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ラテラルフローアッセイ(LFA)のトラブルシュート
塗布前のメンブレンの取り扱い、およびWhatman™ LFA用メンブレンの使いこなし

はじめに

ラテラルフローイムノアッセイは、シンプルなデバイスを用いて迅速に結果を得ることが可能なアッセイです。一方で、一つのデバイスは複数のコンポーネントから構成され、且つ複数の試薬を使用しているため、多くのパラメーターがデバイスの性能に関与します。それらパラメーターのすべてが互いに少なからず影響を及ぼしあうため、1つのアッセイコンポーネントや試薬を僅かに変えただけでも、アッセイ系全体が影響を受けてしまい、トラブルシュートは複雑になりがちです。

また、化合物名や素材名として同一であっても、製造業者が異なれば特性は異なる場合があります。これは特に反応用メンブレンに当てはまります。製造業者ごとに使用する原料、ポリマー組成および湿潤剤は異なり、製品仕様も異なります。素材の製造業者を変更する場合、少なからずアッセイパラメーターを調整する必要があります。

ここでは、テストデバイスのアッセイ結果が望ましくない場合、問題点は何なのか、またどのような解決法が考えられるかについて、部材の使いこなしの観点から個々の問題について複数回に分けて順にお話ししていきたいと思います。

ラテラルフローイムノアッセイで生じることがある主な問題点

  • 塗布前のメンブレンの取扱いとWhatman™製メンブレンの厚みと取扱注意点
  • 太すぎるライン、細すぎるライン
  • シグナル強度が低いテストラインまたは拡散したテストライン
  • 太さが不均一なライン、ラインが途切れる
  • 白抜けするテストライン、二重線、縞模様のテストライン
  • 偽陽性シグナル、偽陰性シグナル
  • フロー先端が直線ではない、島状にメンブレンのぬれない部分が残る、流速が遅い、アッセイ時間が掛かりすぎる
  • メンブレンにコンジュゲートが残る、メンブレンバックグラウンドのムラ
  • コンジュゲートの逆流
  • 保存安定性

塗布前のメンブレンの取扱いとWhatman™製メンブレンの厚みと取扱注意点

メンブレン上へのキャプチャーラインの塗布は、シグナルの強度を決定する最も重要な要素の1つであり、テストの機能性と有用性を決定します。十分な濃度でシャープなバンドを確実に塗布できる能力を得ることは、イムノクロマトグラフィーストリップの開発において克服しなければならない最初の主要な課題の1つです。

タンパク質(例えば抗体)をメンブレンに塗布する際、重大な影響を及ぼす可能性がある要素として、主に下記が挙げられます。

  • 塗布装置および設定
  • 湿度の影響
  • 塗布を行うメンブレン
  • 抗体・塗布バッファーの濃度、組成
  • 乾燥条件

塗布前のメンブレンの取扱い(湿度の影響)

ニトロセルロースメンブレンに対する相対湿度の影響は数多く検証されていますが、一般的な環境下では、ニトロセルロースは大気と比較的迅速に平衡化するため、メンブレンの含水量は、それを取り扱う環境に依存します。可能な限り再現性を高めるには、メンブレンを取り扱う環境の湿度を一定に保つ必要があります。

ニトロセルロースメンブレンの最適な塗布時の温度および湿度条件は、室温:18~22℃、相対湿度:40〜60%(理想的には45〜55%RH)です。また、湿度が高すぎるより、湿度が低すぎる場合の方が大きなリスクを伴うため、相対湿度が40%RHを大幅に下回ってしまった場合、抗体塗布を行うには加湿して湿度を上げることが望ましいと言えます。

ただし、抗体塗布を行う前のメンブレンが未開封の元の包装内に密閉されている限り、保管場所の相対湿度は重要ではありません。

メンブレンにテストラインを塗布する前に、メンブレンを塗布を行う環境の空気と平衡化する必要があります。平衡化に必要な時間をどのくらいに設定すべきかは、実際に塗布を行ってばらつきが少なくなる時間、となります。

塗布時の低湿度環境は、特に非接触型の塗布装置を用いる場合、得られるテストラインに大きな影響を与えます。水滴は通常負電荷を帯びているため、低湿度環境で塗布したときにメンブレン上で弾かれる場合があります。これによって「サテライトスポット」が形成されます。極端な場合、大半の水滴は直線的に進まないため、ラインが断続的に途切れます。一方、極端な高湿度環境では、塗布されたタンパク質の流速が極めて速くなり、結果として拡散し、通常よりテストラインの幅が広がる可能性があります。(図1)

図1.塗布時の湿度がテストラインに与える影響

塗布環境の湿度条件を最適にコントロールすることは、メンブレンへ抗体を塗布する前に最初に対処すべき課題です。

Whatman™製メンブレンの厚みと取扱注意点

「ニトロセルロースエステルメンブレン」として素材名が同一であっても、製造業者が異なれば特性は異なる場合があります。製造業者ごとに使用する原料、ポリマー組成(硝酸エステル化された置換基の割合や、硝酸エステルとともに酢酸エステルなど置換基の導入等)、メンブレンの厚みや公称孔径および湿潤剤(界面活性剤の種類、添加方法、添加量)は異なり、製品仕様も異なります。

このため、ニトロセルロースメンブレンの製造業者を変更する場合、少なからずアッセイパラメーターを調整する必要があります。同一の製造業者の同じシリーズのメンブレンの場合であっても公称孔径が大きく流速の速いメンブレンの方がラインは広がりやすくなります。

Whatman™のラテラルフロー用のメンブレンは表1の様にいくつかの種類があります。Whatman™のバッキングのあるメンブレンには、ラテラルフローアッセイ用のニトロセルロースメンブレンとして一般的な厚さが130 µm程度の製品FFHP Plus Thickファミリーの他に、より薄い100 µmの厚さのFFHPファミリー、FFHP Plusファミリー、Immunopore™ファミリーがあります。厚み120-150 µm程度のメンブレンに塗布していた量の抗体を厚さ100 µmのメンブレンに塗布すると、従来よりも幅広のラインとなる可能性があります。その場合、塗布量を従来よりも減らして塗布することにより、目的の太さに調整できます。(図2)従来のメンブレンに対して1 μL/cmで抗体を塗布していた場合には、FF80HP/HP Plusは0.6-0.9 μL/cm、FF120HP/HP Plusは0.7-0.9 μL/cm、FF170HP/HP Plusは0.8-0.9 μL/cmで試してみてください。また、可能であれば塗布スピードを少し遅めにします。塗布条件が最適化できれば従来よりも少ない抗体量で、一般的な暑さのメンブレンと同等の感度を得ることができるメリットがあります。FFHP Plus Thickシリーズをご検討いただく場合は従来と同様の塗布量からお試しください。

図2. Whatman™のラテラルフローアッセイ用メンブレンの塗布溶液の広がり方

表1. Whatman™のラテラルフロー・イムノアッセイ用メンブレン

製品グレードキャピラリーライズ(1)(秒/4 cm)孔径(2)(μm)厚さ(3)(μm)特徴
ポリエステルのバッキングのあるメンブレン(直接成形)
FFHPシリーズ ロット間差、ロット内差を抑えるため、製造工程を見直した新しいタイプのラテラルフローアッセイ用メンブレンです。
FF80HP 60-95 15 200
FF120HP 90-140 10 200
FF170HP 140-185 6 200
FFHP Plusシリーズ ロット間差、ロット内差を抑えるため、製造工程を見直した新しいタイプのラテラルフローアッセイ用メンブレンです。FF HPシリーズとは界面活性剤が異なるタイプです。
FF80HP Plus 60-95 15 200
FF120HP Plus 90-140 10 200
FF170HP Plus 140-185 6 200
FFHP Plus Thickシリーズ ロット間差、ロット内差を抑えるため、製造工程を見直した新しいタイプのラテラルフローアッセイ用メンブレンです。FFHP Plus Thickは、FFHP Plusと同じ界面活性剤を使用したメンブレンが厚い新しいシリーズです(バッキングを含む厚さ約235 µm)。
FF80HP Plus Thick 60-95 15 235
FF120HP Plus Thick 90-150 10 235
FF170HP Plus Thick 130-210 6 235
Immunopore™シリーズ 親水化処理を施したメンブレンです。優れた感度、一貫性および保存性を提供します。
Immunopore™ RP 85-115 8 200
Immunopore™ FP 110-150 5 200
Immunopore™ SP 160-220 3 200
PRIMA 極めて速い流速のメンブレンで、より速いアッセイが可能になります。感度はわずかに低くなりますが、最速で結果が得られます。
PRIMA 40 35-55 15-18 200
バッキングのないメンブレン
AE 純度100%のニトロセルロースメンブレンで、低バックグラウンドと広範囲のフローレートを可能にします。
AE100 90-120 12 120
AE99 120-160 8 120
AE98 160-210 5 120

(1)キャピラリーライズタイムは1 cm幅のメンブレンを立てて蒸留水が4 cmまで上がる時間の測定値です。血清およびその他の液体の場合、この数値と異なります。
(2)公称孔径
(3)直接成形メンブレンの厚さには、ポリエステルバッキングシートの厚さ100 μmが含まれます。

 


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