2024.06.06

磁気ビーズの選択:サイズが重要です

By Cytiva

磁気ビーズにはさまざまな選択肢があります。ストレプトアビジンでコーティングされたビーズやストレプトアビジンブロックされたビーズもあります。また、滑らかなコーティングやテクスチャーコーティングされたビーズを使用することができます。キットでビーズを購入することも、自分専用のカスタムビーズを作ってもらうこともできます。それでは、どれが自分に最適かどうやって判断すればよいのでしょうか?

磁気ビーズを選ぶ際には、表面化学特性とその感度や特異性だけに焦点を合わせがちです。結局のところ、ターゲットがビーズ表面に結合しなければ、ビーズはあまり役に立ちません。しかし、他にも考慮すべき重要な要素があります。その中の一つがサイズです。

磁気ビーズのメーカーは、直径が1μm未満から約500μmまでのビーズを提供しています。一部のメーカーは同じ化学特性を持つ1〜2種類のビーズサイズしか提供していませんが、他のメーカーは複数のサイズ、さらには異なる化学特性を持つ異なるサイズのビーズを提供しています。ビーズを選ぶ際にサイズが最重要とされることはあまりなく、時には単に以前使っていたサイズを選ぶだけのこともあります。では、なぜサイズが重要なのでしょうか?

サイズに依存する磁気ビーズの物理的特性

まず、ビーズの物理的特性が変わります。高校の幾何学の授業を思い出してみてください。球の表面積は半径の二乗に比例するため、ビーズのサイズが大きくなるにつれて表面積も増加することがわかります。しかし、球の体積は半径の三乗に比例します。したがって、大きなマグビーズは表面積対体積比が低くなります。そのため、ビーズ1個あたりの表面積を増やしたい場合は大きなビーズを選ぶか、表面積対体積比を高くしたい場合は小さなビーズを選ぶことができます。

ビーズの密度も、同じ内部構造で作られていてもサイズによって変わります。例えば、Sera-Mag™ 磁気ビーズはポリスチレンコアにマグネタイト層、次にポリマー層が覆われ、最終的にさまざまなターゲットに結合するための化学的コーティングが施されています(図1)。ビーズの直径を1μm から3μm に変えると、ポリスチレン、マグネタイト、ポリマーの割合が変わります。すなわち、2つのビーズの密度は同じではありません。磁気ビーズの密度は、サスペンション中でのビーズの挙動に影響を与える可能性があります。

The layers of Sera-Mag magnetic beads

図 1. Sera-Mag™ 磁気ビーズの層構造

ターゲットを狙う

1μm のビーズと比較すると、3μm のビーズはより多くのマグネタイトを含んでいるため、磁石への引力が強くなります。大きなビーズは粘性の高い液体中をより速く移動します。その結果、大きなビーズの方が結果を得るまでの時間が短くなります。これらの事実を知れば、大きい方が常に良いと思うかもしれませんが、そうではありません。一般的に、ビーズのサイズはターゲットのサイズに合わせることが重要です。タンパク質や細胞のような大きな分子には大きなビーズを、核酸のような小さな分子には小さなビーズを使用します。

大きなビーズは懸濁液中でより速く沈降します。速い沈降は通常望ましくありません。ビーズが懸濁液中にとどまり、ターゲットがそれに結合しやすくなることが好ましい状態です。ビーズを懸濁液中に保つために混合時間を追加したい人はいません。ただし、いくつかの用途では、速い沈降速度が問題にならない場合もあります。

If it ain't broke…

もう一度、原点に立ち戻って考えてみましょう。時には、磁気ビーズのサイズについてあまり考えたくないことがあります。特定のサイズのビーズを使い慣れているか、既にそのサイズの磁気ビーズを使用して完成したアッセイを開発しているかもしれません。なぜ異なるサイズでわざわざ試行錯誤するのでしょうか?プロトコールには多くのコンポーネントが含まれているため、一つの変数を一定に保つことが好まれます。また、既に完成した診断テストの場合、再評価や規制上の手続きをやり直すのは避けたいものです。

より多くのサイズ、より多くの柔軟性

結論として、より多くのサイズを用意することで、分子生物学、ゲノミクス、免疫アッセイなどの用途において、より柔軟性が得られます。サイズの選択は何を実現したいか、または何を避けたいかによります。慣れた磁気ビーズのサイズにこだわるのが最も安心かもしれませんが、用途によってはより小さなビーズや大きなビーズの方が適している場合もあります。ビーズのサイズ選択については、当社の診断チームのメンバーに相談してください。ポートフォリオに希望のビーズサイズが見つからない場合は、ニーズに合わせてカスタマイズすることも可能です。

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