非特異的結合、ノンスペシフィックバインディング(以下ノンスペ)をどのように見分ければよいのかを示すフローチャートです。Biacore™のデータを見慣れていない方や、ノンスペの確認を行わずにいきなりkinetics解析やaffinity解析などを実施してしまっている方はぜひご参考ください。
ノンスペ確認のフローチャート
Figure 1
「【Start】 Ref cell は解離相で速やかに0に戻っている」の確認方法
(1)Evaluation softwareでReference cellだけの表示にする
Figure 2-1:Biacore™ T200 Evaluation software(Biacore™ X100 Evaluation softwareでも同様)の場合
Figure 2-2:Insight Evaluation softwareの場合
(2)アナライト添加直前のBaselineをゼロ合わせする
Biacore™ T200 Evaluation softwareの場合
右上Toolsボタン>Sensorgram adjustments>Y-adjustment>Report point>baseline* と続きます。*baselineのレポートポイントはメソッドによっては適切ではない可能性がありますので適宜変更してください。
Insight Evaluation softwareの場合
Settings>Adjustment>y-axis>baselineで設定します。
Figure 3-1:Biacore™ T200 Evaluation software(Biacore™ X100 Evaluation softwareでも同様)の場合
Figure 3-2:Insight Evaluation softwareの場合
(3)解離相で速やかに0に戻っているか確認する
Figure 4:ベースラインよりも高い位置で留まっていたらReference cellに対するノンスペ
よくあるギモンとご回答
Q 解析の時はActive cell – Reference cell を実施するからノンスペ残ってても大丈夫じゃないの…?
A Active cellとReference cellで同じ量・性質のノンスペが発生しているとは限らないため差し引けません!
Q Figure 4左みたいにバルクが上向きの箱型じゃなくて下向きになっている場合はどうなるの…?
A 下向きになってもOKです!ただのバルクの出方の問題です。ランニング緩衝液よりも密度の低い溶液をサンプルとして添加しただけと言えます。
Q バルクの大きさはどれくらいなら許容されるの?
A 明確な基準はありません。ただ、あまりに大きなバルクが生じているということは、結合相の溶液と解離相の溶液の組成差が激しいということです。Kinetics解析では結合相と解離相をまとめて1つのkdなどのパラメータを算出しているため、結果として妥当な速度論的パラメータを得ることは難しいと言えるでしょう。
Q 添加中のレスポンスがFigure 4左みたいに平らじゃなくてFigure 4 右のように何か結合しているような形状になっているんだけど…?(一応ベースラインには戻っている)
A ケースバイケースですがベースラインに戻っているなら基本的に非特異的な結合はない(か、あっても無視できる程度)として考えて良いです。
もっと簡便にチェックする
「Binding to reference」のタブを開きレポートポイントを確認します。
Figure 5-1:Biacore™ T200 Evaluation software(Biacore™ X100 Evaluation softwareでも同様)の場合
Figure 5-2:Insight Evaluation softwareの場合
ノンスペ確認のフローチャート
(1)リガンドの固定化量から理論的Rmaxを計算
(2)得られたデータをEvaluation softwareにて1:1 binding modelで解析し、理論的Rmax ≧ 実測Rmaxとなっていることを確認
Figure 6:実測Rmaxは理論的Rmaxを超えない