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それ、カラムが汚れているサインです。~ あなたは知らぬ間に損をしている!?

白かったはずのシャツの色が、何だかくすんでいる。
フライパンに黒い焦げが付着して、取れない。
これならば、明らかに汚れていることが誰にでもわかります。しかし、カラムの場合、見た目はきれいな白色に見えても、実際は汚れが蓄積していることがあるのです。


「汚れているよ!」カラムの声、届いていますか?

下記のいずれかに当てはまった場合、カラムが汚れている可能性があります。あなたのカラムは大丈夫でしょうか? 確認してみましょう。

担体の色が違う ピークがブロードになる
担体の色が違う 分離能が低下した、ピークがブロードになる
サンプルが結合しない 液体が流れない
サンプルが結合しない カラムが詰まって液体が流れない
エラー 分離パターンが変化した
システム使用の場合、上記症状が現れる 分離パターンが変わった

カラムが汚れているとカラムのスペックを最大限まで引き出せず、目的物の回収率が下がる可能性があります。さらに圧力が上がりやすくなるため、流速を下げなければいけなくなり精製時間も長くなります。つまり、大切なタンパク質や貴重な時間をロスして損をしている可能性があるのです。さらに、カラムの汚れを放置すると、実験結果への悪影響だけではなく、カラムの寿命も短くなります。
ですから上記の現象が見られたときは、カラムの洗浄を行いましょう。

※ÄKTA™シリーズをお使いの場合で圧力が上昇した場合、オンラインフィルターの汚れによる可能性もあります。
 オンラインフィルターの交換・洗浄で圧力が正常に戻ることがありますのでお試しください。各機種の手順を下記からご覧いただけます。

 

カラムを掃除すれば、よいことづくし。~回収率UP、分離能も改善

特に、「カラムが詰まって液体が流れない」ような場合は、担体に汚れが多く付着し、担体だけでなくカラム上部のフィルターが目詰まりしている可能性もあります。このような場合「1.フィルターの交換」をおすすめします。

フィルターを交換するだけで改善する場合もありますが、改善しない場合やフィルターが交換できないタイプのカラムの場合は2.の担体の洗浄を行います。最後に3.の洗浄の効果を確認してカラムの性能をチェックします。

1.特に汚れがひどい場合のフィルター交換方法

カラムのタイプによって、フィルターが交換できるかどうかが異なります。下記の表から、お手持ちのカラムがフィルター交換可能なタイプかどうか確認し、フィルター交換動画を参考にしながらフィルターを交換しましょう。

フィルター交換可能 GLシリーズ
(Tricorn™カラム)
Superdex™ GLカラム フィルター交換動画はこちら
Superose™ GLカラム
Mono GLカラム
HiLoad™シリーズ
(XKカラム)
HiLoad™カラム フィルター交換動画はこちら
HRシリーズ Superdex™ HRカラム フィルター交換動画はこちら
Superose™ HRカラム
Mono HRカラム
フィルター交換不可能 HiTrap™シリーズ HiTrap™カラム フィルターは交換できません
②の担体の洗浄方法に進みます。
HiPrep™シリーズ HiPrep™カラム
HiScreen™シリーズ HiScreen™カラム
PEシリーズ RESOURCE™カラム
Mono PEカラム
Mini PEカラム

* 一部の製品を除き販売終了品。現行はGLカラム(Tricorn™シリーズ)。

 

2.担体の洗浄方法

フィルターを交換しただけで圧力や分離が復帰すれば、そのまま実験に使用してください。フィルター交換だけで不十分であれば、次にカラム内の担体を洗浄します。担体の洗浄方法は、お使いの担体によって異なります。詳しくは各製品のマニュアルに記載されているので、まずは製品マニュアルをご確認ください。

マニュアルがお手元にない場合は、下記ボタンからマニュアル検索ページに飛び、「Literature Search」欄に製品のコード番号を入れてマニュアルを入手し、確認してください。

マニュアル検索

担体洗浄のコツ ~ 酸やアルカリの残存を防ぐには

酸やアルカリ溶液で洗浄した後に超純水を流しただけではカラム内に酸やアルカリが残存し担体へダメージを与えることがあります。これは、酸やアルカリによる洗浄後にNaClでの洗浄ステップを入れることで解決できます。

 

3.洗浄の効果を確認する

洗浄の効果は洗浄前後の圧力を測定することで確認できます。溶出バッファーから洗浄液に置き換える前や洗浄液での洗浄後に、超純水に一度置換して超純水を流したときの圧力を比較します。洗浄後に圧力が下がった場合は再度実験にお使いいただけます。必要に応じて既知のサンプルでの分離を試してください。もし圧力に変化がない、あるいは分離パターンが向上しない場合は「もうダメだ、買い換えるしかない?」をご覧ください。

おすすめ洗浄フロー

おすすめ洗浄フロー

 

カラムは汚れるものですが・・・使い方次第で末永くお使いいただけます

実験を重ねるたび、カラム内には汚れが蓄積します。添加したサンプルのカラム内での凝集や非特異的吸着などによって、かならずカラムは汚れていきます。これはある程度は仕方がありません。

しかし、使い方によって、カラムの汚れを防ぐ、あるいは寿命が長くなる可能性があります。カラムを末永く使うコツについて次にご紹介します。

カラムを末永く使うコツ(1) ~ 意外に盲点。超純水ステップは超重要。

新品や、保存していたカラム・担体を使用するとき、保存溶液から直接平衡化バッファーに置き換えず、超純水での置換を挟んでいただくことをおすすめします。

カラムや担体は、20%エタノールに充填された状態(NHS-activatedカラムや担体は100%イソプロパノールで充填されています)で供給・保存します。この状態から直接平衡化バッファーに置換をすると、平衡化バッファー中の塩が析出して、カラムに析出物が残る原因になることがあるためです。新しいカラムや担体、または保存していたカラムや担体を使うときは、超純水への置換ステップをかならず挟みましょう。NHS-activatedは手順が異なりますのでマニュアルをご覧ください。

 

カラムを末永く使うコツ(2) ~ 終わった後はすぐに洗浄

汚れたシャツは、すぐに水に浸せば汚れが落ちることが多いですが、何日も汚れたまま放っておくと、いつの間にか汚れが取れなくなります。カラムや担体も同じです。使用した後は放置せず、こまめに洗浄することを心がけましょう。

 

おまけ ~圧力をかけ過ぎてカラムをいじめていませんか?

同じ流速で送液しても、カラムが汚れるにつれ、圧が高くなっていきます。圧がかかり過ぎると担体が潰れてベッド上部に隙間ができます。いくら推奨流速が○○ml/min、最大流速が△△ml/minだからといっても油断は禁物です。常にその条件で送液できるとは限りません。過剰に圧がかかり、潰れた担体は修復不能です。いくら洗浄できれいになっても形までは戻りません。流速だけで制御するのではなく、送液圧を見ながらどこまで流速を確保できるかを見極めることがポイントです。

 

もうダメだ、買い換えしかない?

フィルター交換ができないタイプのカラムは、洗浄して効果が得られなければ、カラムの寿命です。同じ実験をするためには新しいカラムを用意しましょう。 では、フィルター交換できるタイプのカラムも、フィルター交換、洗浄しても効果が得られなければ寿命です。分離能の高いGLカラムやHRカラムは、その性能を活かすためにも新しいカラムの用意をおすすめします。HiLoad™カラムも新しいカラムを用意した方が楽かもしれません。でもその前に第二の人生を歩ませてみませんか。

 

廃棄するその前にお試しください~カラムの再生

HiLoad™カラムはSepharose™やSuperdex™ pgがXKカラムに充填されたプレパックカラムです。つまり、きれいな担体があれば再度現役選手として第二の人生を歩むことができます。ではカラムの再生工場を駆け足で追ってみましょう。

( 1)担体の取り出し
カラム内の担体を取り出します。カラム出口のボトムピースを取り外し、アダプターから送液すると簡単に取り出すことができます。もしボトムピースを取り外しにくいなら、アダプターを取り外してボトムピースから送液しても構いません。

(2)担体の洗浄
汚れて詰まり送液できなかったカラムも、担体をビーカーに移してバッチ洗浄すれば汚れが取れるかもしれません。浮いた汚れを取り除き、先ほどまで入っていたカラムに詰め直しします。

(3)詰め直ししたカラムの性能チェック
詰め直ししたカラムが目的の実験に適しているか、試験が必要です。アセトンを流して理論段数を測定したり、標準サンプルを流したりして分離を確認しましょう。

結果が良好であれば無事第二の人生を歩むことができます。苦労をかけた分、これまで以上に大事に取り扱いましょう。

結果がよくない場合は2に戻り再度洗浄してみてください。何度バッチ洗浄しても汚れが取れなければもう使用することはできません。新しいボトル担体をご用意いただき詰め直しします。

 

カラムの再生に興味はあるけど詰め直しに自信がない、という方必見!

ご自分のカラムを詰め直す前にトレーニングで詰め直し作業を体験していただけます。イオン交換クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーでよく使われるSepharose™ Fast Flow、ゲルろ過のSuperdex™ prep gradeを用いて、充填方法とそのカラムの評価方法まで一連の操作を行います。はじめはみんな初心者。トレーニングに参加して一歩先を歩みませんか?

ラボスケールカラムパッキング


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