中心静脈・末梢静脈ラインでの輸液療法
中心静脈・末梢静脈ルートは栄養投与から化学療法など多目的に使用されています。薬剤の調製あるいは投与時の操作によって混入する恐れのある細菌・真菌・微小異物などのリスクがあり、患者の循環系へ侵入することを防ぐためにインライン輸液フィルターが用いられています。
市販されている一般的な孔径0.2 μmの輸液フィルターは微生物・微小異物・空気を除去する性能を有していますが、グラム陰性菌の細胞壁に由来する発熱性物質エンドトキシンの保持能力はないために24時間を超えて使用しないことが望ましいとされています 1 )。
エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁に局在するリポ多糖とタンパク質の複合体であり、溶菌した場合に大量に産生されて内毒素・発熱因子として微量でも毒性を発揮します。
エンドトキシンにはマイナスのゼータ電位となる高い陰性荷電を有しているので、逆の陽性荷電を持つ膜であれば静電吸着によって保持することができます。
ポール輸液フィルターELDはプラスのゼータ電位を有した、エンドトキシン除去可能なポジダイン膜を使用しているので96時間使用できます。
参考文献
- Holmes C et al., ; Potential hazards associated with microbial contamination of in-line filters during intravenous therapy. Journal of Clinical Microbiology, Vol. 12(6), 1980
- T.G. Baumgartner, et al., : Bacterial Endotoxin Retention By Inline Intravenous Filters. AM J Hosp Pharm, 43: 681-684, 1986
- 堀部和夫ほか: 輸液フィルターの細菌及びエンドトキシン除去能に関する検討, 外科と代謝・栄養, 22(3): 235-242, 1988
- 矢後 和夫ほか: 微量元素のエンドトキシン除去フィルターへの影響,JJPEN, 13(6): 543 - 547, 1991
- C. Richard, et al., : A Comparison Of The Endotoxin Retentive Abilities of Two "96-h" In-Line Intravenous Filters, J. Clin Pharm Therap. 19: 199 - 202, 1994
- R. Spielberg, et al.,: Evaluation Of The Endotoxin/Bacterial Retention Capabilities Of I.V. Filters During Simulated Extended Infusions (社内資料)
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