ÄKTA™が生産スケールの
クロマトグラフィーに登場
ÄKTA™design精製システムは、研究室やパイロットスケールでの精製におけるあらゆる課題を解決できるシステムとして、全世界で何千人もの科学者たちから認められています。このたび、そのÄKTA™プラットフォームを採用したÄKTAprocess™を生産スケールの精製に導入しました。
ÄKTAprocess™のデザインは、開発中に検証済みであり、個々のプロセスの要件を満たすようにユーザー側で設計できる仕組みになっています。(図1)。ÄKTAprocess™は一貫してUNICORN™コントロールシステムを採用しているため、信頼性、柔軟性に優れており、ÄKTA™explorerやÄKTApilot™で開発したプロセスをスケールアップする際には最良の選択肢のひとつとです。ÄKTAprocess™はユーザーによるカスタマイズに対応できるだけでなく、製品化されたスタンダードシステムとして、納期の早さ、ドキュメントの充実、スペアパーツの在庫など、すぐれたサポートを提供することが可能です。
多彩なユーザー設計
図1. ÄKTAprocess™の流路設計 ユーザー側で設計をカスタマイズすることが可能
ÄKTAprocess™は何千もの選択肢を有する多彩なプラットフォームです。4 L/hrから大量生産用の1800 L/hrまでの流速を網羅し、4~180 L/hr、13~600 L/hr、45~1800 L/hrという3種類の範囲を用意しています。また、ÄKTAprocess™はフィードバックループ技術により、任意の流速でグラジエントを展開するよう設定することができます。この技術により、気泡を含まずに溶液と溶媒を混合し、その結果複雑なグラジエントでも2 %以内の誤差精度で作製することができます。
UNICORN™ソフトウエアは1台のシステムのコントロール用のみならず、工場内のコントロールシステムに組み入れることもできます。詳細設定の例としては、追加のインレットおよびアウトレット、モニターの種類と数量、アイソクラティックとグラジエント機能の選択などがあります。システムコンポーネントの多くは後から追加および取りはずしができるため、投資対効果を最大にし、要求に合わせたプロセス条件への調整が可能となります。
ÄKTAprocess™はコンパクトなデザインながらコンピューターを内蔵しており、スクリーンとキーボードは使いやすいようにコンソール上に設置されています。このため不必要に作業エリアが散らかる心配もありません。USBおよびイーサーネットポートにはキャビネットを開けずに容易に接続できます。
ニーズに合った材質を採用
ÄKTAprocess™は、現在市販されているクロマトグラフィーシステムで唯一、接液部に米国薬局方(USP)Class VIに適合する追跡可能な材質を採用したシステムです。お客さまのプロセス条件や工場要件によって、電解研磨済みのステンレス鋼またはポリプロピレンで組み立てることができます。ポリプロピレンシステムでは、モノクローナル抗体製造のような低pH(<4)・高塩濃度(>0.5 M)での処理を考慮し、流路の接液部にはステンレス鋼部品を使用していません。ポリプロピレンシステムの耐圧は6 bar、ステンレス鋼システムの耐圧は10 barで、Capto™やMabSelect™といったあらゆる低圧用担体を効果的に使用することができます。
サニタリーデザイン
ÄKTAprocess™は1 M 水酸化ナトリウムでの洗浄を簡便かつ効率的に行うための多くの特徴を備えています。接液部品はすべて交換可能で、システムを各キャンペーンに使用する場合の交差汚染を防ぐことができます。UNICORN™により定置洗浄(cleaning-in-place、CIP)を自動化、またエアトラップに新しいデザインを採用し、CIPがより効率的になりました。洗浄性の試験では、高濃度のSaccharomyces cerevisiae(1×106 CFU/mL)を負荷した後、本システムを1 M 水酸化ナトリウムで洗浄すると生菌数は100万分の1に減少、効率的な洗浄が行えることが確認されました。
バリデーション可能なUNICORN™ソフトウエアによる管理
UNICORN™ソフトウエアはクロマトグラフィーと膜分離の両方に共通して使用できるおなじみのインターフェースを採用しており、効率的なプロセス管理、精製メソッドの柔軟なプログラミング、広範囲にわたるデータ評価のほか、優れたレポート作成が可能です。このÄKTAprocess™には、改善され、コスト効率のよいプロセスセキュリティが標準となりました。また、コントロールユニットであるCU 960により、システムコンピューターとUNICORN™との通信が途絶えた場合でもプロセスが続行できるようになりました。
まとめ
ÄKTAprocess™はバイオ医薬品の大量製造に適した自動化システムで、短い納期でユーザー設計に対応できる柔軟性、信頼性のある材質やシステムコンポーネントの採用など、さまざまな利点を兼ね備えています。また、3種類の流速範囲のシステムを用意しており、配管材質はポリプロピレンまたはステンレス鋼での設計が可能です。購入後もお客さまのご要望に沿ったコンフィギュレーションの追加が可能なので、長期にわたる投資メリットがあります。また、Fast Trak™ のValidationサービスでは、実際の製造ラインで使用する前に要求される、システムの適合性を確認するための規制対応文書の作成、およびサポートを行っています。ぜひあわせてご活用ください。