2019-04-15 14:00:00
日頃ÄKTA™をかわいがって頂いている皆さま。また、これからかわいがっていただく皆さまに、今回は再現性についてのお話です。(タイトルは「酒と泪と男と女」のようにしたかったのですが・・・諦めました。)
さて、アフィニティークロマトとイオン交換クロマトではpH、非常に重要なパラメータです。イオン交換の場合はコンダクティビティーも大きな影響を与えるパラメータになります。
先輩の実験を追試したけど結果が違う。夏と冬でカラムに結合したりしなかったりして再現性が取れない。なんていうお悩みはありませんか?
一般的にクロマトグラフィーは無菌の工程ではありません。バッファーは作ってから時間が経つと雑菌が繁殖して組成が変わってしまいます。
古いバッファーを使用するとカラムを詰まらせたり、予定していたpHやコンダクティビティーでなくなっていることもあるので実験が計画通り進まないことでしょう。
そんなの。。。イヤですよね。。。だからこそ、バッファーはいつもフレッシュなものを用意してください!
それはさておき、コンダクティビティーは液温に大きく影響を受けます。
一つ例をあげてご説明します。
1M NaClは室温25℃では約86mS/cm(単位はミリジーメンスと読みます。電気伝導度です)ぐらいです。イオン交換限定で言えば、カラムからタンパク質を溶出する力が86あると思ってください。
4℃ではなんと同じ1M NaClが約60mS/cmとなってしまいます。イオン交換限定で言えば、カラムからタンパク質を溶出する力が60しかないと思って下さい。
なんと!約30%も溶出能力が低下している事になります。
イオン交換クロマトグラフィーで常温でのピークの溶出位置に比べると、低温でのピークの溶出位置が遅れるということです。
コンダクティビティーは液温に比例して変化します。言い換えるなら1M NaClで液温が1℃違うと電気伝導度は約1.2mS/cm違ってしまうという事になります。
再現が取れずに苦労されている場合、上記を確認されると解決するかも知れません。
皆さまの良き精製ライフの一助になれば幸いです。