ウェスタンブロッティングの原理
最良なウェスタンブロッティングのためのKey Point
エレクトロブロッティング装置の種類
ブロッティング専用の電気泳動装置は、ブロッティングバッファーの使用量が少なく、短時間でブロッティングができるセミドライ式が一般的で、その他にタンク式とセミウェット式があります(図1、表1)。
メンブレンの選択
メンブレン材質は、ニトロセルロース、PVDF、ナイロンがよく知られています。ウェスタンブロッティングには、ニトロセルロースのほか、物理的強度に優れ、蛋白質の保持能も高いPVDFが多く用いられています。ナイロンは核酸のブロッティングにおいては主流ですが、ウェスタンブロッティングにおいてはバックグラウンドが高い、染色ができないなどの理由で用いられません(表2)。
検出に用いる抗体の選択
メンブレンにブロッティングした特定のタンパク質に反応する抗体を用いて検出を行います。目的タンパク質に特異的な抗体を一次抗体と呼びます。一次抗体を直接標識し、検出に用いることもできますが、一般的には、一次抗体に対する酵素標識二次抗体、ビオチン-ストレプトアビジン複合体などを用いて感度、特異性を向上させて検出を行います。 |
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図1. ブロッティング装置の種類 |
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タンク式 ブロッティング装置 ゲルおよびメンブレンをタンク内のバッファーに沈めて転写を行う。 |
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セミドライ式 ブロッティング装置 バッファーに浸したろ紙の間にゲルとメンブレンをセットし、ろ紙に電極を接触させ、転写を行う。 |
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セミウェット式 ブロッティング装置 モジュール内にろ紙・ゲル・メンブレンを重ねて設置する。モジュール内にバッファーを満たして転写を行う。
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表1. ブロッティング装置の特長 |
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表2. ウェスタンブロッティングに用いられるメンブランの特長
メンブランの材質 |
タンパク結合能 (μg / cm2) |
検出限界(pg) |
結合様式 |
色素染色 |
バックグラウンド |
物理的強度 |
ニトロセルロース |
80~100 |
10~50 |
疎水結合静電気的結合 |
可 |
中程度 |
弱 |
PVDF |
300~400 |
5~50 |
疎水結合静電気的結合 |
可 |
低 |
強 |
ポジティブチャージナイロン |
~500 |
5~50 |
疎水結合イオン結合 |
不可能 |
高 |
強 |
ウエスタンブロッティング検出法選択
現在汎用されている化学発光法は、酵素標識抗体と基質が反応し、生じたエネルギーが変換されて起こる発光を検出します。それに対し、化学蛍光法では、酵素標識抗体によって基質から生成された蛍光物質を蛍光イメージャーによって検出します。発色法は同様に基質を用いますが、抗体結合部に沈着した色素により検出できます。一方、ラジオアイソトープを用いる場合、オートラジオグラフィーにより125I, 35S標識抗体の結合部を直接検出します(表3)。
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化学発光法 |
化学蛍光法 |
蛍光法 |
酵素発色法 |
RI |
ECL™ Plus |
ECL™ |
ECF |
Cy3,Cy5など |
DAB,BCIP/NBTなど |
125I,35S |
感度(ng) |
0.1 |
1.0 |
1.0~5.0 |
15~30 |
100~500 |
- |
抗体の有効利用 |
◎ |
○ |
○ |
○ |
△ |
△ |
リプロービングの容易性 |
○ |
○ |
○ |
○ |
× |
× |
定量化 |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
○ |
△ |
結果の保存性 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
◎ |
シグナル放出時間 |
24~48 h |
1~2 h |
24~48 h |
several weeks |
- |
several weeks |
DAB:diaminobenzidine tetrahydrochloride BCIP:bromo chloro indolylphosphate NBT:nitroblue tetrazolium
◎:最適 ○:適 △:使用可能 ×:不適
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