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抗体精製をマスターしよう (8)モノクローナルIgGの高純度精製第7回「モノクローナルIgGの精製プロトコール」では、モノクローナルIgG精製の一般プロトコールについてご紹介しました。Protein G/A を用いたアフィニティークロマトグラフィー精製は特異性の高い精製方法ですが、精製IgG中に微量のタンパク質が混在することがあります。このような場合は、イオン交換、疎水性相互作用、ゲルろ過クロマトグラフィーのステップを追加して純度を高めます。 また、失活しやすい不安定な抗体の場合には、精製条件の至適化をすることで純度や安定性を高めることができます。 今回は、4つの精製例から、効率的に高純度のモノクローナルIgGを精製するためのスキームをご紹介します。 マウスモノクローナルIgGの精製条件至適化と自動二段階精製Protein A やProtein G を利用したアフィニティークロマトグラフィーによるモノクローナルIgGの精製は便利な手法ですが、動物種やサブクラスの種類によって抗体の親和性が異なるため、担体への結合、解離条件を至適化する必要があります。 ここではIgG1をHiTrap™ rProtein Aで精製するときの条件検討例と溶出画分をゲルろ過クロマトグラフィーでさらに精製した例について紹介します。ここではIgG1はProtein A カラムへの結合が弱いので、結合バッファーの条件を至適化する必要がありました。条件検討にはÄKTA™FPLCの自動スカウティング機能を利用しました。 精製操作
残存するTransferrin やBSA の除去Protein A やProtein G から溶出したIgG 画分にTransferrin(76 kDa)やAlbumin(67 kDa)が含まれる場合は、分子量の違いを利用してゲルろ過クロマトグラフィーで分離することができます。ここでは、ヒトIgG、Albumin、Transferrin の混合物をHiLoad™ 16/60 Superdex™ 200pg で分離した例を示します。 図7 ヒトIgG, Albumin, Transferrin の混合物の分離例
サンプルを添加後、120 ml の溶出バッファーで溶出を行いました。 分子量の違いを利用して、ヒトIgG(モノマー)を分離することができました。 脱離したアフィニティーリガンドの除去通常、Protein A やProtein G カラムからのアフィニティーリガンドの漏出はきわめて微量で、ほとんどの目的にはそのまま使用しても問題ありません。しかし、医薬品などの製造においてはアフィニティーリガンドの混入は深刻な問題であり、微量であっても最終精製画分から除去することが求められています。 アフィニティーリガンドが溶出画分に混入している場合、精製後の確認をSDS-PAGE で行うと、Protein G は30 kDa(実際の分子量は17 kDa ですがSDS-PAGE では構造が広がり移動度が小さくなります)、Protein A は42 kDa バンドとして現れます。さらに高純度が要求される場合には、ゲルろ過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーによってこれらのリガンドを効果的に除去することができます。 ゲルろ過クロマトグラフィーによるアフィニティーリガンドの除去図8 ゲルろ過クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例
ゲルろ過クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例です。 Protein A やProtein G は最大2 分子のIgG と結合します。このようにIgG が過剰の場合、混入するProtein A やProtein G とIgG の複合体は、IgG 単量体の2 倍以上の分子量となるため、ゲルろ過クロマトグラフィーで容易に分離することができます。 イオン交換クロマトグラフィーによるアフィニティーリガンドの除去図9 陽イオン交換クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例
陽イオンクロマトグラフィーによるrProtein A の除去例です。 あらかじめ調製したIgG-rProtein A 複合体を、解離条件(rProtein A カラムからの溶出条件)でHiTrap™ SP カラムに添加しました。pH 5.2 では、rProtein A はカラムに結合しないため、効果的な分離が可能です。目的のIgG が陽イオン交換体に対してrProtein A よりも強く結合する場合に適用できます。 図10 陰イオン交換クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例
陰イオン交換カラムでもProtein A を除去可能な場合があります。漏出したProtein A やIgGProtein A 複合体はIgG よりも僅かに強く陰イオン交換体担体に結合することを利用します。しかし、多くの場合、Protein A とIgG-Protein A 複合体のピークは明確に分離しないため、精製各フラクションのrProtein A をEIA などにより定量する必要があります。 より純度の高いモノクローナルIgG の精製法についてご紹介しました。ゲルろ過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーを駆使することで、不純物を除くことができます。ご紹介した例を参考に、高純度精製にチャレンジしてみてください。 お問合せフォーム※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。 お問い合わせありがとうございます。 |
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