医療現場で液体ろ過に使用されるメンブレンは細菌汚染のリスクを低減するため、あるいは患者の治療で使用されるさまざまな薬剤の組み合わせで生じる配合変化での大きな粒子を保持するために必要とされる場合があります。選択したメンブレンのさまざまな性能特性により、御社で開発製造する最終製品の性能が決定づけられます。ポール・ブランドは、高流量、絶対ろ過精度での孔径評価、生体適合性、脱落性、低抽出物、低吸着または高結合といった特性を提供する膜材料を提供します。
ポール・ブランドの液体ろ過メンブレンは静脈内輸液剤の安全かつ効果的な投与を保証する目的として、大手メーカーによって何十年にもわたって使用されてきました。静脈ラインでのインラインフィルターとして使用する場合、ポール・ブランドのメンブレン材料は汚染のリスクと、輸液療法中に発生する可能性のある二次感染の可能性を減らすのに役立ちます。滅菌グレードのメンブレンは、細菌で汚染された液体を介して感染が伝染しないようにするために重要となります。
液体のろ過メンブレンは、細胞および分子レベルの治療法という成長分野で潜在的な可能性を有する性能特性を示します。治療法の利点がさらに探求されていますが、ポールではこれらの新しいテクノロジーで用いられる細胞をポールのメンブレンで捕捉・収集・分離・調製する方法を研究し続けていきます。
液体ろ過メンブレンを選択する
輸液療法向けのメンブレンを選択するには、各メンブレンに関連する機能と、それらが結果として表れるパフォーマンスにどのように関連するかについての理解が必要です。検討すべき項目として、孔径、タンパク質との結合能力、化学物質との適合性、流速、抽出物およびスループットが含まれます。御社での静脈ラインでの開発プロジェクトに最適な材料を選択するためにも、医療向けメンブレン製造での豊富な経験を有するポールをどうぞご活用ください。
流量
必要な流量を特定する場合、最初に考えなければならないことは孔径サイズとろ過する液体の総量です。選択するメンブレンの孔径は、最終的なデバイスで目的とする性能によって決定づけられます。孔径は流量やスループットなど、膜の機能特性に影響します。
たとえば、孔径が大きいメンブレンを使用すると、孔径が小さいメンブレンよりも、流速が速くなり、スループットが向上します。異なるポリマー(材質)とキャスティング方法(製法)のメンブレンは、同じ孔径であっても異なる流量とスループットを示す可能性があることを理解しておくことも重要です。
孔径と同様に考えておかなければならないことは、メンブレンの多孔性です。多孔度は、膜のすべての空隙または細孔の尺度となります。流量は膜の多孔性に正比例します。ポールのポリエーテルスルホンメンブレンは、高流量と優れたろ過効率を示す、多孔性に優れたろ過材料です。
多孔質構造や孔径の大きさを示すメンブレンの電子顕微鏡像
薬剤の吸着
膜の選択にとって重要なことは、有効成分の非特異的吸着を低減させることです。低タンパク質吸着膜の使用は、今日の生物学的製剤の投与に重要です。ポリエーテルスルホン(PES)などの低タンパク質吸着膜は、潜在的な薬物相互作用のリスクを軽減し、投与した薬剤の量の完全性と一貫性を守ります。本質的に親水性の膜は、薬物分析および生物学的プロセスを妨害する可能性のある湿潤剤を必要としません。
幅広い孔径のラインナップがあるポリエーテルスルホン膜は、溶液中の細菌または脂質溶液中で凝集して形成された小球から患者を保護する輸液アプリケーションでの特定の選択を可能とします。具体的な例として、ポールの0.2 µmのポリエーテルスルホンメンブレンで、これはタンパク質の膜への吸着を最小限に抑え、優れた細菌保持を実現するものとして、重要な流体用途向けに開発されました。材料の親水性という特性により、複数回の再プライミングが可能となっています。
細菌の保持性能/滅菌グレード
膜構造への化学物質を染み込ませ、構造全体での二次的な化学反応としての重合反応を行う、あるいは膜をキャストした後のベースポリマーを化学修飾することによって、膜の湿潤特性を変更するために化学的に処理されることがあります。湿潤剤はろ過速度の向上という利点をもたらすかもしれませんが、溶出物の可能性を考慮する必要があります。溶出物は、メンブレンまたはフィルターデバイスから浸出するか、そうでなければ剥離する可能性のある物質であり、最終的には患者の循環系へ到達する恐れのある液体になりえます。ポールのポリエーテルスルホン膜は本質的に親水性であり、二次的な汚染源からの汚染という懸念を減らすほど極めて低水準の溶出物に留まることが示されています。
材質の適合性
新薬が開発され続けると、新薬とそれに必要な物品との間における物質的な相互作用によって適合しない場合が増えることになります。防腐剤、緩衝液、温度、濃度など、さまざまな要因が薬剤の適合性と安定性に影響を与える可能性があります。酸化、還元、分解、複合体形成などの化学反応も、医薬品の効果に影響を与える可能性があります。吸収、沈殿、乳化系の分離などの物理化学的相互作用も、材料の非適合性に起因する可能性があります。
ポール・ブランドには、輸液療法用の親水性メンブレンのポートフォリオに関する材料適合性データの豊富なライブラリがあります。
ポール・ブランドの医療機器開発向けOEMメンブレン
ポール・ブランドの細孔性材料は製造用に適した数百メートルの長さのロール形態から開発研究用途での8x10インチサイズのシート形態まで様々な提供形態をラインナップしています。ロール形態の製品も様々な幅サイズを取り揃えておりますので、ご要望の幅にてご利用いただけます。
ポール・ブランドの細孔性材料は米国薬局方クラスVI生物学的安全性に適合した、医療の様々なアプリケーションの医療機器の開発に適したメンブレンです。
グローバルのネットワークを活かした国際的な基準や規制に即した書類や世界ならびに日本国内にある応用技術研究所によるサポートで御社の医療機器開発を支援いたします。
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