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第11 回日本蛋白質科学会年会 Cytiva ブース内ミニセミナー
手でタンパク質精製しませんか?日本蛋白質科学会年会にて好評いただいたセミナー内容を、より多くの皆さまにご覧いただくためにWebサイトでもご紹介させていただきます。 「タンパク質精製は、専用のシステムがないとできない…」と思っていませんか? そんなことはありません。システムがなくても精製することはできます。実験用途によってはシステムを使わない手法の方が有利な場合もあります。本セミナーでは主に組換えタンパク質や抗体の精製、免疫沈降法に使われる「マニュアル精製ゲル製品」のTipsをご紹介します。 タンパク質精製の目的培養条件や可溶化条件の検討、よく発現している菌株や細胞のスクリーニング目的であれば、サンプルは少量で済みます。大抵は、SDS-PAGEやウェスタンブロッティングに必要なサンプル量があれば足ります。 一方、構造・機能解析には、ある程度まとまったタンパク質量が必要です。実験目的にあったスケールや手法を選ぶ必要があります。手法については次章でご説明します。 精製で用いられる手法精製ツールとその特徴を下記にまとめました。スクリーニングではスピンカラム、バッチ法、磁気ビーズなどがよく使用されます。また精製目的ではバッチ法、オープンカラム、クローズカラム、HiTrap™などを選択することが多いです。(ただし、用途はこれに限っているわけではなく目的やスケールによって最適な手法をお選びください。) 中でも、圧倒的な自由度の高さから、多くのかたに用いられているのがバッチ精製法です。このバッチ精製法と、最近注目されている磁気ビーズを使った方法について、ピックアップしてご説明します。
バッチ精製バッチ精製は、サンプルと担体を同じ容器に入れて一定時間攪拌し、上清を交換する方法です。サンプルの吸着が終わった後に、カラムに担体を流し込んで自然落下する方法もあります。 ここでは、His-tag融合GFPタンパク質の精製例について、具体的なプロトコールおよび条件の検討結果を交えてご紹介します。 手順まず、目的タンパク質を発現した大腸菌を集菌し、氷でよく冷やしながら超音破砕法にて破砕します。その後、遠心とフィルターろ過を行い、サンプルから固形物を除きます。次にサンプルとNi Sepharose™ 6 Fast Flowを混合します。この例では、PD-10空カラム(18321603)をサンプル吸着のための攪拌容器として使用しています。撹拌の際は1分なら手で振ってもよいですが、長時間振る場合はシェーカーなどをお使いください。詳しい条件は下記をご参照ください。 撹拌時間の検討撹拌時間について、1分手で撹拌したものとシェーカーを用いて30分撹拌したデータを比較しました。どちらの条件も、同等の結果が得られていることが分かります。 手で撹拌しても十分な吸着が得られることがわかります。 サンプル吸着時間の検討サンプルの吸着は、30、15、5、1分間の4種類を比較しました。下に電気泳動した結果を示します。(2)、(3)が30分反応時の素通り画分と溶出画分、(4)(5)は15分、(6)(7)は5分、そして(9)(10)は1分反応時のものです。 比較すると30分、1分ともにHis-GFPはしっかり吸着して精製されていることがわかります。また、反応時間が短いほど、点で囲った夾雑物質の吸着が減少していることが分かります。つまり、短時間でサンプルが吸着するだけでなく、夾雑物が吸着する前にサンプルの吸着が終了するということを意味します。全てのサンプルで当てはまるわけではありませんが、比較的NiイオンとHisタグの反応が早いため、今回のようなメリットがでたといえます。 まとめPD-10空カラム(18321603)を用いたバッチ法は抗体精製やGST融合タンパク質精製、またイオン交換クロマトグラフィーでも同様に行うことができます(下図)。 サンプル吸着から溶出までが一つの容器内でできるので、上清をぎりぎりまで吸い上げる作業に比べて簡単・手軽です。(なお、サンプル吸着のための時間は各々異なりますので、検討が必要です。) 磁気ビーズ磁気ビーズMag Sepaharoseは、NiやProtein G/Aリガンドを持つ担体で、その名の通り磁石を当てることで、瞬時に簡単に担体を一箇所に集めることができます。 遠心機不要で精製していただけます。 原理や操作方法を動画でご覧いただけます。
Mag Sepharose™のラインアップは、下記ようになっています。 ぜひご活用ください。 Mag Sepharose™ ご注文情報
関連情報
最後に以上のようにシステムがなくてもタンパク質を精製していただくことができます。目的にあわせたツールを各種ご用意しておりますので、もしどれを選んだらよいかわからないなどありましたらご相談ください。
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