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ÄKTAcrossflow™によるフィルター洗浄条件の評価

CSL Biopharmaは1952年より続く、血漿由来治療用医薬品のオーストラリア国営の血漿分画企業です。血漿はオーストラリア人ボランティアからの献血によるもので、オーストラリア赤十字の血液サービスが回収し、アルブミン、IgG、凝固因子などの必須製剤の製造に用いられています。CSL Biopharmaはニュージーランド、香港、マレーシア、シンガポール、台湾の各地域で回収された血漿を有償で分画するサービスも行っています。

CSL Biopharmaの施設は、オーストラリア、ビクトリア州ブロードメドーズにある、唯一の最先端クロマトグラフィー法による血漿分画施設です。このタイプの施設としては商業スケールで唯一であり、世界でもっとも洗練された血漿分画施設のひとつです。

評判の高いバイオ医薬品メーカーと同様、CSLは製造プロセスの重要な因子が信頼性と費用対効果であることを理解しています。そのため、CSL BiopharmaのDr. Joseph Bertolini率いる研究開発チームは、水酸化ナトリウム(NaOH)によるクロスフローフィルターの洗浄プロトコールについて、流速の最大化およびフィルター寿命の延長を目指して、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を加えて改善する検討を行いました。

フル製造時のシミュレーション

バリデーション要件上、製造変更の妥当性を証明する重要な部分のひとつは、クロスフローフィルターのNaOClへの化学的適合性の確認です。これを行うために、このチームのメンバーであるDr. Owen Tatford, Dr. Chor Sing Tan, Gerard Seneviratneはフル製造をした場合、研究室での1年間のカセット洗浄サイクルにかかる時間をシミュレートしました。ひとつのカセットはNaOHのみで50洗浄サイクルを行い、もうひとつのカセットではNaOHにNaOClを加えたもので50洗浄サイクルを行いました。カセットの完全性は、水透過性能(NWP)試験で評価しました。

通常、手作業でクロスフローフィルターの洗浄サイクルを100回行い、メンブレン性能を確認し、データを評価するには、数ヶ月を要します。しかしながら、Cytiva・オーストラリアとの協力により、CSLチームはこの仕事に取組む際に、ÄKTAcrossflow™システムを使用できました。

UNICORN™が技術移転を手助け

ÄKTAcrossflow™システムはUNICORN™ソフトウェアで制御するクロスフローろ過のワークステーションです。このシステムでは、センサーのデータやリアルタイムのパラメーターの動向を、監視・記録できます。結果はすべて自動的に保存およびレポートされるので、試験中にで実施する多くの実験結果を処理するのに最適です。

このチームのメンバーはÄKTAcrossflow™システムを直接使用した経験はありませんでしたが、ÄKTA™クロマトグラフィーシステムの使用経験は豊富でした。Dr. Chor Sing Tanは必要なメソッドのプログラムがすぐにできました。「研究室の他のシステムをUNICORN™で制御した経験があったので、我々のプロジェクトのフィルトレーションのメソッドを簡単に書くことができました。」とDr. Tanはコメントしています。

5日間で50サイクル

このプロジェクトは期限が決まっており、CSLチームは迅速にこの実験を進めなくてはなりませんでした。「まずNWPを3洗浄サイクル毎に行い、フィルターの完全性を評価しました。しかしながら、その後10洗浄サイクル毎に1回のNWPで十分であると確信しました。この洗浄を昇温条件下で行うため、ウォーターバスのタイマーをセットし、ÄKTAcrossflow™の運転を開始して、研究室を離れました。このシステムは夜の間に無人でプログラムされたサイクルを終了し、、ウォーターバスのヒーターはタイマーで電源が切れました。翌朝、ÄKTAcrossflow™をNWP試験のために使用し、さらに洗浄サイクルを続けました。手動のシステムを使用していたら、この期限内でこのサイクルを繰返すことは不可能だったでしょう。」とDr. Tatfordは説明しました。「3サイクル毎にカセットをテストした場合、50サイクルには30日必要でしたが、10サイクル毎にテストをすることによって、同じことを5日間で達成することができました」

NaOClの使用をサポート

この研究では、両方の洗浄プロトコールにおいて、NWPをCSLの製造範囲内に維持し、カセットの完全性が損なわれないかを測定しました。このデータは製造プロセスでNaOClの使用ができるかについて判断を下すのに貢献しました。

ÄKTAcrossflow™を評価研究に使用する利点をDr. Tatfordは以下のようにまとめています。「ÄKTAcrossflow™は我々の目的を達成するための鍵となりました。ÄKTAcrossflow™を動かし、我々のしたいことをプログラムし、そして放っておきました。この評価およびメソッドウィザードは素晴らしい。」

人物写真
Dr. Chor Sing TanとDr. Owen Tatford、ÄKTAcrossflow™の前で


CSL Biopharma

CSL Biopharmaはオーストラリア、メルボルンに本社を置くCSL Limitedの一部です。CSLグループには以下が含まれます。

  • Immunohaematologyを含むCSL Bioplasma
  • CSL Biotherapies
  • CSL Plasmaを含むCSL Behring

このグループの主な施設は、オーストラリア、ドイツ、スイス、米国にあります。CSLには27ヶ国で9000人の従業員がいます。
CSLの主要ビジネスは、研究開発、血漿製剤、ワクチン、医薬品です。


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