透析ろ過は、メンブレンに通過可能な小分子を洗い流し、保持液側の大きな分子の濃度を変化させずに保持する分画工程で、脱塩やバッファー交換に使用できます。エタノールその他の溶媒、もしくは添加物を除去することも可能です。透析ろ過にはいくつかの方法があります。連続的な方法では、ろ過が行われるのと同じ速度でろ過溶液(水もしくはバッファー)をサンプル供給リザーバーに加えます。この方法においては、サンプルリザーバー中の容量を一定に保ったまま、メンブレンを自由に浸透できる小さな分子(塩類など)を洗い流します。たとえば塩類の除去の場合、追加する透析ろ過容量(DV)ごとに塩濃度は減少します(処理開始時のサンプルと等しい容量の水もしくはバッファーを供給リザーバーに追加し、開始時の容量に薄めることを1透析ろ過容量(DV)と表します。たとえば500 mL のサンプルでスタートした場合は1 DV = 500 mLとなります)。連続的透析ろ過により5 DV を使用すると、溶液中のイオン強度を最大99% 削減できます。 非連続な方法では、先に溶液を希釈し、この溶液を濃縮して開始時の容量まで戻します。この希釈と濃縮の過程を、リザーバーに残っている低分子(例えば塩類)が必要とされる濃度に薄まるまで繰り返します。DV を追加するごとにサンプルの塩濃度は減少します。これにより5DV を使用すると、溶液中のイオン強度を最大96%削減できます。連続透析ろ過は非連続な透析ろ過と比べ、少ないろ過容量で同程度の脱塩を達成することができます。また、最初にサンプル濃縮を行なうことで、目的とするイオン強度の達成に必要な透析ろ過の溶液量を大きく削減することができます。1 Lのサンプル中のイオン強度を非連続的透析ろ過で96% 除去するには、5 DV、つまりこの場合は5 Lの透析ろ過溶液が必要になります。もしそのサンプルが先に1/10 量の100 mL にまで濃縮されていれば、5 DV はわずか500 mL になります。これによりバッファーと処理時間を効果的に節約することができます。