ヒト血清サンプル溶液中に含まれるアルブミンとIgGを除去することで、その他のタンパク質の検出感度・解析精度上げることができます。抗体を結合させた担体を使用しているため、除去効率が高いことが特徴です。
【データ紹介】 1件
- 横浜市立大学木原生物学研究所 植物工学部門
森田 敦 先生
横浜市立大学木原生物学研究所 植物工学部門
森田 敦 先生
Albumin and IgG Removal Kit を使用した感想
- ヒト血清サンプルを本キットで処理することにより、アルブミンおよびIgG(heavy chain, light chain)由来スポットが効果的に除去され、タンパク質分離がかなり改善されていることが確認できた。
- 本キットでのサンプルの顕著なロスは認められず、高い回収率であることがわかった。
- アルブミンの分解物も除去していると考えられる。
- キットの操作は非常に簡単であった。
実験1. Albumin and IgG Removal Kit 処理血清の二次元電気泳動による解析
[サンプル]
1) 未処理血清
健常人血清 30 µl を15μl×2本としてアセトン沈殿を行い、rehydration buffer* 400 µl に再溶解した。
2) Albumin and IgG Removal Kit 処理血清
健常人血清 30 µl を15 µl×2本としてプロトコールに従って処理し、アセトン沈殿を行った後、rehydration buffer* 400 µl に再溶解した。
* rehydration buffer :
7M urea, 2M thiourea, 4% CHAPS, 50 mM DTT, 0.5% IPG Buffer pH 3-10, BPB
[実験条件]
一次元目等電点電気泳動
Immobiline™ DryStrip pH 3-10NL, 18 cm/Ettan™ IPGphor™
二次元目SDS-PAGE
12.5% ポリアクリルアミドゲル(Laemmli法)
染色
CBB-R250
実験1. 結果 (下記画像をクリックすると拡大表示されます)
未処理血清 |
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Albumin and IgG Removal Kit処理血清 |
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- ヒト血清サンプルを本キットで処理することにより、アルブミンおよびIgG(heavy chain, light chain)由来スポットが効果的に除去され、タンパク質分離がかなり改善されていることが確認できた。
- 本キットでのサンプルの顕著なロスは認められず、高い回収率であることがわかった。
実験2. Albumin and IgG Removal Kit 処理により消失したタンパク質のスポットの同定
実験1 でAlbumin and IgG Removal Kit 処理により消失したタンパク質のスポット、合計7個(図内 A ~G)について、ペプチドマスフィンガープリンティング法による同定を試みた。
[実験条件]
解析したスポット
未処理血清 Albumin and IgG Removal Kit 処理血清(参考)
タンパク質の同定
実験1の未処理血清の二次元電気泳動ゲルよりスポットを採取し、In-gel digestionを実施した。ここで得た消化ペプチドをZipTip™* µC18にて脱塩、精製し、マトリックス試薬と混合後、MALDI TOF-MSにて質量分析を行った。得られたペプチドマスフィンガープリンティング分析結果をMS-fit にて照合し、タンパク質を同定した。
* ZipTip™はMillipore™ Corporationの登録商標です。
実験2. 結果 (下記画像をクリックすると拡大表示されます)
未処理血清 |
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Albumin and IgG Removal Kit 処理血清 |
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- A~Gのすべてのタンパク質は血清アルブミン前駆体とマッチした。
- これらは二次元電気泳動ゲル上では別の場所に独立したスポットとして分離されていたが、すべてアルブミンの分解物やその修飾タンパク質の可能性が考えられる。
- Albumin and IgG Removal Kit ではこれら分解産物も認識して除去していると考えられる。