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我が国は、すべての国民が公的な医療保険制度に加入(国民皆保険)し、必要なときに、必要とする質の高い医療を、平等に、安価に受けることができます。国際的に高い評価を受けている日本の医療制度ですが、これを支えるために、医薬品の研究開発の現場ではたゆまぬ努力が続けられています。
近年、比較的安価に開発することのできた低分子化合物の創薬ターゲットが枯渇し、世界の製薬企業が、バイオ医薬品やその他新規モダリティの医薬品開発に着手していますが、その研究開発コストは膨大で数千億円ともいわれています。
さらに、2018年の我が国の薬価制度の抜本的改革による薬価の見直しは、新規性のない医薬品に対しては、継続的に薬価を引き下げるものであり、製薬企業は利益を削りながらも、国民の健康のために、安価に医薬品を供給しなければならないという重責を担っているのが我が国の現実です。
今まで治療薬のなかった患者を救えるような革新的な医薬品をいち早く国民に届けたいという思いは産官共通ですが、この制度は、国の医療費の抑制につながる反面、製薬企業の新薬への研究開発投資を回収できないリスクが高まり、さらなる研究開発を困難にするというジレンマを抱えています。
では、海外はどのような状況なのでしょうか。
米国では、2003年に施行された「メディケア処方薬・改善及び近代化法(Medicare Prescription Drug, Improvement, and Modernization Act of
2003)」により、製薬企業が薬価を自由に決めることができます。この制度では、研究開発コストの回収や、新薬開発への投資の確保が比較的容易であり、革新的な医薬品の上市が加速され、患者の治療の選択肢が広がるといえますが、実際にはそれまで低価格であった薬が大幅に値上げされ、治療が受けられなくなった事例が発生し問題視されています。
また、メディケアやメディケイドなどの公的医療保険も存在しますが、民間の医療保険への加入が主流であり、保険制度からみても、近年、個人が負担する保険料の高騰が深刻化しています。
こういった米国内の背景を受け、2018年10月には、トランプ大統領が高薬価の医薬品について、諸外国並みに引き下げる方針を明らかにしており、今後の薬価や保険制度の動向に注視する必要があります。