バイオ医薬品製造のためのTFFシステム

Cytivaでは、バイオ医薬品製造のためのTangencial Flow Filtration(タンジェンシャルフロー・フィルトレーション:TFF)を、ラボスケールのベンチトップシステムからフルカスタマイズ可能なGMP製造システムまで幅広くご用意しています。

CytivaのTangential Flow Filtration(タンジェンシャルフロー・フィルトレーション)の特長

わずか数mLのサンプルによるアプリケーション開発からパイロットスケール、そして10,000 Lを超える商業生産まで、同じメンブレンを使用したスケールアップが可能です。Cytivaは、お客様の精製工程の課題解決のため最適な製品を提案し、トライアル試験、バリデーションおよびテクニカルサポート、オペレーショントレーニングなどを通して、TFFプロセスの導入をサポートします。

Tangential Flow Filtration (TFF) とは

TFFの仕組み・原理

Tangential Flow Filtration(通称TFF)は、別名クロスフローフィルトレーション(CFF)とも呼ばれ、生体分子やウイルス、細菌、細胞材料などの粒子を含む溶液のろ過と分離に適した迅速で効率的な方法です。

液体がメンブレン表面に沿って接線方向に流れ、ほとんどの液体はタンクに戻って循環します。液体がメンブレン表面を「押し流す」ことにより、メンブレン表面の細孔を塞ぐ付着物の蓄積を防ぎ、濃度分極(メンブレン表面の成分濃度)を低減します。

速い接線方向のクロスフローが圧力損失を作り出し、それによりメンブレンフィルターの細孔よりも小さい溶液中の分子の一部がメンブレンを通過します。メンブレンを通過した溶液は、ろ液または透過液と呼ばれます。メンブレンの孔径より大きな分子や粒子は、供給液中に保持されて効率的に濃縮されます。

精密ろ過 (MF: Micro Filtration)と限外ろ過 (Ultra-Filtration)

  • 精密ろ過
    精密ろ過メンブレンは通常、0.1~1 μmの孔径を有し、一般的に清澄化、滅菌、除粒子および細胞回収など用いられます。
  • 限外ろ過
    はるかに小さい0.01~0.1 μmの孔径を有する限外ろ過メンブレンは、溶液中に溶けている分子(タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、他の生体分子)の濃縮と脱塩、バッファー交換、分画および水の精製などに用いられます。通常は限外ろ過メンブレンでは、孔径ではなく分画分子量(MWCO)によって表記されます。

Tangential Flow Filtration (TFF) の流体力学特性

TFFは、メンブレンの目詰まりを低減させ、ろ過流量(透過流束)を長時間維持できるため、ダイレクトフローフィルトレーション (DFF:Direct Flow Filtration)と比較して、処理能力(総ろ過量)が向上します。TFFのさらなる利点として、フィルターモジュールの再使用が可能で消耗品の資本コストが比較的低いことが挙げられます。

バイオ医薬品製造におけるTangential Flow Filtration (TFF) の活用

TFFは、バイオ医薬品の研究開発および探索のアプリケーションからパイロットスケール、さらにフルスケールの生産に至るまで幅広いバイオ医薬品分野で濃縮や脱塩のプロセスに応用されています。それは、分子サイズによる生体成分の分画や、細胞培養液からの目的成分の回収、および清澄化などに使用できます。

代表的なアプリケーション

  • タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド溶液の濃縮と脱塩
  • 抗体や組み換えタンパク質の精製と回収
  • ワクチンやコンジュゲートの濃縮と脱塩
  • タンパク質混合液の分画
  • 血漿の分画と精製
  • 細胞培養液の清澄化と濃縮
  • モノクローナル抗体(mAb)生産における細胞培養液の灌流
  • 発酵ブロスの清澄化
  • 水やバッファーの精製(エンドトキシン除去)