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Location:HomeProductsBioProcess バイオ医薬品開発・製造用製品

バイオ医薬品製造における安全性改善の重要課題はバイオバーデンマネージメントといわれており、製品の製造コストだけでなく、品質や安全性にも大きな影響を及ぼします。mAbsの製造においては、『微生物汚染がないこと』が重要品質特性(critical quality attributes; CQAs)要求事項のリスト上位に挙げられているケースがよくみられます。バイオバーデン・インシデントによる患者への重篤な影響を避けなければならないのはもちろんですが、製造バッチが失われることによるコスト的損失もまた重大です。抗体医薬品のブロックバスターの場合であれば、1 ヶ月製造がストップすると最大で約1,000億円の収益を失う可能性があります

さまざまな規制機関からの最新のガイダンスでも強調されていますが、バイオバーデンコントロールのためには、微生物の混入を防ぐことが重要です*1、2、3。モノクローナル抗体の製造工程は複雑で、微生物が混入する恐れのあるポイントが多く存在します。以下はバイオバーデンが混入する可能性のある経路です。

  • 栄養成分やガス、溶液の添加
  • プローブやモニターの導入
  • クロマトグラフィー担体や装置の操作
  • メンテナンス、クリーニングやサニタイゼーション時
  • 製造環境の中への人々の移動
  • 機器と機器の接続部分
  • フィルター交換
  • 製造環境の中への装置の移動
  • バッファー調製
  • 製造環境の中への気流

参照
※1:Guidance for Industry. Sterile drug products produced by aseptic processing - Current Good Manufacturing Practice. U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration (2004).
※2:EU guidelines for Good Manufacturing Practice for medicinal products for human and veterinary use. Annex 1 Manufacture of sterile medicinal products (2008).
※3:EU guidelines for Good Manufacturing Practice for medicinal products for human and veterinary use. Annex 2 Manufacture of biological active substances and medicinal products for human use (2012).

  • 閉鎖系のシステムの活用
  • シングルユースソリューションの活用:シングルユースソリューションはバイオバーデンのリスクを低減することができます
  • 品質が保障された原材料の利用:弊社クロマトグラフィー担体中のエンドトキシンやバイオバーデンの基準がより厳しく変更されました
  • 堅牢なサニタイゼーションソリューションの活用:弊社では、サニタリー性が高いデザインの機器を提供し、クロマトグラフィー担体の効果的なサニタイゼーション手法、および洗浄方法について開発を続けています。

以下で一例をご紹介します。

アフィニティー担体の効果的なサニタイゼーション、および洗浄方法の検討

図1 Reduction of B. subtilis spores with various sanitization agents.

B. Subtilis の芽胞(Spore)の減少には過酢酸(Peracetic acid, PAA™)のような酸化剤の使用が効果的です(図1)。そこで、MabSelect SuRe™(モノクローナル抗体医薬製造用rProtein A 担体)を用いた抗体精製工程の4サイクル毎に20 mM PAA™で30分間のサニタイゼーションを実施した場合と実施しなかった場合の比較を行い、以下のことがわかりました。*4

  • 90サイクルまでは抗体の収量は90%以上を維持しました。(図2A)
  • HCPの除去についてはよい結果が得られました。(図2B)
  • Protein Aのリークは一定のレベルを維持しました。(図2B)
  • 動的結合容量(DBC)は50サイクル実施後には20%減少し、PAA™によるサニタイゼーションを実施しなかった場合に比べ10%の現象が見られました。(図2C)

図2 Purification performance of PAA™-sanitized MabSelect SuRe™ resin compared with control(no sanitization).

図3 Comparison of the alkaline stability of the new protein A ligand vs MabSelect SuRe™ ligand.

また、サニタイゼーション手法として一般的に行われているアルカリ洗浄に関して、アルカリ耐性を高めた次世代のProtein A担体の研究も行っています。 Biacore™を使ったSPR測定の結果からは、新たなProtein A リガンドは、MabSelect SuRe™ リガンドに比べて0.5 M NaOHを使ったCIPサイクルを200回行ったときには2倍、300回の時には3倍の結合容量を維持していました(図3)。

※4:Acknowledgement to Josh Goldstein, Janssen R&D, LLC, Malvern, PA, USA, for supply of mAB cell culture supernatant and valuable discussions.


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