ÄKTA pure™ では、マニュアル操作での洗浄、および洗浄用のメソッドを作成して自動的に洗浄することが可能です。
A:マニュアル操作での洗浄
対象:カラムバルブなしのシステム
- カラムバルブが搭載されていないシステムの場合は、必ずこの方法で洗浄
- 使用したすべてのラインとカラムをマニュアル操作で洗浄
(Pump Wash、カラム耐圧設定などを個別に順次手動で実施) - カラムを破損しないために、手順の途中でカラムを取り外します
注意!手軽に実施できるが、メソッドで使用した箇所の洗い忘れに注意
(サンプルループ、フラクションコレクターなど)
カラムバルブありのシステムでも実施可能だが、「B:メソッドでの洗浄」を推奨
B:メソッドでの洗浄
対象:カラムバルブありのシステム
- 使用したすべてのライン、およびカラムの洗浄をプログラムして実行
- 洗い忘れ箇所が生じる心配がない
- メソッドを作成する手間は1回
(カラムごとにメソッドを作成する必要があります)
それぞれの手順は、下の「+」を展開して確認いただけます
メソッド作成と操作手順は下記の通りです。
1. 超純水をセット
使用したインレットチュービング(サンプルポンプを使用した場合は、サンプルインレットも含む)を超純水に接続します。
2. ポンプ内の溶液置換
- Manual Instructions ダイアログより
- Pumps → Pump A Wash → (使用したインレット) → Execute
- Pumps → Pump B Wash → (使用したインレット) → Execute
- Pumps → Sample Pump Wash → (使用したインレット) → Execute
3. カラムの洗浄前の耐圧設定
注意!マニュアル操作でカラムを洗浄する場合は、必ず耐圧設定を入力してからカラムへ送液します
耐圧設定については“はじめてお使いの方へ“の4.1 章を参照。
カラムバルブ V9-Cs / V9H-Cs / V9-Cm が設置されている場合、およびカラムバルブ無しの場合
- Alarms → Alarm pre-column pressure → High alarm(Max delta column pressure の値)→ Execute
耐圧値はカラムによって異なります。Column handling に記載されている Max delta column pressure の値を入力します。
HiTrap™、HiLoad™、HiPrep™、HiScreen™ カラムについては、Max delta column pressure に FR-902 で発生する 0.2 MPa を加算した値(ただし、カラムハードウェアの耐圧値を超さない)を Alarm pre-column pressure の耐圧値として入力します。
カラムバルブ V9-C / V9H-C が設置されている場合
- Alarms → Alarm pre-column pressure → High alarm(Max pre-column pressure の値)→ Execute
- Alarms → Alarm pre-column pressure → High alarm(Max delta column pressure の値)→ Execute
耐圧値はカラムによって異なります。Column handling に記載されている Max pre-column pressure および Max delta column pressure の値をそれぞれ入力します。
4. カラムへの流路切替え
カラムバルブが設置されている場合は、流路を切り換えます。
- Manual Instructions ダイアログより
- Flow path → Column position → Position 1(使用したポジション)→ Execute
5. カラムへの送液開始
- Manual Instructions ダイアログより
- Pumps → System Flow → (至適流速またはそれ以下)→ Execute
6. カラムへの送液終了
手順 5での送液をカラム体積の 3 倍以上続け、UV、Cond、Pressure カーブが安定したらカラム流路をバイパスに戻します。
- Manual Instructions ダイアログより
- Flow path → Column position → Bypass → Execute
続けて END ボタンをクリック
7. カラムの取り外し [ 重 要 ]
カラムバルブが設置されていない場合は、ここでカラムを取り外します。
注意!カラムを外さずにこの後のステップを実施しないでください。システム洗浄での高流速でカラムを破損する恐れがあります。
8. フラクションラインの洗浄
F9-R を使用の場合
5 mL 容量以上の試験管をセットします。
- Manual Instructions ダイアログより
- Pumps → System Flow → 2~5 mL/min → Execute
- Flow path → Outlet Valve → Frac → Execute
2 mL 送液したら、そのまま(ENDせずに)次の項目(手順 9)へ進みます。
F9-C を使用の場合
- Manual Instructions ダイアログより
- Pumps → System Flow → 2~5 mL/min → Execute
- Fraction collection → Fraction collector Wash → Execute
このコマンドが実行される間のみ、フラクションコレクターへ高流速で送液されます(そのためカラムバルブを設置していない装置の場合には、必ず事前にカラムを取り外します)
フラクションコレクターへの送液が終了したら、そのまま(ENDせずに)次の項目(手順 9)へ進みます。
F9-T を使用の場合
- Manual Instructions ダイアログより
- Pumps → System Flow → 1 mL/min → Execute
- Fraction collection F9-T → Go home → Execute
- Flow path → Outlet Valve → position Frac
1 分間のフラクションコレクターへの送液が終了したら、次の項目(手順 9)へ進みます。
9. アウトレットラインの洗浄
アウトレットバルブで分取した場合、使用したラインの洗浄も行います。
- Manual Instructions ダイアログより
- Flow path → Outlet Valve →(任意のポート)→ Execute
5 mL 以上送液したら END ボタンをクリックします。
10-1. サンプルループの洗浄(サンプルループを使用した場合)
超純水を満たしたシリンジをインジェクションバルブの Syr ポートに接続し、サンプルループ体積の 3 倍量以上の超純水で洗浄します(この際、空気が混入しても問題ありません)。<終了>
10-2. サンプルポンプの洗浄(サンプルポンプを使用した場合)
0.5~1M 水酸化ナトリウムのような洗浄溶液での送液洗浄を行います。
サンプルインレットを洗浄溶液のボトルに接続します。
- Flow path → Injection valve → Direct inject → Execute
- Pumps and Pressures → Sample Flow → 1 mL/min → Execute
20~30 分以上送液したら END ボタンをクリックします。
洗浄後、サンプルインレットを超純水のボトルに接続し、ポンプ洗浄を行います。
- Pumps and Pressures → Pump Wash →(使用したサンプルインレット)→ Execute
終了したら END ボタンをクリックします。<終了>
お疲れ様でした!
- ここまでで超純水での洗浄が完了します(サンプルポンプは洗浄液と超純水による洗浄まで完了)。
- 2日間以上システムを使用しない場合には、手順 7で外したカラムを再度取り付け、引き続き20%エタノールでの置換作業を同様の手順通りに実施します。
- カラムの保存液が20%エタノールの場合には、1-2の手順にて保存液でのPump Washまで実施してから、カラムを取り付け、手順3-7を実施します(ここまででカラムの保存液置換が完了)。その後、システム保存のための操作として、20%エタノールにて手順1-2、8-10を実施します。
- 流路全体を水酸化ナトリウムで洗浄したいときは、超純水→水酸化ナトリウム→保存液の順で同様の操作を実施します。
Tips!
“6. カラムへの送液終了” や”10-2サンプルポンプの洗浄”の際に、エンドタイマー機能を使うと、設定した液量を送液後に自動で終了することができます。
- Other → Timer →(パラメーターを設定)→ Execute
20%エタノールは溶液粘性が高いため、至適流速よりも低い流速で送液します(例:室温では 1/2 程度、低温では1/4 程度)
操作手順は下記の通りです
カラム洗浄用のメソッドを作成します
- すでにメソッドを作成済みの場合は手順 9 から開始
- メソッド作成の概要は“はじめてお使いの方へ“の7 章を参照
1. 新規メソッド作成
Method editor より File ↓ New Method
2. メソッドタイプを選択
Predefined Method にチェックを入れ、Predefined Method を選択し、OK
3. 基本設定
メソッド概要中の Method Settings フェーズをクリックし、Column Type selection、Column position などの項目を入力。
Pressure limit pre-column の値には、Max delta column pressure の値を入力し直します。
カラム耐圧の設定については、“はじめてお使いの方へ“の4. カラムの接続を参照
4. カラム洗浄内容を入力
メソッド概要中の Predefined Method ボタンをクリック
Volume (CV)に洗浄で使用するカラム体積(3~5)を入力。
必要に応じて流速を変更します。
注意!初期値は 1 mL/min のため、推奨流速が 1 ml/min 以下のカラムの場合には、必ず変更します。
5. システム洗浄のPhaseを挿入
Phase Library 中の System Preparation を、Method Settings と Predefined Method の間にドラッグ
6. システムの洗浄箇所を指定
カラム以外の洗浄する(使用した)ラインを選択します。
例:初期に選択されているインレットに加え、B1、Fraction collector を選択。F9-C を使用した場合には、Fraction collector も選択。
Volume per position:上記で選択した各ラインの洗浄で使用する液量(20~30 ml)を入力。
サンプルループを洗浄する場合は 、「Injection valve with capillary loop」にチェックを入れ、Loop cleaning volume にサンプルループの 3 倍以上の容量を入力します。
※ループバルブ(オプション)を使用した場合は、Number of loops より使用したループの数を選択します。
System Preparation フェーズではカラムの保護の観点から、Column position(カラムポジション)を選択しないで下さい。選択するとカラムに対しても本フェーズで設定した流速で送液、最大圧はシステム圧上限に設定されるため、カラムは保護されません。
選択する場合は、カラムを取り外し、バイパスチュービングを接続してから、洗浄します。
サンプルループの洗浄をマニュアルで行う場合は、超純水を満たしたシリンジをインジェクションバルブの Syr ポートに接続し、サンプルループ体積の 3 倍量以上の超純水で洗浄します(この際、空気が混入しても問題ありません)。
7. メソッド開始時の表示画面を設定
画面上方のメニュー Tools より Start Protocol をクリックします。
表示されたダイアログから、Variable List にチェックを入れ、OKボタンをクリックします。
8. メソッド保存
File ↓ Save(または Save As)を選択し、任意の名前をつけて保存します。
9. 洗浄メソッド開始の準備
洗浄用メソッドで設定したインレットチュービングを超純水に接続します。
10. 洗浄メソッド開始
System Control より File ↓ Open を選択します(Method Navigator が開いている場合は不要です)し実行するファイルを選択します。File ↓ Run を選択します。
11. 開始前の設定確認・メソッド開始
Start Protocol 画面が表示されます。Variable List ウィンドウでカラムの種類を確認します。異なるカラムが設定されている場合は、使用するカラムを選択します。パラメーター(流速、耐圧、カラムポジションなど)を確認し、Next ボタンをクリックします。
最後のウィンドウまで進めると Finish ボタンがアクティブになります。Finish ボタンをクリックします。
お疲れ様でした!
- ここまでで超純水でのシステム、カラムの洗浄が完了します。
- 2日間以上システムを使用しない場合には、引き続き20%エタノールでの置換作業を同様の手順通りに実施します。
- 流路全体を水酸化ナトリウムで洗浄したいときは、超純水 → 水酸化ナトリウム → 保存液の順で同様の操作を実施します。
20%エタノールは溶液粘性が高いため、至適流速よりも低い流速で送液します(例:室温では 1/2 程度、低温では1/4 程度)
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