知っておくと便利な機能、知ってはいるけれど使い分けがよく分からない機能。そんなちょっとした小技を取り上げていきます。今回のお題は、「Reference Line」と「Pooling」です。

Reference LineにはF9キー

Biacore™でサンプルのチェックや測定条件の検討を行う際、Manual Runを使用するケースが多くあるかと思います。センサーグラムを見て、どのくらいのレスポンスが得られたかを確認するツールとして、Reference Lineがあります。

赤丸で囲ったアイコンをクリックし、確認したいセンサーグラムを選択すると、その部分のTimeとResponseを確認

ここで、一度ベースラインに戻り、F9キーを押します。

すると、ベースラインの時点のResponseが0と表示されました。*もう一度F9キーを押すと戻ります。

そして、改めて確認したいレスポンスへReference Lineをドラッグすると、ベースラインに対するレスポンスの大きさを確認することできます。

これは、Biacore™のControl Softwareに共通の機能で、Manual Runに限らずどんなセンサーグラムでも活用いただけます。そして、Reference LineにはF9キーが便利と覚えてください。

Poolingを使うのはどんな時?

Poolingとは、Startup用のRunning bufferや、再生溶液など、繰り返し使用する溶液を1つのバイアルまたはウェルにまとめておくことです。下図はBiacore™ T200のRack Positions(必要な各溶液量やバイアル/ウェルの配置)のステップで、Menu>Automatic Positioningを選択した画面です。

デフォルトでは、PoolingはAutoとなっています。Automatic Positioningを閉じて、Rack Positionsの画面に戻ると、StartupとRegenerationはPoolingされていますが、Sampleの同一濃度のものはPoolingされていないことが分かります。

Autoでは、測定結果に直接かかわるSampleはPoolingしない設定になっています。Poolingは、使用するサンプル量や分注の手間を削減する以外にメリットはありません。

また、バイアルにラバーキャップをすることは、乾燥を防ぐだけでなく、Poolingされた溶液を使用する上でも非常に重要です。それはニードルの外側に付着した溶液を拭い去る効果があるためで、コンタミやニードル洗浄水による希釈を防ぐことができます。

  • Rubber Caps, type 2 (BR100411) Plastic Vials, 11 mm (BR100287)専用
  • Rubber Caps, type 3 (BR100502) Plastic Vials, 7 mm (BR100212)専用
  • Rubber Caps, type 4 (BR100655) Plastic Vials, 15 mm (29266981)専用

下図をご覧ください。こちらは、Biatore 8Kで Pooling された溶液を3回インジェクションした例です。波を打ったようなセンサーグラムになるのはなぜでしょう。

これは、96ウェルプレートに適切なシールがされていない場合に見られる現象です。下図No coverのようにシールがされていないとニードル外側に付着した塩などを溶液に持ち込む恐れがあります。Foil(通常のシール)がされていた場合、初回のサンプル分取ではニードル外側を拭う効果がありますが、二回目以降の分取ではシールに穴が開いているため拭う効果がなくなります。そこで、96ウェルプレートでPoolingされたサンプルに関しましては、Septa(ゴム製のシール)を貼っていただくことが重要です。

  • Microplate Foil 96-well (28975816)
  • 96-well Septa, 10-pack (29192561)
  • Microplate Foil 384-well (BR100577)
    ※384プレート用のSeptaは取り扱いがございません。

Poolingに関しまして、ラバーキャップやSeptaを用いていただくことで、コンタミのリスクを最小限に抑えることはできますが、一般的には、各バイアル/ウェルにそれぞれ取り分けていただいたほうが、データの再現性は高いと知られております。

求める実験の精度、サンプル使用量、分注の手間などを考慮の上、Poolingを用いるべきかご判断ください。