Biacore™に最新モデルBiacore™ 1 seriesが登場しました。1ニードルSPRプラットフォームに、6フローセルと革新的なソフトウェアで、Biacore™の一貫性のあるデータを簡単・効率的に生み出し、将来にわたり幅広いニーズに応えます。

Biacore 1 シリーズ

さまざまな特長的な機能の中でも、本記事ではBiacore™の感度に注目してご案内します。

Biacore™シリーズにおける感度の違い

2022年で32年目を迎えたBiacoreの™歴史において、1990年に登場した初代Biacore™と比較すると現行のBiacore™は30倍以上に感度が向上しています。はじめの頃は、抗体を含むタンパク質の分子間相互作用を測定するシステムでしたが、高感度化が進むにつれて低分子化合物、化合物フラグメントの検出が可能となりました。Biacore™の感度向上は、いかにベースラインノイズを安定的に小さくするかがポイントでした。表1で、Biacore™ 1 seriesと現行モデルのベースラインノイズを比較しています。現行のモデルでも低分子化合物の測定は実施されておりますが、ご覧の通りBiacore™ 1S+ではシリーズ最高感度のモデルとなりました。

表1:Biacore™各機種によるベースラインノイズの違いと対応アプリケーション

※RMS(Root Mean Square):二乗平均平方根。ノイズはマイナス方向にも生じるためRMSで評価します。

低いノイズレベルでできること

高感度であることで検出が可能となるアプリケーションとして、小さい分子量の分子の結合が挙げられることはイメージしやすいかと思います。SPRの原理上、小さな分子の相互作用では結合レスポンスが小さくなります。Biacore™ X100では、カタログの仕様上で検出分子サイズが100 Daとされておりますが、Biacore™ 1 seriesおよびそれ以外の現行モデルには、有機分子において検出可能な分子サイズの下限はありません。

もう一点、高感度だからできるアプリケーションとして、高難度標的との相互作用が挙げられます。例えば、膜タンパク質など、活性を維持したままの可溶化およびセンサーチップへの固定化が難しい分子の場合、活性分子の固定化量を稼ぐことが困難です。タンパクと低分子化合物の相互作用を測定する場合、Rmaxが10RUを下回ることも多いですが、高難度標的タンパク質と低分子化合物の相互作用を測定する場合、さらに低いRmaxしか得られないことがあります。シリーズ最高感度のBiacore™ 1S+では、最高濃度で0.5 RU 未満のレスポンスでしかない場合でも、濃度依存的なレスポンスの差を切り分けることが可能です(図1)。

図1:炭酸脱水酵素II に結合するCBSA (carboxybenzenesulfonamide)の相互作用

1:1の結合モデルにデータをフィッティング。Rmax=0.5 RU

さらに、Biacore™ 1S+ では、低ノイズと40 Hz のデータ取得レートによって速い解離速度の解析に必要な分解能が向上し、最大6 s-1 までの解離速度定数を決定することができます。40 Hz のデータ取得レートでの5 RU 未満のセンサーグラムを用いた速いMulti-cycle kineticsで(kd=2 s-1)、37°C においても3回の繰り返しデータで優れた再現性が得られました(図2)。

図2:炭酸脱水酵素II に結合するスルピリドの相互作用

安定したシグナルでできること

Biacore™ 1 seriesの高い品質の機器設計、低ノイズ、高いシグナル安定性により、10-6 s-1 までの非常に遅い解離速度においても信頼性の高い測定が可能となります。図3はBiacore™ 1K+を用いて抗原抗体の相互作用をSingle-cycle kineticsにより評価しています。1時間で5 RU程度しか解離しない非常に安定した分子の場合、解離の変化量が小さいために十分なシグナル安定性が求められます。

図3:Sensor Chip Protein A にキャプチャーされたモノクローナル抗TNFα 抗体へのTNFα の相互作用

このように高感度で安定したシグナルの得られるBiacore™ 1 seriesでは、以下のようなことを可能とします。

  • 小さい分子量の分子の結合・・・結合レスポンスが小さくても測定可能だから
  • 高難度の標的との相互作用・・・固定化量を稼げなくても測定可能だから
  • 解離の遅い相互作用の測定・・・解離の変化量が小さい測定でも安定したシグナルが得られるから

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