別記事「Biacore™ 1 seriesでできること多様なインジェクション」においてもご紹介しております、Poly injectionの具体的なアプリケーションをご紹介いたします。

Poly injectionの概要図

Figure 1:Poly injectionの概要図。最大5サンプルをランニング緩衝液によるwashを挟まずに連続添加できるインジェクション方法です。

アプリケーション(1)DNAミスマッチ修復機構の形成を追う

DNAミスマッチ修復機構

DNAミスマッチ修復機構は細菌からヒトまでさまざまな生物に存在する高度に保存されたプロセスです。

大腸菌におけるこのプロセスを順に見ていくと、

  • DNA複製エラーで起きたDNA損傷部位(ミスマッチ塩基対など)にDNA損傷修復誘導タンパク質MutSが特異的に結合し、ATP依存的にクランプ形成し
  • MutLをリクルートします。
  • MutS–MutL複合体は制限酵素であるMutHを活性化し、その認識部位である新生鎖側のGATC配列にニック(切れ目)を入れます。MutHが導入したニックを足がかりに
  • ヘリカーゼUvrD
  • エキソヌクレアーゼがエラーを含むヌクレオチドを除去し
  • DNAポリメラーゼによる修復合成が行われます。

今回のBiacore™ のpoly injectionによる測定では、Sensor chip SAに対しビオチン標識DNA含ミスマッチ配列を固定化、MutSをサチュレーションするまで添加(SolutionA)、MutS+MutLを添加(SolutionB)、最後にMutS+MutL+可変濃度のUvrDを添加(SolutionC)しています。結果、UvrD濃度依存的なデータを得ることができ、ステップワイズな複雑な多段階反応を測定できていることが確認できました。

ステップワイズな複雑な多段階反応を測定

Figure 2

アプリケーション(2)SARS-CoV-2タンパク質に対する結合の独立性を検証

SARS-CoV-2スパイクタンパク質におけるRBDをSensor Chip CM5上に固定化し、抗RBD抗体(SolutionA)、ACE2(SolutionB)、抗ヒト抗体(SolutionC)をpoly injectionで添加しました。抗RBD抗体は中和抗体ですが、RBDのエピトープとはオーバーラップしない抗体です。

Figure 3

Cycle 1では全てのサンプルを添加したものです。一方、Cycle 2ではSolutionAを、Cycle3ではSolutionBを、Cycle 4ではSolutionCをBufferに置き換えています。右の図ではCycle 1からそれぞれのCycle 2,3,4を差し引いたものを示しています(任意のサイクルから差し引きが可能です)。図から明らかなように、それぞれの相互作用は完全に独立して行われていることが示されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ご研究に新たな切り口となれば幸いです。Poly injectionは Biacore™ 1 series にしかない機能となりますのでご注意ください。

Biacore™ Knowledge Center