2021.03.31

Meet scientist Daria Donati

By Cytiva

family under umbrella

Meet scientist Daria Donati
好奇心旺盛で、行動的、変化を生み出す

 

考えてみると、「絶対無理なんて言わない(never say never)」というのは、生きていく上でとても良いモットーです。好奇心を持ち続け、可能性に目を向けることの大切さを、簡潔でうまく韻を踏んだ形で伝えています。Cytivaにおいて事業開発および戦略的技術パートナーシップの責任者であるDaria Donati は、キャリア全体を通じて好奇心に突き動かされてきました。そして、それは大変魅力的でした。

変化を生み出すという使命を帯びて、ダリアは世界中で暮らし、働いてきました。彼女の旅はイタリアの大学で始まり、そして中央アフリカでの世界保健機構の仕事へと続きました。現在、彼女はCytivaにおいて新型コロナウイルス感染症との戦いの最前線に立ち、大使のような落ち着きをもってビジネスと政府とを結びつけています。

ダリアが達成してきた数多くの功績には、修士号1つ、博士号2つ(実験医学、およびバイオテクノロジー&移植免疫学)、ライフサイエンス分野での「今年の欧州女性実業家(European businesswoman of the year)」の称号などがあります。CytivaのKUBioソリューションの開発において彼女が中心的な役割を果たしていることは言うまでもありません。これは世界初のモジュール式バイオ製造施設です。

私たちは先日ダリアにインタビューを行い、彼女の「命を救うための探究活動」について詳しく聞きました。彼女は、すべてはどこから始まったのか、パンデミックがどのようにして科学のあり方を変えたのか、そしてこの分野でスタートを切る人たちへの貴重な人生の教訓などを明らかにしてくれました。

好奇心に駆られた人は、しばしば驚きに遭遇します。あなたの先入観が試されたのはどんなときであったか、教えてください。

私は以前、人ができることについての先入観を持っていました。しかし私は、近代的なツールなしで診断を行える医師たちに出会いました。彼らはMRIなどの機器を持っていませんが、あなたを見て、症状を読み取り、どのような病気にかかっているかを教えてくれます。私はさまざまな考え方や問題解決方法に触れました。どこの出身であるかは問題ではなく、科学に好奇心や興味を持っていれば変化を生み出すことができるということに気づいたのです。

あなたは非凡なキャリアをお持ちですね。振り返ってみて、ご自分がたどった道に何か思いがけないことはありましたか?

私の科学への興味は非常に早いうちに始まりました。私はいつも「科学者になりたい」と考えていましたし、大学に入ったときには、特定の道筋を進むことにすっかり集中していました。私は病気の仕組みを理解するために、免疫学の分野に進みました。ウイルスの研究は決してしないと言っていました。しかし突然、自分がウイルスの世界に完全に組み込まれていることに気づいたのです。

また、私は寄生虫を扱う仕事は決してしないとも自分に言い聞かせていました。数年後、私はマラリアや寄生虫に対する免疫学的反応についての研究をしていました。そのとき、自分はつくづく学者だと思いました。私は科学の根本的な疑問点に興味があるのであって、ビジネスの世界で働くことは決してないでしょう。それなのに何が起こったか、ご覧ください!

あなたはCytivaの新型コロナウイルス感染症対策に深く関わり、政府とビジネスを結びつけてワクチンを開発する手助けをしています。その経験はどのようなものでしたか?

新型コロナウイルス感染症による危機を契機として、自分の人生とキャリアを通じて学んだすべてのことを一つにまとめ上げることができました。科学に精通し、ビジネスの世界も理解し、非政府組織とともに仕事をした経験があって、さらに世界の製造業を把握している人というのは珍しいと思います。そして、自分が人々を結びつけて物事を実現することを支援できるという素晴らしい立場にいることを自覚しました。

パンデミックはすべての人々に協力の重要性を再認識させました。私たちは皆、自分一人では解決できない世界的な難題に直面しています。このことに取り組むたった1つの方法は、適切な人々をテーブルの周りにつかせることです。それぞれ違うバックグラウンド、経験、知識を持つ人々をです。パズルのピースのようなものですね。

私の目標は商業的なものではなく、医学的なものでもなく、人々の健康そのものでした。そう、自分自身の健康だけでなく、身近な人の健康にも深刻な影響を与えている問題を解決することです。

これはつまり、治療薬やワクチンを開発・製造し、それをもっとも必要としている人たちの元にできるだけ早く届ける方法を見つけ出すことです。国際社会は初めて、これまでの連携のない仕事の進め方を変え、ビジネス、政府、学術界を隔てる障壁を打ち破ることにしました。

科学とビジネスの世界では、パートナーシップを確立することへの関心は常にありました。しかし、それぞれが自分の利益のために行動するのが普通です。ですが今回は目標がただ一つであり、科学は極めて速やかに進展しています。政府と産業界がこれほど親密であったことはないと思います。見ていて驚きました。

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ワクチンの開発には通常何年もかかります。今回はなぜこれほどプロセスが速かったのでしょうか?

仕事を始めて最初の頃に学んだことですが、そういったことを1人で行うことはできません。ワクチン開発は特にそうです。非常に多くのさまざまなステップや分野が関与しているため、互いに協力したり、話し合ったり、情報交換したりしなければなりません。

病気はそれぞれ違います。異なる2つの病気や微生物、感染性病原体に対し、コピーアンドペーストのように、1つの解決法を両方に適用できるということは決してありません。数多くのさまざまなルートが存在します。可能性に対してオープンである必要があります。手に入れたいワクチンが1種類の場合も、複数の場合もあるでしょうが、協力することは不可欠です。連鎖のすべてのリンクがつながっていなければ、最終的な結果を得ることはできません。

パンデミック、すなわち感染症の大流行において、蔓延を防止する唯一の手立ては、病原体の伝搬を止めることです。伝搬を止めるための最良のツールの1つが予防接種です。ワクチンの開発には通常、10~15年かかります。HIVやマラリアのような病気では、長年にわたってワクチン開発が試みられていますが、まだ成功していません。このことから、今回の取り組みがいかに並外れているかがおわかりいただけるかと思います。開発のタイムラインを短縮し、できるだけ迅速に配備することが人命を救います。

現在私たちは、これまでに経験したことのない方法で、リアルタイムの科学を実践しています。人々が病気に罹ると、そのデータを収集し、記録的な短い時間で公開します。そうすることで世界中の人々がすぐに対応し、ぞれぞれの研究を進めることができます。

私たちは一歩一歩前進しています。開発のタイムラインを圧縮しつつ、治療の安全性と品質も維持しています。この世界的な難題によって、誰もがこれまでになかった方法で、それぞれの能力を伸ばすことができたのです。

科学者には個人として無限の多様性がありますが、彼らを集団として考えると、どのような特徴があると思いますか?

あらゆる科学的発見の背景には好奇心があると言えるでしょう。しかし、好奇心をどのように使うかは人によります。私の原動力は、かなり広い意味での世界に対する好奇心です。免疫学や生物学では、自分の知識をさまざまな分野に応用できます。他の科学者はもう少し専心的です。

もう1つ言えるのは、科学者は信念や理論を裏付けるデータを常に追い求めているということです。データを収集し、その情報を使ってとるべき行動を決定します。ひとたびそう考えると、抜け出すのはなかなか困難です。

また、発見への意欲は、自分のいる場所や取り組んでいる科学の種類と無関係だと思います。それよりも深いのです。科学の道を歩み始めてから、学問を続ける人もいれば、ビジネスへと応用する人もいますし、世界中を旅する人もいるでしょう。しかし、科学者は皆、知識への渇望や、物事の仕組みを理解したいという欲求に駆られているのだと私は思います。

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学問や公衆衛生の世界で過ごした年月の後、あなたは企業へと移ることを決めました。特に印象に残っていることはありますか?

私は鳥インフルエンザが大流行した直後にGE Healthcare、今のCytivaに入社しました。なお、この流行は、幸いなことにさほど広がりませんでした。当時、各国政府はそれぞれの国で自国民のためにワクチンや医薬品の製造施設を設立するために、当社の支援を求めていました。私たちは完全な答えを持っていたわけではありませんでした。私たちは施設に運び込まれるすべての要素については専門家でしたが、建物や外構を担当したことは一度もありませんでした。

どこに行っても同じ質問を浴びせられました。これはいくらですか?設置までにどれぐらいの時間がかかりますか?これらの質問に答える唯一の方法は、エンジニアリング企業とともに長い設計プロセスに入ることでした。おそらく1年後には建築コストと建築期間についての推定値が、うまくいけば10%の忠実度で得られるでしょう。そういうこともあり、私たちは自分で挑戦することにしたのです。何でもできると仮定してみましょう。その問題を解決するにはどうしたらよいでしょうか?そのお客様を支援するにはどのようにしたらよいでしょうか?

私たちは考えました。完全な機能を備えた施設を作り、それを製品のように扱ったらどうだろうと。業界最高レベルの基準を満たす「箱」です。これはあらかじめパッケージ化されているため、オンラインでアクセスしてボタンをクリックするだけで、信じられないほど早く配送されます。この製品を作るために私は、会社の通常業務の枠を超えたチームを率いていました。私たちはそれをKUBioと呼びました。これは現在世界中で使われ、医薬品を製造して命を救っています。

私のキャリアにおけるすべてのステップは、学ぶこと、新しい人との出会い、そして自分自身への挑戦といったスリルに突き動かされてきました。企業に入ることは私にとって、自分の経験すべて―科学、NGOや政府との仕事、発展途上国における健康増進プログラムの構築など―を、新しいツールを自由に使える新しい環境で活用できる、ということを意味するものでした。

最後に、あなたはこれまでのキャリアにおいて、さまざまな興味深い仕事をされてきました。一貫して変わらなかったものは何でしょうか?また、新進の若い科学者たちに伝えたい人生の教訓はどんなものですか?

フランスにいる叔父は私に言ったものです。もしお前がコーヒーの世界に入ろうと決心したなら、人々がコーヒーを育て、収穫し、ローストし、コーヒーを淹れて販売する、そのさまざまな方法を知りたがるだろうね、と。同じ問題を別の角度から見てみたいという好奇心は変わっていません。しかし、長年の間に、私にとって好奇心がそそられる分野は徐々に発展してきました。

人生の教訓についてですが、私が時々講義をしているカロリンスカ研究所およびスウェーデン王立工科大学の学生たちからは、「科学で成功するための秘訣は何ですか?」とよく尋ねられます。私の最初の答えは、「絶対無理なんて言わないこと」です。絶対にしないと決心したことでも、次の日にはしてしまっていることが誰にでもあるでしょう。2つ目の答えは、「決して諦めないこと」です。問題の解決策は1つだけではなく、何千もあります。あなたが正しいと信じることを追求すれば、答えは見つかるでしょう。私にとって、トンネルの出口の光のような問いがあります。「自分は実際に変化を起こしているだろうか」と、いつも考えているのです。これこそが、私が毎日仕事に出かける理由なのです。

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ダリアの仕事は現在進行中です。Cytivaにおける彼女の役割は、治療法の開発に役立つ新しい革新的な技術を見極めることです。つまり、パートナーシップを構築し、製造プロセスを改良し、最終的には救命薬をもっとも必要としている人々に届けることを意味します。

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