ÄKTAcrossflow™
- 高性能メンブレンろ過システム
ÄKTAcrossflow™は、クロスフローメンブレンのスクリーニングやプロセス開発に適した全自動ろ過システムです。25 ml~数lまでの小スケールでの自動処理が可能で、実験室レベルのタンパク質精製に適しています。ベンチトップにすっきり収まるコンパクトなデザインで、精密ろ過から限外ろ過まで幅広い用途に利用できます。
ÄKTAcrossflow™は、バイオ医薬品メーカーと共同開発した最新のÄKTA™designシリーズ製品で、UNICORN™制御を採用したメンブレンろ過システムです。このシステムはÄKTA™designで実績のある各種コンポーネントで構成され、信頼性、適応性、拡張性にすぐれています。UV、pH、電気伝導度のモニターと、エア、圧力、温度のセンサーが付属しています。電動式ダイヤフラムバルブの採用により、ユニット内に残留する液量が少なく、デッドボリュームは最小限です。コンパクトで場所をとらないベンチトップ型システムは幅広い用途に対応でき、ホローファイバーメンブレンカートリッジとフラットシートカセットのどちらも使用できます。
迅速で確実な自動処理
UNICORN™制御により、検出データをモニターし、データをリアルタイムにとらえたり、メソッドウィザードを使って簡単にメソッドを作成することができます。UNICORN™によるクロスフロー処理の制御と自動操作、データ評価で、クロスフローろ過のプロセスをすべて自動でこなすことができます。
ÄKTAcrossflow™の導入により、プロセス開発にかかる作業時間を大幅に削減できます。マニュアル操作で数週間かかる作業が、UNICORN™を使えば数時間で可能です。データをコンピューターに入力する際に起こる人為的ミスを防ぐこともできます。さらに、UNICORN™は効率的なデータ評価ができ、プロセスの完全なトラッキングやドキュメンテーションが可能です(図1)。UNICORN™は、21 CFR Part 11を含め、該当するあらゆる規制に準拠しています。
図1. UNICORN™による厳密な制御とデータ処理
サンプルの失活を最低限に
ÄKTAcrossflow™は貴重なサンプルを最大限守ります。3台の高精密定量ポンプで多様な流量・粘度条件に対応でき、流量計は不要です。ポンプはせん断力を最小限に抑えたデザインを採用し、傷つきやすい細胞にもダメージを与えません。さらに、ポンプヘッドからサンプルへの熱伝導が少ないので、冷却の必要がありません。フィードポンプにはポンプヘッドが4個あり、デリケートなサンプルを600 ml/min以下の流量で脈動なく穏やかに循環します。トランスファーポンプと透過ポンプは流量200 ml/minで脈動のない送液が可能です。
サニタリーデザイン
サニタリーデザインのポンプヘッドは、汚染やポンプの破損を防ぐ自己洗浄機能を備えています。バルブユニットにもサニタリーデザインが取り入れられ、耐薬品性にすぐれたEPDMメンブレンを使用しています。ユニット内に残留する液量を最小限にするため、バルブブロックにはマルチプルバルブが含まれています。システムを効果的に洗浄するために1M水酸化ナトリウム(NaOH)を使用します。微生物添チャレンジ試験を実施し、コロニー形成単位(CFU)を100万分の1(log 6)に減らすという米国薬局方(USP)第27版の要求条件を満たすことを確認しています。
作業効率を上げるために
UNICORN™制御システムを搭載したÄKTAcrossflow™システムは、膜間差圧(TMP)管理や流量管理など、限外ろ過や精密ろ過で重要なプロセス制御モードに対応しています(図2)。この制御モードに、フィードポンプの各種設定(供給流量、供給側圧力、差圧(ΔP)、循環側流量、シェアレート(せん断速度))を組み合わせることが可能です。また、UNICORN™制御システムは、循環側(未透過)液量、濃縮倍率、ダイアフィルトレーション希釈交換倍率、透過液量などのプロセスパラメータをリアルタイムで報告します。
図2. TMPスカウティングによる濃縮/ダイアフィルトレーションプロセスの最適化で得られた生データ
100 g/lと200 g/l BSAを使用。
UNICORN™/OPCネットワーク機能により、フレキシブルなプロセスデザインと徹底したプロセス管理が可能です。ÄKTApilot™システムがBioProcess™システムへのスケールアップが可能なように、ÄKTAcrossflow™システムもUNICORN™制御の製造スケールシステムへスケールアップが可能です。UNICORN™により、小スケールから製造スケールまでを包括的にサポートします。
精製プロセスをつなぐÄKTAcrossflow™
クロマトグラフィー操作の自動化における弊社の長年に渡る経験とノウハウがクロスフローろ過に生かされ、定評あるUNICORN™制御システムによって包括したプロセスソリューションが実現しました。図3は、ÄKTAcrossflow™システムとÄKTA™explorerシステムを組み合わせたプラスミド精製プロセスを紹介したものです。
図3. ÄKTAcrossflow™とÄKTA™explorerを組み合わせたプラスミド精製ワークフロー
プロセス開発スケールでは、ÄKTAcrossflow™システムとÄKTA™explorerシステムの組み合わせにより1回の操作でプラスミドDNA 100 mgを精製することが可能です。製造スケールでは、UniFlux™システムとÄKTAprocess™システムの組み合わせで数kgのスーパーコイルプラスミドDNAを生産可能です。
まとめ
ÄKTAcrossflow™はろ過プロセスに小さな革命を起こしています。UNICORN™制御システムを導入することでろ過プロセスを自動化し、プロセスの徹底管理を可能とすることで、わずか数時間で結果を得られるようになりました。
参考文献
データファイル
ÄKTA™crossflaw automated cross Flow filtration for process development, カタログ番号:11-0032-71
パンフレット
ÄKTAcrossflow™ Putting the "brain" into membrane screening, カタログ番号:11-0034-87