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Location:Home実験手法別製品・技術情報サンプル調製:タンパク質濃縮・免疫沈降

今回のテーマ:「免疫沈降 バッチ法?それともスピンカラム?」

目的タンパク質がサンプル中に含まれているかの確認、あるいは目的タンパク質と相互作用するタンパク質を探索する手法として免疫沈降はとても有用な技術です。

以前にご紹介した免疫沈降の基本原理や担体の選択(参照:「どの担体を使って免疫沈降を行うの?」)に続き、ここでは免疫沈降を実施する際の手法や関連製品についてご紹介します。


バッチ法? それともカラム?

一般的に、免疫沈降は数十 µl~数 mlの液量スケールで、バッチ法や担体充填済みのスピンカラムを用いて処理することが多いです。その他、担体が結合した磁気ビーズを用いる方法があります。

免疫沈降で用いる手法の特徴と関連製品についてまとめたものが表1です。どの手法も基本となる操作手順に変わりはなく、下記のような流れで操作を進めます。(参照:「どの担体を使って免疫沈降を行うの? 」 免疫沈降って

  1. 細胞を溶解してタンパク質を抽出
  2. 抽出溶液に目的タンパク質に対する抗体を加えて抗原抗体反応
  3. Protein AやProtein G担体と混和、または担体が固定化されているプレパックカラムにサンプル溶液を添加
  4. 遠心分離などで溶液を除去し、担体および抗体に結合している目的タンパク質を洗浄
  5. 酸性バッファー等を用いて溶出、またはSDS-PAGE用サンプルバッファーを加えてボイルし、溶液をそのままSDS-PAGEやウェスタンブロッティングに用いる
表1 各手法の長所と短所および関連製品
手法 ゲル担体を用いたバッチ法 磁気ビーズカラムを用いたバッチ法 スピンカラム
長所

サンプル溶液量に制限がない

担体量あたりのIgG結合量が多く経済的

サンプル溶液量に制限がない

磁気でビーズを固定できるため溶液除去が簡単(デッドボリュームがほとんどない)

担体が充填済みのためすぐに処理が可能

短所 完全に溶液を除去することが難しい
(デッドボリュームが生じる)

磁気ビーズ回収用の磁気ラックが必要

左記バッチ法と比較するとコストがかかる

サンプル溶液の処理量が決まっている

若干のデッドボリュームがある

該当する弊社製品

バッチ法による免疫沈降

バッチ法は、抗体を吸着するためのnProtein A担体やProtein G担体のスラリーをマイクロチューブに加えて処理を行います。抗原抗体反応を終えたサンプル溶液を担体スラリーと混合して吸着させて目的タンパク質の複合体を回収します。担体さえ準備できれば、手軽に免疫沈降を始めることができます。

プレパックカラムタイプと異なる点として、サンプル溶液量や目的タンパク質の回収量に応じて担体量を調整できるため条件検討にも適しています。

磁気ビーズによる免疫沈降

バッチ法の一種になりますが、抗体に対するアフィニティーリガンドを固定化した磁気ビーズを用います。Protein AやProtein Gを磁気ビーズに固定化することで、溶液の除去操作の効率が非常に高まります。遠心操作も必要なく、紹介する手法の中では最も操作が簡単でデッドボリュームを抑えられる方法です。

ラック(Mag Rack)にマグネティックバーを差し込むと、磁気ビーズ(Mag Sepharose™)が側面に引き寄せられるため、容易に溶液を吸い上げることができます

図 磁気ビーズ(Mag Sepharose™)使用時の溶液除去

磁気ビーズがラックのマグネティックバー側に集積するため、ピペットで容易に溶液を除くことができます。

スピンカラムによる免疫沈降

カラム内にProtein AやProtein Gがあらかじめ分注されており、遠心分離で処理します。マニュアルに掲載されているプロトコールどおりに抗体量や目的タンパク質を準備できれば、すぐに操作を行えます。また、目的タンパク質複合体の溶出をお考えのお客さまは、における抗体漏洩を防ぐクロスリンクプロトコールを含め、Protein A HP SpinTrap™ Protein G HP SpinTrap™での処理に最適化された専用バッファーキット(Protein A/G HP SpinTrap™ Buffer Kit)が用意されており、バッファー調製の手間や無駄を省くことができます。(Protein A/G HP SpinTrap™ Buffer Kitは、Mag Sepharose™他、バッチ法でもお使いいただくことができます。)

スピンカラムの構造上、一度に添加できる液量は最大で600 µlです。それ以上のサンプル液量を処理する場合には何度かに分けて添加することで結合させることができます。

お役立てください よりスムーズに免疫沈降を行うために

●抗体に捕捉されたタンパク質だけを回収 ~クロスリンクプロトコール~

抗体に反応したタンパク質の回収をお考えの方は、クロスリンクプロトコールでの処理をおすすめいたします。クロスリンクを用いた免疫沈降では、抗体とnProtein AまたはProtein Gを化学反応で架橋させることで、溶出時に抗体が共溶出されることを抑えます(参照:細胞溶解液・生体液から目的タンパク質を手軽に濃縮・回収できるサンプル調製キット)。

Protein A HP SpinTrap™Protein A Mag Sepharose™をはじめとした製品マニュアルには、クロスリンクプロトコールの詳細が掲載されています。担体でのバッチ法を行っている方でも応用できるプロトコールですのでご参考になさってください。(製品マニュアル検索をご利用ください)

●あわせて使うとさらにラクチン! ~免疫沈降用 調製済みバッファーキット~

免疫沈降で用いる調製済みバッファーをあわせて販売しております(Protein A/G HP SpinTrap™ Buffer Kit)。バッファー調製の手間や無駄を省くことができます。クロスリンクプロトコールと同様にProtein A HP SpinTrap™Protein A Mag Sepharose™の製品マニュアルに利用方法が記されています。担体のバッチ法で行う場合にはマニュアルをご参照ください。ご質問がありましたらバイオダイレクトラインまでお問合せください。


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