高品質プラスミドDNAの精製



分子生物学研究において、高純度プラスミドDNAの需要はさらに高まっています。クローニング技術の進歩により、サンプル数が大幅に増加し、ハイスループットかつ小スケールでのプラスミド調製が要求されています。ドラッグデリバリー、前臨床試験、DNAワクチン製造といった幅広い用途に応じて、高品質プラスミドDNAの必要量は異なります。このようなアプリケーションに適したプラスミドDNAの選定と最適化は、通常、1~1.5 mLの小スケール培養から開始されます。このバクテリア培養液から精製したプラスミドDNAにより、クローニングを評価する産物が得られます。より詳細な評価については、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、制限酵素切断とゲル分析の併用、サンガーシーケンスといった技術が多用されています。

通常、アルカリ溶解法によるプラスミドDNAの分離は、シリカメンブレンによる精製を組み合わせて実施します。この方法では、界面活性剤を含むアルカリ条件下でプラスミドを有するE. coli細胞を溶解させます。ライセートを中和した後、バクテリアのゲノムDNAやタンパク質を沈殿させて、プラスミドDNAを分離します。この沈殿物を遠心操作やろ過で分離すると、プラスミドDNAが溶液内に残ります。



核酸結合用AcroPrep™アドバンス96-ウェルロングチップフィルタープレートは核酸の分離・精製に最適な独自のシリカベースの石英ガラス繊維メンブレンが備えられており、ハンギングドロップとクロストークを最小限に抑える、新規ロングチップ構造が採用されています。このような改良点を組み合わせることで、高い処理能力と良好な感度が得られ、シグナル/ノイズ比が増加し、処理時間を短縮します。実際のプラスミドDNA精製操作では、研究室で入手、調製が容易な精製用標準試薬を用います。

核酸結合用AcroPrepアドバンス96-ウェルロングチップフィルタープレートは、品質の低下を防ぐと共に、処理能力と安定性を向上させることで、プラスミドDNAの小スケール精製における魅力的なプラットフォームを提供します。精製したプラスミドDNAは、PCR、制限酵素切断、サンガーシーケンスといったダウンストリームアプリケーションに最適です。

また別の核酸精製の方法において、ポールは従来のクロマトグラフィー用レジンと比較して、より高い動的結合能力を提供することができるイオン交換クロマトグラフィーメンブレンを提供できます。

クロマトグラフィーにおいて、レジンベースの処理に限界がある場合(例えばウイルスや大きな分子の精製など)には、メンブレンが頑丈かつスケーラブルで、経済的な方法となることが知られています。メンブレンはレジンよりも高い流速を持ち、レジンでは限界があるアプリケーションでよく機能します。Cytivaの独自のメンブレン技術により、イオン交換を用いて核酸やタンパク質の精製を可能にする、Mustang®陰イオン、陽イオン交換クロマトグラフィーメンブレンを開発しました。



Mustang陰イオン交換メンブレン (Mustang Qメンブレン) は核酸除去用品とて、例えばワクチンなどの治療用品からDNAを除去する用途にも用いられています。またプラスミドDNAの精製にも使用できます。精製した多数のプラスミドDNAを限外ろ過用AcroPrepアドバンス 96-ウェルフィルタープレート (Omega™メンブレン)を用いることで、迅速に濃縮、分画することができます。一般に、PCR産物から不要なプライマーおよびdNTPSを除去することができます。

Cytivaは、このような用途に役立つ限外ろ過用のAcroPrepアドバンス96-ウェルフィルタープレート (Omega™メンブレン) およびナノセップ®、Microsep™アドバンス、マクロセップ®アドバンス遠心ろ過デバイスを取り揃えております。