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IN Cell Analyzer 2000を用いたマウス常在腹腔細胞の貪食能の測定

はじめに

IN Cell Analyzer 2000は細胞のさまざまな生命現象を高速にイメージングし、そこから得られる生化学的情報を迅速に定量できるシステムです。ここでは免疫細胞の貪食能を測定するため、マウス常在腹腔細胞を採取後、オプソニン化した蛍光ビーズを貪食させ、IN Cell Analyzer 2000で測定を行いました。その結果、ウェル内のすべての細胞の撮影、細胞数の測定、および貪食能の測定について自動で行うことができ、目視で観察するより、解析の時間の短縮が可能であることが分かりました。また、高倍率の撮像では、ビーズの個数、内部局在などの測定も可能であることが示唆されました。

 

IN Cell Analyzer 2000で撮影した細胞画像
図1. IN Cell Analyzer 2000で撮影した細胞画像
細胞内に蛍光ビーズが取り込まれた様子が確認できます(左)。また、高倍率レンズ(右)を用いることで個々のビーズも確認できます。
緑:オプソニン化した蛍光ビーズ

 

使用した製品

  • IN Cell Analyzer 2000 Large Camera
  • IN Cell Investigator(システム付属の画像解析ソフトウェア)

方法

  1. マウスの腹腔から常在腹腔細胞を回収しました。
  2. 細胞数をそろえて96 Well-plateに細胞を播種しました。播種密度は0.75×105 cells/wellで行いました。
  3. 各wellにオプソニン化した蛍光ビーズを加え、蛍光ビーズを貪食させました。
  4. 5時間 および16時間経過した時点でwell内の細胞を4%パラフォルムアルデヒドで固定しました。
  5. IN Cell Analyzer 2000にて測定しました。
  6. IN Cell Analyzer Investigatorを用い画像解析を行いました。

結果

ウェル全体(Whole well)の撮影を行うため、ウェルを16分野に分割し対物レンズ×10を用いて撮影を行いました(図2)。得られた細胞画像を元にIN Cell Analyzer Investigatorで細胞を自動的に認識させ、ウェル内の総細胞数とビーズを貪食した細胞をカウントしました(図3)。5時間および16時間インキュベーションした細胞群を比較すると、貪食している細胞がインキュベーション時間に従って大きく増加しました(図4)。

 

対物レンズ×10を用いたwhole well scanと拡大画像
図2. 対物レンズ×10を用いたwhole well scanと拡大画像
96 wellプレートでは16視野で1 well全体の撮影が可能です。
A:透過光で撮影した16視野を並べた画像
B:1視野の画像(位相差と蛍光画像の重ね合わせ)
C:Bの一部拡大画像

 

ビーズ添加後5時間インキュベーションしたサンプルの画像
図3. ビーズ添加後5時間インキュベーションしたサンプルの画像
96 wellプレートでは16視野で1 well全体の撮影が可能です。
A:透過光で撮影した16視野を並べた画像
B:1視野の画像(位相差と蛍光画像の重ね合わせ)
C:Bの一部拡大画像

 

インキュベート時間による貪食能の変化
図4. インキュベート時間による貪食能の変化
96 wellプレートでは16視野で1 well全体の撮影が可能です。
インキュベート時間が長くなるのに比例して貪食が見られた細胞が増加したことが分かります。

 

続いて、高倍率の性能の検証のため対物レンズ×60を用いて撮像しました。得られた画像よりビーズを個々に認識できるようになり、貪食したビーズの個数や内部局在などの測定も行えることが示唆されました(図5)。

 

ビーズ添加後5時間インキュベーションしたサンプルの画像
図3. 対物レンズ×60の画像(5時間インキュベーション)
(1):蛍光画像
(2):蛍光ビーズを認識させた画像(赤枠囲み)
(3):蛍光ビーズと位相差像の重ね合わせ
(4):蛍光ビーズを認識(赤枠囲み)
対物レンズ×60を使用すると、ビーズ1つ1つを確認することができます。高倍率で撮影することにより、細胞ごとに取り込んだビーズの個数、ビーズの細胞内局在などを測定できます。

 

まとめ

  • IN Cell Analyzer 2000を用い、マウス腹腔から回収した常在腹腔細胞の貪食能を測定できました。
  • 位相差像と透過光画像から細胞の認識を自動で行うことができました。
  • 対物レンズ×60を用いることにより、細胞ごとに取り込んだビーズの個数、ビーズの細胞内局在などの変化を測定することも可能であると示唆されました。

 

サンプルご提供

信州大学大学院 医学系研究科 循環病態学講座
桜井 敬之 先生、新藤 隆行 先生


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