精製手法、レジンの選択方法

生体物質には核酸、タンパク質、脂質等々さまざまな方法がありますが、ここではタンパク質にフォーカスして、その精製戦略の立て方をご紹介いたします。後工程で必要となる収量と純度を考慮しつつ、3段階に分けて考えると精製戦略が立てやすくなります(表1)。

スタートとなる原料はサンプル液量が多く、さまざまなタンパク質が混在し、さらにタンパク質を分解するプロテアーゼも含まれます。そのため目的タンパク質にとって危険な環境と言えます。目的タンパク質を、一刻も早く安全な状態にするのが初期精製の優先事項となります。このステップに必要な要素は大きな処理量と短時間で精製できることで、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーが主に用いられます。

中間精製ではさらに混在する不純物を取り除きます。分離能を上げるのも重要ですが、キャパシティーや回収率も重要です。このステップはアフィニティー、イオン交換、疎水性相互作用、ゲルろ過などのクロマトグラフィー手法が使用されます。

最終精製では、目的タンパク質自身が重合・変性したものや、修飾が取れたものなど、性質が似通っており、初期、中間で選択した手法では分けられなかった物質を分離します。ここでは分離能が高いことが要求され、手法としてはゲルろ過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーなどが使われます。

このように、クロマトグラフィーの手法の特性(表2)を考慮しつつ精製します。毎回、3ステップが必ず必要になるわけではありません。 目的によっては、4種以上のクロマトグラフィーが必要なこともありますし、目的タンパク質の収量と純度を達成できるならば1種類のクロマトグラフィーで済むこともあります。できるだけ前処理やバッファー交換の必要がないようにステップを組み合せるのがベストです。

表1 精製段階とその課題

精製段階

目的

重要要因

レジン

主な手法

初期精製

短時間処理が必須。
濃縮、安定化、素分画。

重要要因 初期精製

サンプル中の不純物が多いため、流速特性に優れたレジンが適しています。

  • アフィニティークロマトグラフィー
  • 疎水性相互作用クロマトグラフィー
  • イオン交換クロマトグラフィー
中間精製

主な不純物の除去。
濃縮、バッファー交換。

重要要因 中間精製

初期精製と最終精製の中間サイズの粒子径を持つレジンが主に使用されます。

  • イオン交換クロマトグラフィー
  • 疎水性相互作用クロマトグラフィー
  • 脱塩・バッファー交換(ゲルろ過クロマトグラフィー)
  • アフィニティークロマトグラフィー
最終精製

構造的不純物や微量な不純物の除去。
純度の高度化。

重要要因 最終精製

分離能を重視し、細かい粒子径のレジンが用いられます。
粒子径が細かくなると、一般的に操作圧が上昇するため、システム圧の考慮が必要です。

  • ゲルろ過クロマトグラフィー
  • 逆相クロマトグラフィー
  • 疎水性相互作用クロマトグラフィー
  • イオン交換クロマトグラフィー

表2 クロマトグラフィーの手法の特性

手法

分離能

キャパシティー

初期精製

中間精製

最終精製

精製前のサンプルの状態

精製後のサンプルの状態

アフィニティークロマトグラフィー

+++
or
++

+++
or
++

+++

++

各精製によって異なる条件

ワンステップで、特異性の高い溶出

イオン交換クロマトグラフィー

+++

+++

+++

+++

+++

低イオン強度が必要pH 調整も必要

高イオン強度(bind-elute モードの場合)

疎水性相互作用クロマトグラフィー

+++

++

++

+++

+++

高イオン強度が必要

低イオン強度(bind-elute モードの場合)

ゲルろ過クロマトグラフィー

++

+++

さまざまな溶液組成に対応
サンプル量に制限あり

バッファー交換が可能
サンプルは希釈される

逆相クロマトグラフィー

+++

++

++

イオンペアや有機溶媒による調製が必要

有機溶媒で溶出(生物学的活性の低下)

各精製ステップの目的にあったレジンを選択することも重要です。特にレジンの性質の中でも粒子径にフォーカスしてご紹介したいと思います。図1の通り、大きい粒子サイズのほうが低圧で早く送液することができます。一方で、分離ピークは広がったようになります。粒子が小さいサイズの場合は、高い圧をかけてゆっくり流すことで、分離能は高くなり、シャープなピークとなります。また、一般的に小さい粒子径のレジンのほうが、高価な傾向にあります。

レジンの粒子径と分離能、送液圧の関係

図1 レジンの粒子径と分離能、送液圧の関係

これを各ステップの目的や要件にあわせると、表3のようになり、初期精製では大きい粒子のレジンを、最終精製では小さい粒 子のレジンを選ぶようにします。

表3 精製段階とレジン粒子径の適合

工程

目的

必要とされる要件

標準粒子径

各種レジン

初期精製

固液分離・濃縮・短時間処理

  • 目づまりの予防
  • 高流速・大量処理
  • 経済性

90 ~ 200 μm

200μmレジン

Sepharose™ Big Beads

90μmレジン
  • Capto™
  • Sepharose™ Fast Flow
  • Sepharose™ Beads(軟質)
  • Sepharose™ CL-Beads(軟質)
中間精製

目的物の分離と不純物の除去

  • 分離能
  • 大量処理
  • 経済性

30 ~ 90 μm

50μmレジン

Capto™ ImpAct

47μmレジン

Sephacryl™ High Resolution

40μmレジン

Capto™ ImpRes

34μmレジン
  • Superdex™ prep grade
  • Sepharose™ High Performance
30μmレジン
  • Superose™ prep grade
  • SOURCE™ 30
最終精製

類縁物の除去

  • 高分離能

~ 30 μm

15μmレジン

SOURCE™ 15

10-13μmレジン
  • Mono Beads
  • Superose™
  • Superdex™
3μmレジン

Mini Beads

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