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あなたにもできる!ラボスケールカラムパッキング

パッキング例

弊社では、さまざまな手法や精製スケールに対応したプレパックカラム(充填済みカラム)を多数取りそろえています。プレパックカラムは、専門の職人によりパッキングされているため、手に入れたその日からすぐに精製を開始でき、また参考にしている文献にカラム名の引用があれば、すぐに同じ精製環境を用意できるため、迅速な実験開始のためにとても便利です。

でも、こんなことはありませんか?

「論文に出ていたカラムを使いたいけど、どこからも市販されていない」
(カタログに記載されていないような担体と空カラムの組み合わせ)

「市販のカラムでは自分の実験スケールに合わない!」

「必要なものとはいえ、年に何回も同じカラムを買うのはもったいない!」

「カラムの中の担体が汚れているので詰め替えたい!」

・・・・こんなときこそ、カラムを自作できると大変便利です。

カラムパッキングとは、基本的には空カラムへ担体の懸濁液を流し込み、あとはポンプで適切な流速と圧力をかけつつ充填する作業です。チャレンジしたいと思っても、周りに経験者がいないとなかなか手を出しづらいかもしれません。実際に、弊社バイオダイレクトラインへは、カラムパッキングの手順に関するお問い合わせがよく寄せられます。

分離の良いカラム、悪いカラムとは?

ところで、分離が良いカラムとはどんな状態か、イメージしてみたいと思います。
分離が良いカラムには、均一粒子径の担体が、隙間なく均一に並んだ状態で充填されています。分離が良い=パッキング状態が良い、といえます(図1左)。

パッキングの状態とピークの状態
図1 パッキングの状態と得られるピークの形状

逆に言うと、担体粒子が不均一に並んでいると隙間や溝、断層のせいでバッファーの流れが不均一になり、結果として次のようなトラブルが起こります。

ピーク幅が広がる
ピークにショルダーができる
ピークが左右対称形にならない

ピークの種類
図2 理想的なピークとトラブル例

・・・こんな現象が見られ、目的の分離ができない可能性もあります。 特に、担体に吸着せずに分離するゲルろ過クロマトグラフィーにおいては、カラムの充填状態の良し悪しはダイレクトに分離に影響します。 せっかくパッキングするなら、ポイントを押さえてなるべく上手に詰めたい ものです。

ここでは、特にお問い合わせが多いゲルろ過クロマトグラフィーカラム作製を 例にとり、カラムパッキングの手順と注意点について解説します。

カラムパッキングの手順とポイント

手順ポイント
(1)担体の計量必要な担体量を確実に計量
 
(2)担体の超純水置換しっかりエタノール除去
 
(3)カラムの組み立て・設置カラムは漏れなく垂直に
 
(4)担体の流し込み・パッキング開始 流し込みは一気に!流速・圧力を守って送液
 
(5)パッキング状態の評価アセトンを利用したチェックでカラムの点数が分かります

解説

Point1 担体量を確実に計量

正しいカラムパッキングの過程では、担体の圧縮が起こります。そのため実際に作製したいカラム体積の1.15倍量(Superdex™ pgの場合)の担体を準備します(図3)。

例)1.6 cm内径x長さ60 cm(120 ml)にパッキングしたい場合
 120x1.15=138 ml

実際には、容器の移し替え等により多少の担体ロスがありますので、担体を購入、確保するときにはぴったりの量ではなく多めに準備します。上記の例では少なくとも140 mlほど用意します。

ゲルの計量
図3 ゲルの計量方法
矢印の場所がゲル担体の体積を示します。粒子径90 μmの担体なら一晩、 粒子径34 μmの担体は2日間静置して計量します。

Point2 しっかりエタノール除去

弊社の多くの担体は、20%エタノール中で供給・保存されます。パッキングの際にこのエタノールが残っていると、パッキング中に均一な液流が起きず、失敗の原因になります。担体の取り扱い説明書に従い、担体量の5~10倍の液量の超純水(またはパッキングに用いるバッファー)に置換してください。この作業には、G3、G4などのグラスフィルター(図4)を用いると便利です。また、置換後の担体は50~80%の懸濁液(スラリー)に調製します。

注意!
*担体の破損を防ぐためマグネチックスターラー、スパーテル、ガラス棒で攪拌することは避けてください。


図4 グラスフィルター

Point3 カラムは漏れなく、垂直に!

使用する空カラムのどのパーツにも液漏れの原因になるような要因(O-ringの劣化、ガラス管のヒビなど)がないかを事前に確認してください。一度組み立ててみて、超純水を注いで漏れないかどうかをチェックします。また、水準器を使用してカラムを垂直に設置することも成功の秘訣です。

Point4 流し込みは一気に!流速・圧力を守って送液

最後のポイントです。スラリーは、静置した瞬間に沈降し始めます。カラムに流し込むときに、なるべく均一濃度のスラリーとできるよう、直前までよくシェイクしてください(図5)。また、継ぎ足しなどをすると、そこに目には見えない断層が必ず生じます。スラリーは迷いなく、一気に注ぎ込みます。 パッキング流速や圧力は、担体やカラム直径により設定が異なりますので事前に取り扱い説明書にて確認しておきます。


図5 スラリーの攪拌

Point5 アセトンを使用したチェックでカラムの点数が分かります

パッキングしたカラム体積の0.2% の液量のアセトン(10 mg/ml in water)を添加して、 ピークが検出されてシグナルがベースラインに戻るまでの間、280 nm の吸光度をモニタリングする方法が一般的です。 その結果から、リンクのように理論段数、1理論段あたりの高さ、還元理論段数、非対称性などの数値を導くことで、カラムの状態を知ることができます。これはパッキングのときだけではなく、使用中のカラムの状態チェックにも有効ですので、この機会に是非やり方をマスターしてみてはいかがでしょうか?

参照:ゲルろ過カラムの性能確認

カラムパッキングおすすめトレーニング

ラボスケールカラムパッキングトレーニング(1日間)


お客さまのご要望にお応えし、2009年より新たに開設されたトレーニングコースです。XKカラムを用いたゲルろ過およびイオン交換クロマトグラフィーカラムの実際のパッキングを通して、本日ご紹介したすべてのポイントを確認しながらカラムパッキングを無理なく修得できるコースです。 より長くカラムをお使いいただくためのメンテナンス方法や、カラムの評価方法についてマスターできますので、日ごろのカラムの品質管理にも大変有効です。

<内容紹介>

10:30開始、17:30終了
一時間目講義パッキング手順概要ゲル量の計算と 流速の計算練習
二時間目実習カラムの組み立てと垂直設置、パッキング開始
三時間目実習パッキングしたカラムのアセトンを使用した評価実験
四時間目講義カラムのメンテナンス
(パッキングしたカラムの評価計算実習と使用可能かどうかの判定)


皆様のご参加をお待ちしております!

 

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