Cytiva

検索のヘルプ

Location:Home実験手法別製品・技術情報タンパク質サンプル調製・前処理

第3章
目的タンパク質の検出性改善(4)

アフィニティーベースの高存在量タンパク質除去(2)

HiTrap™ Albumin & IgG Depletionカラムを用いた高存在量タンパク質の除去

プロトコールの要約を以下に示します。詳細については製品使用説明書をご覧ください。

材料

HiTrap™ Albumin & IgG Depletionカラム、2 × 1 ml(カラムにはコネクターキットが付属しています)

バッファー調製には高純度の水および試薬を使用してください。莢雑物が混入している場合に備え、使用前にバッファーを0.22 μmまたは0.45 μmのフィルターでろ過することをお勧めします。

シリンジ、ペリスタポンプ、またはÄKTA™デザインのようなクロマトグラフィーシステム

前調製

結合バッファー:20 mMリン酸ナトリウム、0.15 M NaCl、pH 7.4

溶出バッファー:0.1 Mグリシン-塩酸、pH 2.7

ヒト血漿の希釈は必要ありません。カラムにアプライする直前に、ヒト血漿を0.45 μmまたは0.22 μmのフィルターでろ過します。

プロトコール

タンパク質除去手順全体を通して流量は1 ml/minにすることをお勧めします。

  1. ポンプチューブを結合バッファーで満たします。カラムのストッパーを外し、スナップオフチップを折り、カラムおよびチューブに空気が入らないように液と液を触れ合わせながら(drop to drop)ポンプチューブに接続します。
  2. カラムを5 mlの結合バッファーで洗浄し、保存液である20%エタノールを除去します。
  3. 10 mlの結合バッファーを加え平衡化します。
  4. ろ過したヒト血漿150 μlを添加し、吸光度のベースラインが安定するまで5 ml以上の結合バッファーで洗浄します。サンプル添加・洗浄ステップの素通り画分を回収します。この素通り画分には高存在量タンパク質除去後のサンプルが含まれます。
  5. オプション:結合したタンパク質(アルブミンとIgG)を10 mlの溶出バッファーを用いて溶出し、回収します。

カラムを再使用する、または結合したアルブミンとIgGの画分を分析する場合に、ステップ5を行います。

タンパク質除去プロセスを手動で(ポンプを使用せずに)行う場合は、専用のルアーコネクターでシリンジをカラムに接続します。流速が約1 ml/minとなるように注意してください。

流速が速すぎると、クロマトグラフィー担体の充填状態が損なわれ、背圧が上昇します。

一部のタンパク質が、タンパク質間の相互作用または非特異的結合によりアルブンミンやIgGとともに除去されることがあります。したがって、結合画分の分析も検討する必要があります。

サンプル間の持ち越しを防ぎ結合能を維持するためには、結合タンパク質を溶出した後に担体を定置洗浄(CIP)することが重要となる場合があります。CIPには70%エタノール水溶液を使用します。

分析手法の分離能に対する影響を評価するために、タンパク質除去処理を行っていない血漿と行った血漿を二次元ゲル電気泳動で分析しました(図3.5)。各サンプルをゲル上で平行して泳動し異なる蛍光染料で標識することで、各タンパク質の存在量の差を推定しました。タンパク質除去処理を行っていない血漿とアルブミンやIgGを除去した血漿のタンパク質スポットマップを比較すると、pIまたは分子量がアルブミンおよびIgGに近いタンパク質が確認しやすくなったことがわかります(丸で囲んだ部分)。さらに、アルブミンやIgGより存在量が少ないタンパク質の検出数が増加しました(緑色のスポット)。

図3.5
図3.5 アルブミン/IgG除去血漿(緑色のスポット)と非除去血漿(赤色のスポット)の二次元スポットマップ。黄色のスポットは両方のサンプルから検出されたタンパク質。

 

>>目的タンパク質の検出性改善(5)

タンパク質サンプル調製ハンドブック目次3章 References 略号と用語、記号解説


お問合せフォーム

※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。