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ECL Plex™ 蛍光ウェスタンブロッティングを使った多重検出アプリケーションECL Plex™は蛍光色素で標識した二次抗体を用いて、ウェスタンブロッティング検出を行うためのキットです。蛍光イメージャーが必要ではあるものの、操作の簡便さ、蛍光を使うことでしかできないアプリケーションの数々など、研究の幅が広がります。今回は、ECL Plex™の基本的な特徴から目的タンパク質と発現量コントロールをとるためのタンパク質の同時検出についてご紹介いたします。 ECL Plex™とは?ECL Plex™とは、CyDye™蛍光色素で標識された二次抗体を用いた、ウェスタンブロッティング検出のためのキットです。抗ウサギIgG抗体、および抗マウスIgG抗体について、3種のCyDye™で標識されたECL Plex™が販売されています。各色素の励起/検出波長(nm)は独立していること、検出プロトコールが至適化されていることから、検出時のクロストーク(重複検出)の心配はありません。お持ちの蛍光イメージャーやアプリケーションに合わせて、ECL Plex™試薬を選択しご利用ください。表1にECL Plex™の特性、表2に各蛍光イメージャーとの検出適合性を示しましたので、ご参考になさってください。 表1 標識CyDye™ごとに表したECL Plex™の特性
*1 抗マウスIgG(goat-α-mouse IgG)、抗ウサギIgG(goat-α-rabbit IgG)の双方に対応しています ECL Plex™による蛍光検出と化学発光検出の比較
表3 蛍光検出と化学発光検出の特徴
ウェスタンブロッティングに用いられている検出方法として、発色法、化学発光検出、ラジオアイソトープ(RI)、そして蛍光検出を挙げることができます。ここでは、non-RIの手法の中で最も多くの研究者が用いている化学発光検出と、ECL Plex™による蛍光検出の特徴について比較しました(表3)。 ECL Plex™検出の一番の特長は、容易に多重検出ができることです。コントロールシグナルと比較して目的タンパク質のシグナルを定量的に得たい場合や、電気泳動では分離が難しいある種の翻訳後修飾(例:リン酸化、モノユビキチン化、O-GlcNAc化)の有無について、ウェスタンブロッティングで判断したい場合など、いろいろなアプリケーションに用いることができます(詳細は後述)。他にも、定量性が高いことや全体として操作が簡便になることが、ECL Plex™の長所です。 デメリットの1つとしては、化学発光検出に対して抗体を多く必要とします。化学発光では増幅反応によってシグナルを増大できることが、ECL Plex™による蛍光検出と異なる点です。ECL Plex™を用いてECL™ Plusの化学発光検出と同等以上の検出感度を求める場合、一次抗体で約13倍、二次抗体では約40倍の量が必要です。しかし、前に述べた多重検出アプリケーションや、ウェスタンブロッティングによる定量解析においては、化学発光では不可能なパフォーマンスを示します。このような解析を実施する研究者の方々には、ECL Plex™は大変強力なツールとしてご利用いただけます。 ECL Plex™による多重検出のメリット 「タンパク質ロスなく、複数抗体によるシグナルをしっかり分離」図1 ECL™従来品とECL Plex™での多重検出フローの比較 ※ECL™従来品 = 化学発光検出を示しています 図1にECL™従来品による化学発光法とECL Plex™による蛍光検出を用いたときの、多重検出フローを並べました。最も大きな違いは「ECL Plex™(蛍光検出)では、リプロービング処理が必要ない」ということです。 化学発光検出による多重検出では、それぞれの抗体反応シグナルが分離して検出されません。これでは、一度に複数の抗体処理を行っても、どのシグナルがどの抗体反応を示しているかを確認することができません。したがって、次の抗体反応を特異的に得るために、1つのウェスタンブロッティング検出が終わったあとに、そこで用いた抗体を除く作業(ストリッピング処理)が必要です。このストリッピング処理は、除去したい抗体以外にも他のタンパク質までメンブレンから除いてしまうリスクがあり、定量的な解析への悪影響、および検出感度の低下を引き起こします。また、再度ブロッキングからの実験フローを行うことになるので、手間や時間も2倍かかってしまいます。 ECL Plex™では、各蛍光色素で複数のシグナルを分離して検出できるため、多重検出の場合でもこのストリッピング処理が必要ありません。したがって、簡便な操作で定量的にデータを得ることができます。 ECL Plex™の利用例 「コントロールサンプルを用いた定量解析」図2 アクチン発現量を指標にした p38 リン酸化の定量解析 上:pp38とアクチンのウェスタンブロッティング 下:アクチン発現量をコントロールとしたpp38相対シグナルの変化 ●サンプル: 293T 細胞、TGF- β刺激後 0, 2.5, 5, 15 分 ●一次抗体: 抗リン酸化 p38(Thr 180/Tyr 182)ポリクローナル抗体、抗アクチンモノクローナル抗体 ●二次抗体: ECL Plex™ goat-a-rabbit IgG-Cy5、ECL Plex™ goat-a-mouse IgG-Cy3 ●検出: Hybond™-P、Typhoon™ 9410 ※ 図下の表で示される pp38 発現量はアクチンシグナル強度で補正された値です。 最後に、ECL Plex™を用いた目的タンパク質発現量の定量解析例を示します。ここでは、TGF- β刺激によって亢進されるリン酸化 p38(pp38)の定量解析をご紹介します。ここでは、pp38と発現量の指標とするコントロールタンパク質(アクチン)をそれぞれ異なる CyDye™ で同時検出し、pp38 の発現量をコントロールとの相対シグナル強度により示しました。少ない解析ステップでサンプル間の誤差を補正することができ、より定量的にリン酸化の亢進を評価することができました。このように、“感度・定量性・多重検出”といった蛍光検出の特長を十分に生かしたウェスタンブロッティング解析は、幅広いアプリケーションへの応用が期待されるテクニックであり、今後の発展にも注目です。 まとめECL Plex™を用いたウェスタンブロッティングでは、簡単な操作で定量性の高いデータを得ることができます。蛍光検出の特性を生かした多重検出アプリケーションはいろいろな使い道がありますので、みなさまの研究内容に合わせてご利用いただけます。蛍光イメージャーをご利用できる環境にある方は、ぜひECL Plex™をお試しください。 ウェスタンブロッティング関連製品情報
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