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Amersham™ ECL™ Gel 水平型電気泳動システム

Amersham™ ECL™ GelおよびAmersham™ ECL™ Gel Boxは、タンパク質用の水平型ミニゲル電気泳動システムです。ゲルは標準Laemmli(Tris-Glycine)バッファーとの併用が可能で、品質保証期間が製造より12ヵ月と長くなっています。Amersham™ ECL™ Gelはサンプルを、再現性よく分離し、標準的なタンパク質検出プロトコールで十分な機能を発揮します。タンパク質をこのゲルから高い効率で転写できるため、Amersham™ ECL™ウェスタンブロッティングのワークフローに組み込むと便利です。

  • 組み立て不要な水平型電気泳動システム
  • ゲルの均一性が高いため、再現性のある結果の取得に
  • 製造後12ヶ月も安定なのでストックが可能
  • ゲルは壊れにくく、電気泳動後の検出ステップでの取扱いに便利
  • Amersham™ ECL™ Gelカセットにはゲルの取り出しとカットに必要なものが全て含まれます

Amersham™ ECL™ Gelシステム(図1)は使いやすい設計になっています。水平型なのでサンプルを添加しやすく、バッファーは少量ですみ、バッファーチャンバー間の漏れリスクがありません。自作ゲルとは異なり、Amersham™ ECL™ Gelは再現性が高く、調製に必要な時間が短く、有毒なアクリルアミドへの曝露を避けられます。

図1
図1 Amersham™ ECL™ Gelシステム:ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)用のプレキャストゲル、ゲルボックスおよびプレミックス泳動バッファー使用の水平型システム。

Amersham™ ECL™ Gelには、15、10、2ウェル型のホモジニアスゲル(10%、12%)とグラジエントGel(4 ~ 12%、8 ~ 16%、4 ~ 20%)があります。SDS-PAGE用の10倍濃縮泳動バッファーのほか、ウェスタンブロッティングに使用するプレカットしたHybond™メンブレンもご用意しています。
ゲルにはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が含まれていないためNative-PAGE、SDS-PAGEの両方に対応可能です。

サンプルの適用とゲルの取り扱いが容易

Amersham™ ECL™ Gelシステムは、アガロースゲルDNA電気泳動と同等の使いやすさでPAGEを行える設計となっています(図2)。
縦型電気泳動システムとは異なり、水平型のシステムはゲル表面が見やすく、電気泳動の全体像や添加後のサンプルの観察が容易です。

電気泳動後の処理を行うために、ゲルをゲルカセットから簡単に取り外せます。Amersham™ ECL™ Gelの厚さは他の多くのプレキャストゲルや自作ゲルよりも若干厚い1.4 mmですので、取り扱いが簡単で、ゲルが壊れるリスクが低く、流動後の処理に便利です。このゲル厚により、予備電気泳動で添加できるサンプル量も増え、2ウェルゲルではウェル当たり最大100 µlです。

図2A
図2A Amersham™ ECL™ Gelはプラスチックカセットにしっかりと梱包してお届けします。カセットをAmersham™ ECL™ Gel Boxにセットします。ウェル上のコームを外してサンプルを添加できるようにします。
図2B
図2B 水平型なので、サンプル添加操作を無理なく効率的に行え、また電気泳動の全体像を把握できます。
図2C
図2C カセットを開けるツールとしてコームを使用できます。他のツールは必要ありません。
図2D
図2D 流動後カセットの上端を使用して余分なゲルを取り除きます。

ゲルの性能:高い品質保証期間

Amersham™ ECL™ Gelは、製造から12ヵ月間品質を維持しています。図3に示すように、保存期間にかかわらず一貫した結果が得られます。

A
図3A
B
図3B
図3 同じロットの4 ~ 12% Amersham™ ECL™ Gel 2枚を使用し、時期を変えて電気泳動を行いました。
A = 製造直後のゲルを使用した結果。
B = 12ヵ月間保管した同じロットのゲルを使用した結果。

ゲルの性能:分離能と感度

PAGE後、ゲルの全タンパク質染色を行うことでタンパク質を検出できます。もっとも広く使用されている染色色素はクーマシーブルー色素ですがDeep Purple Total Protein Stainなどの蛍光染料試薬を用いると感度が向上します。
以下に示す例では、HeLa細胞の全可溶化液と精製トランスフェリンについてSDS-PAGEを実施しました。電気泳動後、Deep Purple Total Protein Stainおよびクーマシーブルーでゲルを染色しました(図4)。どちらの染色でもタンパク質サンプルに対する高い分離能があることが分かり、Amersham™ ECL™ Gelはウェスタンブロッティングや純度分析などの分析手法に適していることがわかります。

図4
図4 未精製サンプルと精製サンプルをAmersham™ ECL™ GelによるSDS-PAGE後に(A)Deep Purpleまたは(B)クーマシーブルーで染色。

手法に合ったゲルの選択

Amersham™ ECL™ Gelは、SDSを含まないプレキャストゲルです。そのため、泳動バッファーとサンプル溶解バッファーの組成を選択することで、ユーザが分離条件を選択することができます。
高分子量のタンパク質をPAGEで分離するにはポリアクリルアミド密度が低いゲルが必要ですが、分子量が比較的小さいタンパク質の分離にはポリアクリルアミド密度が高いゲルが必要です。分子量が広範囲にわたる複数のタンパク質を分離するには、グラジエントゲルが適しています。Amersham™ ECL™ Gelにはさまざまな濃度のものがありますので、サンプル中のタンパク質の予測サイズに従って最適なゲルを選択します(図5)。

図5
図5 相対的なバンド移動パターン。この図は、特定の分子量を持つタンパク質がAmersham™ ECL™ Gel中で移動して到達すると予測される相対的位置を、ゲルの濃度別に示しています。Amersham™ ECL™ Gelの一般的な分離時間は1時間です。

ヒト血漿から得たIgGの純度の評価

液体クロマトグラフィーシステムÄKTApilot™を用いたヒト血漿由来IgG精製工程の各段階のサンプルでSDS-PAGEを行いました(図6)。PAGE後、ゲルをDeep Purple Total Protein Stainで染色しました。液体クロマトグラフィーのフラクショネーション後のタンパク質純度分析にAmersham™ ECL™ Gelが十分な分離能をもっていることが分かりました。

図6
図6 IgG精製工程の血漿画分をDeep Purple Total Protein Stainで染色したもの。IgGの濃縮と精製の過程を、供給源の血漿プール(レーン1)から精製IgG(レーン14)まで追うことができます。レーン7と11で泳動させた画分は、それぞれアルブミンとトランスフェリンがどこでIgGと分離されるかを示しています。

カラム内切断効率の評価

この実験では、2種類のプロテアーゼの活性と切断効率を比較しました。green fluorescent proteinと結合させたGlutathione S-transferase(GST-GFP)をサンプルとして使用しました。GST-GFPをGST SpinTrap™に結合させ、数回洗浄した後、プロテアーゼAまたはプロテアーゼBを加えました。
溶出した純粋なタグのないGFPの全体的な収率はどちらのプロテアーゼでも約60%で、Amersham™ ECL™ Gelを用いたSDS-PAGEでの移動パターンも同等でした(図7)。

図7
図7 GST-GFP-Hisのカラム内切断後溶出画分のSDS-PAGE。
矢印はGFPの位置を示します。
レーン1:出発物質(GST-GFP-His)。
レーン2 ~ 4:プロテアーゼAによる切断後の溶出液。
レーン5:LMW-SDS Marker Kit。
レーン6 ~ 8:プロテアーゼBによる切断後の溶出液。
レーン9:プロテアーゼA使用時のGST SpinTrap™からのフロースルー。
レーン10:プロテアーゼB使用時のGST SpinTrap™からのフロースルー。

ウェスタンブロッティングとAmersham™ ECL™ Gel

SDS-PAGEはウェスタンブロッティング前にタンパク質を分離する方法としてもっとも広く使用されています。Amersham™ ECL™ Gelからの転写は効率が高く、一般にタンパク質量の95%程度をメンブレンに転写できます(図8)。Amersham™ ECL™ Gelを使用することで高感度のウェスタンブロッティングに適した条件が得られ、またこのゲルはAmersham™ ECL™ PrimeおよびImageQuant™ LAS 4000イメージャーの使用に合わせて至適化されています。

図8
図8 LMW-SDS Marker Kitに含まれている2種のタンパク質のPVDFメンブレン上の量(セミドライ式転写後)とAmersham™ ECL™ Gel中の量(セミドライ式転写の前後)。タンパク質はメンブレンに効率的に転写し、ゲルに残るタンパク質は少量です。

ウェスタンブロッティング:翻訳後修飾を定量する

p38は細胞の分化とアポトーシスに関与するマイトジェン活性化タンパク質キナーゼで、リン酸化による調節を受けます。ここで、HEK 293T細胞を形質転換増殖因子-β(TGF-β)に曝露した例を示します。Amersham™ ECL™ Gelで細胞可溶化液のPAGEを行った後、ウェスタンブロッティングを行ってp38とリン酸化p38(pp38)の濃度を経時的に評価しました(図9)。ハウスキーピングタンパク質GAPDHの濃度で標準化した後、pp38の相対的定量を行いました。

図9
図9 HEK 293T細胞をTGF-βで刺激した後のp38とpp38の定量的ウェスタンブロッティング分析。データは、スウェーデン、ウメオ大学のMarene Landström教授のご厚意によります。

p38はTGF-βによる刺激に対して30分後に反応しリン酸化しました。電気泳動の結果よりpp38のシグナルのピークが120分後にあるように見えます。しかし、GAPDHシグナルに対し標準化した結果は、pp38量のピークは120分後ではなく30分後にあることを示しています。その後、TGF-βの存在下でpp38はリン酸化された状態を保っています。

ここに示したウェスタンブロッティングの結果は、Amersham™ ECL™ Gelを使用することでタンパク質の転写と分析に最適な条件が得られ、タンパク質発現のわずかな変化や翻訳後修飾を精密に定量できることを示しています。

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