Dr. Klausの診断アッセイ開発ガイド
血液分離でデプスフィルターがどのように機能するか?
Dr. Klaus Hochleitner
Global Lead Technical Product Specialist, Cytiva
※本コンテンツの前編である、「Dr. Klausの診断アッセイ開発ガイド:血液分離の課題と解決方法」もぜひご覧ください
血液分離は、多くの診断アッセイの重要なサンプル調製です。 赤血球および白血球を除去することにより、赤色の着色が減少し、DNAなどの細胞内物質がおよぼすアッセイへの影響を排除することができます。
血漿中のアナライトを測定する診断アッセイは、分離のためにフィルターを使用することが多く、特にデプスフィルターが頻繁に利用されています。
デプスフィルターはどのように血液粒子の分離に機能するか
デプスフィルターは、フィルターの表面および内部の両方に粒子をトラップすることによって機能します(図1A)。大きい粒子は表面上に残り、より小さな粒子は繊維メッシュ内に閉じ込められます。この緩やかなろ過効果は、ろ過材の詰まりを低減し、迅速なろ過および高い粒子負荷での使用を可能にします。
ガラス繊維マトリックスを有するフィルターは、血液分離アッセイでの使用に適しています。これらは様々な厚さで利用できるため、アッセイに必要な血液量に合わせた厚さで使用することができます。ガラス繊維には赤血球がガラスの表面に結合し、繊維の周りに巻きつくというもう一つの利点があります(図1B)。
図1A
図1B
※図1:デプスフィルターによる粒子の分離。(A)フィルターの表面に残っている最大の粒子。 (B)ガラス繊維に結合している赤血球。
血液分離フィルターの性質
溶血は、赤血球が破裂して内容物(最も重要なヘモグロビン)が血漿中に放出されたときに起こります。これが起こると、血漿が赤色に変わり、確実に読み出して判断することがより困難になります。
血液分離には、フィルターの面積とフロー(サンプルの流れ)の方向性が重要です。必要とされるフィルター面積は、予想されるサンプル量に大きく依存します。少量サンプルの場合、ホールドアップボリュームを最小にするためにより小さい面積が望ましく、逆に大量サンプルの場合は目詰まりを防ぐために大きな表面積が必要です。
フローの方向には、バーチカル(垂直)、ラテラル(水平)、およびコンポジット(複合)の3種類があります。
バーチカルフロー(図2A)では、血液サンプルのフローはフィルターの上から下に向かい、サンプルはフィルターマトリックスを通過する際に分離されます。
良い点:高速分離が必要な大量の用途に適しています。
懸念点:ろ過効率および血清回収率が低く、診断アッセイにおいて誤った結果を生じる可能性があることです。
ラテラルフロー(図2B)は、いわゆる「ディップスティック」アッセイの原理です。このタイプのアッセイでは、検査オペレーターはフィルターの一部に血液サンプルを浸します。サンプルがフィルターマトリックスを通過する際に、細胞と血漿を分離します。
良い点:少量の試料を含むアッセイに適しています。通常、これらのアッセイは効率が高く、血清回収率は一般に85%を超えます。
懸念点:サンプル量が100μLを超えると容易に詰まり、ろ過速度はしばしばバーチカルフローよりも遅くなります。
コンポジットフロー(図2C)は、垂直方向の分離段階とそれに続く横方向の分離からなります。コンポジットフローでは、フィルターは上部にサンプル添加用の開口部があるカセット・ハウジングの内側にあります。サンプル添加後、サンプル溶液はフィルターマトリックス内に垂直に移動し、次にマトリックスを横切って移動します。
良い点:バーチカルおよびラテラルの利点を併せ持つため、高いろ過効率とサンプル回収率という特長を備えており、且つ標準的なディップスティックアッセイよりも大きなサンプル量にも対処できます。
図2A
図2B
図2C
※図2:3つの血液分離法。 (A)バーチカルフロー、(B)ラテラルフロー、(C)コンポジットフロー
どのデプスフィルター素材を使用すればよいかわからない場合
私たちの専門家チームが、あなたのアッセイに最も適している材料を提案し、診断アッセイの開発に伴う可能性がある問題の原因と解決方法を探すお手伝いをします。ぜひ、Cytivaライフサイエンスのバイオダイレクトラインにご相談ください。