毒性因子の除去
エンドトキシンは、グラム陰性細菌の細胞壁に存在するリポ多糖 (Lipopolysaccharide; LPS) です。LPSは細胞壁から連続的に流出し、細菌が死滅しても残ります。LPSは免疫を携わる細胞に反応して、発熱作用を起こす、代表的な外因性発熱物質 (パイロジェン) として知られています。グラム陰性細菌から精製したプラスミドやタンパク質を含む溶液にはエンドトキシンが混入している可能性があり、それらを細胞ベースのアッセイに使用する前には、毒性を回避するために、エンドトキシンを除去しなければなりません。
生きているグラム陰性細菌は孔径0.2 µmのフィルターを使用することで、フィルター膜上に捕捉できますが、LPSは補足できません。負電荷を帯びているLPSを除去する有効な方法は、正電荷を有する膜を使用することです。
CytivaのPosidyne®メンブレンは膜材質が正荷電ナイロン 6,6で構成されており、外因性パイロジェンの除去に有効です。そのPosidyneメンブレンを組み込んだスケールアップ用Acrodisc® Posidyneシリンジフィルターは孔径0.2 µmでγ線滅菌済みあり、無菌操作を要求するアプリケーションに有効です。ただし、正電荷を帯びた膜による負電荷を帯びた物質の補足効率は、ろ過する溶液に含まれる塩などのイオン濃度に影響されます。
Cytivaは、孔径0.2 µmである疎水性相互作用基と陰イオン交換基をもつ膜を備えたAcrodisc Mustang® Eシリンジフィルターを提供しています。このシリンジフィルターは、ろ過溶液の塩濃度やpHの影響をあまり受けずに、高いエンドトキシン結合能をもつシリンジフィルターです。