第4章
タンパク質サンプル調製ワークフロー内での適合性の確保(5)
サンプルクリーンアップ
サンプルクリーンアップは、界面活性剤、脂質、多糖類、核酸、フェノールなどの夾雑物をタンパク質溶液から除去するために使用する一連の手法のことです。使用する技術は一般にバッファー交換および脱塩と同じですが、プロトコールが異なります。さらに、DNAおよびRNAの分子サイズを低減するためにヌクレアーゼ処理が含まれることがあります。多くの場合、サンプルクリーンアップはタンパク質抽出に組込まれます(第2章参照)。
■核酸の除去
細胞体の溶解により核酸が抽出液中に放出されるため、一般にこのステップでサンプルの粘性が上昇し、特に細菌細胞を溶解する場合に問題となります。粘性上昇に伴う問題を避ける、または最小限に抑えるために、多くの場合、抽出ステップでヌクレアーゼを添加します。これは効率と収量を改善する手段となるだけではなく、夾雑物の混入とその後の分析でのアーチファクトを避けるのにも役立ちます。
Nuclease Mixを使用した核酸の除去
CytivaのNuclease Mixは、DNaseとRNaseのほか、最適なNuclease活性を得るために必要な補因子を混合した効率的な酵素ミックスです。この酵素ミックスは、プロテオミクス研究で使用するIEF/二次元電気泳動サンプルの調製において核酸を除去するために特別に開発されたものですが、他のアプリケーションにも広く使用できます。Nuclease MixはProtease Inhibitor Mixと併用が可能です(これについては第2章で説明しています)。
材料
製品に付属のNuclease Mix(100×溶液)。Nuclease Mixの各溶液には10 μlあたり80Units単位のDNase(ウシ膵臓)および1.2UnitsのRNase(ウシ膵臓)が含まれています。
前調製
プロトコール
- Nuclease Mixは懸濁液です。分取する前に短時間ボルテックスします。
- 反応ミックス1 mlあたりNuclease Mix 10 μlを加えます。短時間ボルテックスし、室温で30~45分間インキュベートします。
注:同じ反応ミックスにProtease Inhibitor(プロテアーゼ阻害剤のカクテル)を添加することもできます。
サンプル濃縮/容積の低減
サンプル濃縮/容積の低減では、希釈されたサンプルや大量のサンプルの容積と総タンパク質濃度を、ワークフローの次のステップの要件に合わせて調整します。使用できる技術には、限外ろ過(Ultra Filtration; UF)、沈殿、固相抽出(Solid Phase Extraction; SPE)およびエバポレーションがあります。これらの手法についてはすでに説明していますが、容積と濃度によってはプロトコールが異なることがあります。
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