2019-07-30 13:10:00
日頃ÄKTA™をかわいがって頂いている皆さま。また、これからかわいがっていただく皆さまに、今回はサンプルのロスについてお届けします。
特に少量サンプルをアプライするゲルろ過の時を思い出して下さい。
「あれ??アプライしたサンプル量に比べてピークが小さいなぁ。」なんてご経験がないでしょうか。
今回のお話はもしかすると「今更言うなよ!」という衝撃的な内容になるかもしれません・・・
インジェクションバルブを使うクロマトシステムはインジェクションバルブとサンプルを溜めておくサンプルループでサンプルをロスしています。
ÄKTA™の場合、インジェクションバルブ自体でロスするボリュームが 10 μl あります。精製系クロマト装置の中ではダントツに優秀な数値です。
一方、サンプルループでも使い方によっては大切なサンプルをロスしてしまう場合があります。
例えば、100 μl のサンプルループに 100 μl のサンプルをインジェクションし、サンプルアプライ時には 100 μl のバッファーでサンプルループからサンプルを押し出したとします。
この場合、サンプルの一部はサンプルループ中に保持されず、さらにサンプルループから全てのサンプルをカラムに移動できていない。というダブルでロスしている可能性があります。
サンプルループは一本のPEEK Tubeです。
チューブ壁面の液体は流れにくく、チューブ中心の液体ほど流れやすくなります。川の流れを想像していただけるとそれに近いです。
容量XのサンプルループにX量のサンプルを打ち込むと、「図1」のようになり、実はサンプルはちょっと漏れている場合があります。
図1:
同様に、サンプルループに溜めておいたサンプルをカラムにアプライする段階で、ループにバッファーを流す時にも同じことが起こります。(図2)
図2:
ゲルろ過に持っていくサンプルは大抵、精製が進んで貴重なサンプルです。
ロスを最小限にするためには、ボリュームXのサンプルループに1/2Xのサンプルを打ち込み、カラムへのサンプルアプライ時には2X以上のバッファーで押し出すと安心です。