメール vol.16 Technical Tips
<二次元電気泳動ゲル上のスポットのpIを推定するには?>
今回は、二次元電気泳動ゲル上のスポットのpIを知る方法をご紹介します。
ureaなどを用いた変性条件で市販のpIマーカーを泳動した場合、各マーカータンパク質は本来のpIと異なる位置に泳動されてしまします。そのため変性条件下では、タンパク質サンプルと一緒にpIマーカーを泳動することができません。
この問題を解決するには2つの方法が挙げられます。1つはpIマーカーを泳動せずにImmobiline™ DryStrip中のpH勾配を測定したグラフデータから読みとる方法です。この方法について詳しくはこちらのFAQ(製品Q&A)をご覧ください。
もう1つの方法は、一次元目電気泳動用(等電点電気泳動用)Immobilie DryStripにpIマーカーのみを非変性条件で泳動し 『pI ものさし』 を作製する方法です。二次元電気泳動したゲルのとなりに 『pI ものさし』 を置けば、タンパク質サンプルのpIを推定できるというわけです。Immobiline™ DryStripは、pH勾配がゲル中に固定されているうえ、再現性に優れているためこのような方法を利用できます。
Immobiline™ DryStripに泳動したpIマーカーの位置からスポットのpIを推測します。
『pI ものさし』 作製方法
【必要なもの】
(1) 泳動
* Immobiline™ DryStripのpH範囲に合わせて選択します
(2) 染色
- 固定液:20% TCA
- 洗浄液:30% メタノール、10% 酢酸
- 染色液:0.02% CBB、30% メタノール、10% 酢酸、0.10% 硫酸銅
- 脱色液:30% メタノール、10% 酢酸
- 保護液:10% グリセロール
- セロファンシート
(3) 機器
【方法】
- Immobiline™ DryStripの膨潤、泳動は通常どおりに行います。
- 泳動が終了したゲルを直ちに固定液に入れ、30分以上振盪します。
- 洗浄液に交換し、30分間振盪します。
- 染色液に交換し、1時間振盪します。
- 再び脱色液に交換し、バンドとバックグラウンドの差が明瞭になるまで脱色します。
- 保護液に交換して30分以上振盪し、超純水に浸したセロファンシートで覆い乾燥させます。
そのまま乾燥させるとよじれてしまうので、Gel Band PAG Film(80-1129-36)またはOHPフィルム、ガラス版などにゲルを載せてセロファンシートで覆って乾燥させてください。
2003.09.09