ULTA™全量ろ過フィルター(normal flow filter)導入によるろ過製品ラインの拡充
Cytivaでは、全量ろ過(normal flow filtration)製品を加え、医薬品開発、バリデーションおよび製造プロセスのいずれのステップおよびスケールに対しても、総合的なバイオプロセス用途に適したソリューションとサポートをご提供できるようになりました。
Cytivaは、バイオ医薬品業界において水溶液の分離、精製用にクロスフローろ過カートリッジ、カセットおよびシステムを25年間提供してきた歴史があります。この度、ULTA™全量ろ過フィルター製品を導入することにより、この製品ラインを拡大します。
バイオ医薬品の精製には、一般にクロスフローろ過(CFF)またはデッドエンドろ過( NFF)とクロマトグラフィー分離技術を組み合わせて使用します。両方のろ過技術は、いずれも多孔性担体で夾雑物を除去してバイオプロセス溶液の精製ができますが、それぞれ特有の利点があります。デッドエンドフィルターが使用されるのは一般に、ろ過する溶液中の不溶性物質含量が比較的低く、下流の操作を保護または円滑にするための清澄化、さらにバイオバーデン除去が必要な場合や無菌的に最終ポリッシングを行う必要がある場合です。クロスフローフィルターは、ろ過する溶液中の不溶性物質含量が高く、粘性が高い場合や細胞あるいは目的物の濃縮および精製する場合に適しています。目的が複数ある場合は、Cytivaのろ過専門家が、お客さま固有の操作に最適な組合せをご紹介いたします。
クロスフローメンブレンの機能:
フィード溶液は膜表面に平行に移動し(クロスフロー)、ろ液(透過液)はメンブレンを通過します。粒子や凝集体のほとんどはクロスフローの掃引の働きによってフィルター表面から取り除かれます。
全量ろ過またはデッドエンドフィルターの機能:
フィード溶液はメンブレンに対して垂直に移動し、ろ液はメンブレンを通過します(ろ液)。粒子および凝集体は「フィルターケーク」として残り、時間が経つにつれ流速が落ち、また圧が増加します。
クロスフローろ過
Cytivaの分離用カセットおよびカートリッジはクロスフロー操作用にデザインされています。シングルパスすなわちデッドエンド(normal flow)ろ過とは異なり、クロスフローでは、フィード溶液をメンブレン全体にわたって再循環させることにより、継続的に膜表面を掃き出します。このようにすることにより、膜の目詰まりを最小限にし、安定した長期間の生産性維持に役立ちます。すなわち、必要に応じて、ユニットを洗浄、保管そして再使用することが可能です。
ポンプでフィード溶液をカセットまたはカートリッジに送っている間、残留物、言い換えるとメンブレンを通過できずに残った物質は循環し続け、一方、溶媒や溶質を含む透過液はメンブレンを通過し、別々に回収されます。
全量ろ過
Cytivaはこの度、開発段階初期からフルスケールでのバイオプロセスろ過製造までを網羅した、プロセス効率の向上をサポートする全量ろ過製品を取り揃えております。全量製品が適用される操作の例:
・ クロマトグラフィーカラムの保護 ― クロマトグラフィーカラムに添加する直前にバイオバーデンおよび粒子を除去
・ 清澄化 ― 一連のプレフィルター製品により回収率損失を最小限にし、安定した性能を提供
・ バイオバーデン除去 ― 個々のアプリケーションにおける要求事項を満たす幅広いメンブレンおよびデプスフィルター
・ 液体の滅菌 ― ハイフローメンブレンフォーマットを採用したフィルターによりろ過システムを小型化、バリデーションおよび完全性試験要件も完備
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ULTA™全量ろ過フィルター製品
保護用フィルター
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ULTA™ Prime CGフィルターカートリッジおよびカプセル
広範囲のpHならびにフィード溶液条件においてバイオバーデンおよび粒子残留量を一定に制御できるよう、特別にデザインされています。カプセルおよびカートリッジの両方とも、熱接着構造とプリーツ状のポリエーテルスルホン(PES)メンブレンで構成されているため、溶出物レベルが低く、洗浄が短時間で済むデバイスとなっています。
<用途>
・ カラムガード-クロマトグラフィーカラムに添加する前のバイオバーデンおよび粒子の除去
・ 滅菌フィルターの保護-滅菌グレードフィルターにかける前の溶液のプレフィルトレーション
・ 一般的なバイオバーデン管理-無菌を担保する必要がない場合におけるバクテリアの除去 -
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プレフィルトレーション |
ULTA™ Prime GF水溶液用フィルターカートリッジ
水溶液、培地および生物学的製剤の清澄化、安定化およびバイオバーデンの除去に使用されています。これらのフィルターは夾雑物の保持能力を有し、ポリプロピレンフィルターと比較して非常に優れた流量が得られます。ULTA™ Prime GFフィルターカートリッジは親水性であるため、gravity fedシステムにも適しています。
<用途>
・ 組織培養液およびタンパク質溶液などバイオ医薬品のプレフィルトレーション
・ 血清および動物用ワクチンなどの生物学的製剤
・ 最終メンブレンフィルターの保護
・ バッチや少量のプロセス向き
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ULTA™ Prime PP水溶液用フィルターカートリッジ
バイオ医薬品分野における清澄化およびプレフィルトレーションに使用されています。いずれも幅広い化学耐性を有するポリプロピレンで構成されているため、ULTA™ Prime PPカートリッジは特に腐食性の高い薬剤や粘性のある溶媒のろ過に適しています。
<用途>
・ バイオバーデン除去
・ バッファー、水、培地およびアルコールのプレフィルトレーション
・ 血清および組織培養液の清澄化
・ 実験室向けディスポーザブルプレフィルトレーション -
・ その他の溶液の滅菌ろ過
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その他の NFFフィルター
ULTA™フィルター製品の品揃えは他の製品へも広げている段階であり、新製品もまもなく揃う予定です。詳細は弊社ウェブサイトをご覧ください。
以下の表に、用途に適したフィルター選択に役立つ情報をまとめました。
NFF/CFF選択ガイド
| NFF |
CFF |
MF range |
× |
× |
UF range |
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× |
High solids processing |
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× |
Moderate to low solids |
× |
× |
Concentration |
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× |
Disposable |
× |
× |
Recirculation required |
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× |
Clean & reuse |
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× |
Air applications |
× |
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Aseptic environment |
× |
× |
Sterile application |
× |
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Integrity testable |
× |
× |
Validation guides |
× |
× |
Self-contained available |
× |
× |
Steam-in-place |
× |
× |
Autoclavable |
× |
× |
Diafiltration |
|
× |
NFFフィルター範囲
| Prefilters |
Bioburden Reduction* |
Flat Disc |
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Syringe filters |
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× |
Capsules |
× |
× |
10” Cartridges |
× |
× |
20” Cartridges |
× |
× |
30”Cartrdiges |
× |
× |
Column Guard |
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× |
0.1μ |
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0.2μ |
|
× |
0.45μ |
|
× |
0.65μ |
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|
1.0μ |
× |
|
3.0μ |
× |
|
5.0μ |
× |
|
10.0μ |
× |
|
222 Connection |
× |
× |
226 Connection |
× |
× |
* to 5 Logs