微生物検査と無菌試験



MF法は、無菌検査に頻繁に使用されています。その理由は、正確さと感度に加え、迅速性があります。MF法の詳細は、このシリーズのブログ1をご覧ください。

混釈平板法



混釈平板法では、既知の容量の滅菌水でサンプルを連続的に希釈する必要があります。これにより元サンプルから段階的に希釈して低濃度にした一連の希釈サンプルを作成します。これらの希釈サンプルは、シャーレに移され、寒天培地が加えられます。この方法では、多数のコロニーが予想される高濃度サンプルの場合に有効です。連続希釈により、少なくとも1枚のプレートには、コロニー計測に妥当な希釈サンプルが含まれることが考えられます。しかし、混釈平板法は、連続希釈系列を作成するため、煩雑であり、飲料水や化粧品、医薬品などの微生物濃度が低いと予想されるサンプルの検査に適していません。また、真の微生物濃度に対して、低い濃度で評価するリスクがあります。これは、サンプルを寒天培地に混釈するため、小さいコロニーを判別することが難しく、また、高温の寒天を溶かし入れるため微生物が死滅する可能性も考えられます。また、寒天培地とサンプルを混ぜるため、寒天に埋もれた好気性細菌は酸素不足で増殖しない可能性が考えられます。これらの要因により、コロニー計数の総量を減らし、低濃度評価されることが示唆されています。また、寒天培地からコロニーを取り除くのも困難であり、別の実験系に利用するのが難しいことも示唆されています。

最確数法 (MPN法)



MPN法は、微生物の有無を判定するために同一サンプルを用いた3つの実験 (Presumptive test, Confirmed test, Completed test) を統合した網羅的な試験方法です。この検査方法では、試験管に何本もの希釈系列を作成し、ガスの発生やサンプルの濁度など指標で微生物の存在を確認します。培地を最適化することで検査する微生物の性質について推測することができます。

さらにMPN法は、微生物の数を概算することも可能です。しかし、他の微生物検査方法と比べ、精度と確度が低く、試験管に何本もの希釈系列を作成するため非常に煩雑です。一方で、MPN法は、堆積物など非常に濁度が高いサンプルに対して効果を発揮し、MF法の代替え法としても提案されます。このシリーズのパート2で、ろ過が難しいサンプルに対するMF法のプロトコールが紹介されています。

結論



本ブログでは、一般的に利用されている微生物検査方法について紹介しました。Cytiva製品には、MF法に特化したメンブレンを取り扱っています。