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お客さまインタビュー:中外製薬株式会社 製薬本部 製薬研究部 秋山 智洋 様
抗体医薬品の開発は、海外はもちろん、最近では日本国内でも大手製薬メーカーの参入が進み、急速に進展しています。その中で開発競争も激化しており、開発パイプラインをいち早く上市することを各社が目指しています。抗体医薬品では、特に生産系の構築や治験薬製造が開発のスピードを左右する大きな要因になっており、生産能力の向上が課題となっています。AxiChrom™カラムはこれらの抗体精製における課題解決に対応した大型精製カラムです。 AxiChrom™の導入までAxiChrom™カラムをお知りなったきっかけをお聞かせください。AxiChrom™カラムの正式発売前より貴社から紹介いただいていて興味がありました。 AxiChrom™カラムを導入した理由をお聞かせください。以前はBPGカラムで十分でしたがカラムの大型化を検討することになり、カラムサイズがマニュアルで充填できるサイズを超えてしまうことがわかりました。そこで、再現性のよい、自動充填できるカラムを導入することになりました。 カラムの機種選定ポイントはどのような点でしょうか?ひとつは、担体に負担がかからないよう、スラリー化した担体の導入がマイルドであることです。アダプターを下げて担体を押したり、担体を吹き付けたりして充填する方法の場合、充填時に担体に直接応力がかかるなど、ダメージを与える可能性があります。AxiChrom™カラムは充填時に担体にストレスがかかりにくい設計であることがポイントでした。実際に充填するのは、充填しやすい担体のみでなく、硬い担体や、粒径が細かい担体などさまざまな種類の担体を想定していますので、なるべくマイルドに充填できることが望まれます。さらに、いろいろな状況に対応できる、応用性、汎用性が広いことも重要です。AxiChrom™カラムは、プログラム化された自動充填(インテリジェントパッキング)だけでなく、マニュアルパッキングと同じような充填方法もできることがよいところです。 また、メンテナンス性も重要です。旧タイプの自動充填カラムは、メンテナンス時に上部アダプターを外す必要があり、重量物を吊り上げることによる危険な作業が伴いました。またアダプターを外すのに、ホイスト*式クレーンが必要であったため、作業場所の制約がある上に、人数がいないと作業ができませんでした。 *モーターを使って重量物を持ちあげる装置 その当時は、アダプターを取り付けるのも大変だったのではないですか?水平に取り付けるのが大変でした。パッキンのシールがきついカラムはとても難しく、ガラスの筒に力がかかり、割れるリスクがありました。また、ガラスのチューブとシールがくっついてしまって、ホイストで吊り上げた時にカラム全体が持ち上がることもありました。アダプターを外すこと自体、とても大変な作業でした。 それまで御社での大型精製カラムの充填について、どのような点が課題だったのでしょうか?特定の担体の充填がうまくいかないことがある、パッキングステーション(充填機)が大きい、バルブ操作が複雑であるなどが課題でした。
AxiChrom™カラムを導入して、何が変わったかAxiChrom™カラムの使用目的・用途をお聞かせください。バイオ医薬品である抗体の開発に使用しています。 充填操作で特に注意にしているのはどんな点をお聞かせください。マニュアルパッキングの場合は、充填方法によって充填性能*に差がでることがあり、その時々にいろいろ対応していました。他社製の担体では、沈殿しやすいためスラリー導入時のスピードアップが重要でした。 *理論段数、非対称性など 一方AxiChrom™カラムを導入してからは、これら充填についてのノウハウが必要なくなりました。 カラム内部のエア抜きはいかがですか?いろいろ試しました。BPGカラムのアダプター直下のエア抜きについては、実験室がびしょびしょになるので、大変でした。BPGカラムの場合は、メッシュ*をはめるのも大変でした。 *カラムの上下に設置するネット(ベッドサポート) AxiChrom™カラムの場合、自動的に効率よくエアを取り除くことができ、非常に楽です。ただ、充填の最初の段階でエアが入りやすいので、それだけは気をつけなくてはいけない点だと思っています。またカラム上部が可変なので、スラリー濃度に気をつけないと、ベッド高がばらつく可能性があります。ただし、そこだけ気をつければ問題ありません。 AxiChrom™カラムで改善された点はどんなところでしょうか?まず作業時間です。自動充填カラムになって、充填作業が短時間で可能になりました。充填そのものも、スラリー調製を含め、少人数・短時間で完了します。またアンパッキングも自動的に短時間にできます。そのおかげで、安心して充填ができるので、スケジューリングがしやすいです。 アダプターがゲル面と接触したのを自動的に感知するのも、使いやすいポイントです。ポンプを使わず、上部アダプターの上下運動をモーターでデジタルコントロールしているので、間違いが起こりにくいです。非常時は、アダプター動作が自動で止まるのを見て、安全設計になっていることを実感しました。 スウィングアウト機能*はどう思われますか?*カラム円筒部分を動かす機能便利なのですが、スウィングする方向に他のものを置けないので、設置の際にはその分のスペースを考慮すべきです。設置場所については、システムのインレット、アウトレットの位置および天井の高さを特に確認する必要があります。 自動パッキング機能であるインテリジェントパッキングを使ってみてのご感想をお聞かせいただけますか?マニュアルで充填していたときに比べ、確実に成功率が高く、作業性も上がっています。アシンメトリー(非対称性)が一定していて、安定して充填できるようになりました。作業者の作業時間はマニュアルパッキング時と比較してかなり短くなりました。 どのような担体を充填している、または充填する予定ですか?貴社製の担体はもちろん、他社製のシリカやセラミック系の担体も充填する可能性があります。実際には充填条件は試してみないといけませんが、AxiChrom™カラムは小スケールから大スケールまで揃っているので、小さいカラムでシミュレーションできるのがよいと思っています。AxiChrom™カラムは充填のメカニズムが理解しやすいので、どんな担体でも検討しやすいと考えています。 カラムの洗浄性については、どのようにお考えですか?今までも問題になったことはないですし、AxiChrom™も問題ないです。 その他、便利だと感じているところや、注意すべきところがあれば、お聞かせください。これまでのカラムは、アダプターの上面に液や担体が残ることがありましたが、AxiChrom™カラムはアダプター上部に液や担体が残らない構造になっているのがよいです。 ただし、スラリーインレットをどう洗浄するかが課題です。アガロース担体*は問題ないですが、セラミックやシリカ系の沈降しやすいクロマトグラフィー担体は残りがちです。マニュアルでの洗浄や除去、またポンプで担体を導入した場合は、ポンプのダイアフラムに残った担体の除去が大変です。 *Sepharose™、Capto™など、当社が主要なバイオプロセス担体に採用している基材 その他ご要望はございますか?実際に問題にはなっていませんが、インレットのポートが小さいので、陰圧で担体を導入するときの担体への負担が心配です。インレットのポートを大きくしていただけるとよいと思います。 また、AxiChrom™マスターの電源をオフにした時に、モーターの回転方向の情報が残るようにして欲しいです。電源をオンにしたときに、思った方向と逆に回ったことがあるので、改善してもらえるとよいと思っています。 当社より:現在はモーターの設定記録方式を変更し、対応が完了しています。 この度はご協力いただき、ありがとうございます。いろいろ現場からの実務に基づいたご意見をおうかがいでき、大変参考になりました。ぜひ今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。 (2010年9月、中外製薬株式会社 浮間事業所にて) お問合せフォーム※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。 お問い合わせありがとうございます。 |
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