Q Biacore™でデータを取得したら、センサーグラムがマイナスになりました。これを解析することはできますか?

A いいえ、このようなデータを解析することはできません。データ自体やアッセイ方法を見直してください。

上の図(Figure 1)のように、そもそもFc2-1などのReference cellを差し引きした後のデータをいただくことが多いです。まずデータが得られたら、Reference cell(Fc1)だけ、Active cell(Fc2)だけのセンサーグラムを確認してみることを癖にしましょう。図が分かりにくい場合はこのページも参考にして表示を切り替えてみましょう。

さて、下の図(Figure 2)はFc1だけ、Fc2だけの図です。

この図を見ると、Fc1にばかりレスポンスが出ていることが分かります。Fc2は結合しているのかよく分からない感じのデータになっています。Fc1のセンサーグラムをよく見ると、高濃度になるほどレスポンスが大きくなっていて、まさにFc1に特異的に結合しているような様子すら見えます。理由としては色々なパターンがありますが、結局は非特異的結合だと考えて良いです。

補足:(高分子の)非特異的結合

では、今回のようなケースではなく、レスポンスが本当にマイナスになる場合はないのでしょうか?これは、無くはないがレアケースであると言えます*。実際に何が起きているのかまでは把握できませんが、そのような場合はSPR以外の測定技術でも間違いなく結合しているというデータを取得して多角的に証明していく必要があると思われます。

まとめ

  • レスポンスが逆になる相互作用は無くはないけどレアケース。まずは生データをしっかり確認しましょう。
  • 非特異的結合は色々なパターンがあり、対処法もさまざま。(参照:天敵「ノンスぺ」の見つけ方・退治法
  • *Anal. Chem. 2021, 93, 8, 4134–4140
  • *Anal Biochem. 2014 May 1, 452, 54-66
  • *国内でも特定の抗体-ペプチド相互作用で同様のケースを確認した事例もあり