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Location:Home実験手法別製品・技術情報タンパク質サンプル調製・前処理

第3章
目的タンパク質の検出性改善(9)

アフィニティーベースのタンパク質濃縮およびタンパク質サブグループの濃縮(5)

濃縮法をカスタマイズする方法

イムノアフィニティー実験やプルダウンアッセイに使用できるツールを使用してタンパク質除去またはタンパク質濃縮の手順をカスタマイズできます。

Protein A Mag Sepharose™およびProtein G Mag Sepharose™磁気ビーズを用いた免疫沈降の一般的手順

一般的な免疫沈降実験の手順を以下に示します。以下のプロトコールは、そのまま使用することも、個々の手法に合わせて最適化することもできます。

抗リン酸化チロシン(抗pTyr)抗体による免疫沈降と、Protein G Mag Sepharose™磁気ビーズへのクロスリンクによるチロシンリン酸化タンパク質の濃縮を行った具体的な例は第1章をご参照ください。

材料

前調製

クロスリンクプロトコール用推奨バッファー:
結合バッファー:TBS(50 mM Tris、150 mM NaCl、pH 7.5)
洗浄バッファー:TBS(オプションで2 Mの尿素を添加)、pH 7.5
溶出バッファー:0.1 M塩酸グリシン(オプションで2 Mの尿素を添加)、pH 2.9

クロスリンク溶液:
クロスリンク溶液A:200 mMトリエタノールアミン、pH 8.9
DMP溶液:200 mMトリエタノールアミンに溶解した50 mMのDMP(ピメルイミド酸ジメチル二塩酸塩)、pH 8.9
クロスリンク溶液B:100 mM エタノールアミン、pH 8.9

プロトコール

磁気ビーズの調製

  1. 必要量の磁気ビーズを1.5 mlチューブに移します。磁気ビーズ5 μl(担体スラリーとして25 μl)を使用すると、5~40 μgの抗体を濃縮できます。
  2. 1.5 mlチューブを磁石ラックにセットし、保存液を捨てます。

抗体の結合とクロスリンク

  1. 500 μlの結合バッファーを加えて磁気ビーズを平衡化させます。ビーズを再懸濁します。液を捨てます。
  2. 平衡後直ちに抗体溶液を加えます(溶媒としてはPBSまたはTBSが適しています)。ビーズを再懸濁し、ゆっくりと上下反転させて混和しながら15分以上インキュベートします。
    液を捨てます。500 μlの結合バッファーを加えて結合していない抗体を洗い流します。
    液を捨てます。
  3. 500 μlのクロスリンク溶液A(トリエタノールアミンバッファー)を加えてバッファーを交換します。
    液を捨てます。
    500 μlのDMP溶液(溶媒はトリエタノールアミンバッファー)を加えます。
    手で反転してビーズを完全に再懸濁し、ゆっくりと上下反転させて混和しながら15~60分間インキュベートします。液を捨てます。
    500 μlのクロスリンク溶液A(トリエタノールアミンバッファー)を加えて洗浄します。液を捨てます。
    500 μlのクロスリンク溶液B(トリエタノールアミンバッファー)を加えて残留するクロスリンク剤をブロックします。
    手で反転させてビーズを完全に再懸濁し、ゆっくりと上下反転させて混和しながら15分間インキュベートします。液を捨てます。
    500 μlの溶出バッファーを加えて結合していない抗体を除去します。液を捨てます。
  4. 500 μlの結合バッファーを加え、免疫沈降に使用できるように磁気ビーズを平衡化します。ビーズを再懸濁します。このステップを1回繰り返します。サンプルを加える前に、液を捨てます。

目的タンパク質/分子の結合

  1. サンプル(結合バッファーなどで希釈)を加えて目的タンパク質を結合させます。出発サンプルの量が多い場合には(> 1.5 ml)、目的タンパク質の結合に50 mlのプラスチックチューブを使用できます。インキュベーション後に磁気ビーズを回収するときには、磁性ピックペンを使用してビーズを微量遠心チューブに移すことができます。または、スイングアウトローターを使用してビーズを沈降させることもできます。
    ゆっくりと上下反転させて混和しながら10~60分間インキュベートします。
    非結合画分を取り出して回収します。
  2. 洗浄します(このステップは計3回行います)。
    500 μlの洗浄バッファーを加えて非結合物質を洗い流します。液を除きます。
    オプション:トラブルシューティングが必要な場合にはこの洗浄液を回収します。
  3. 溶出を行います(このステップは計2回行います)。
    磁気ビーズ容量の10倍量の溶出バッファーを加えて結合したタンパク質を溶出します。例えば、最初に25 μlの担体スラリーを使用した場合、磁気ビーズの容量は5 μlとなるので、50 μlのバッファーを加えます。
    ビーズを十分再懸濁し、2分以上インキュベートします。
    溶出画分を取り出して回収します。

免疫沈降プロトコールの選択

次の場合には、クロスリンクプロトコールを使用します。

  • 目的タンパク質/抗原の分子量が抗体の重鎖または軽鎖の分子量に近く、SDS-PAGE分析で分離上の問題が生じる場合。
  • 抗体が下流の分析に影響する場合。

次の場合には、古典的プロトコールを使用します。

  • 抗体がSDS-PAGEなどの下流の分析に影響せず、目的タンパク質の観察を妨害しない場合。
  • 速やかな処理が求められる場合。

プロトコールの最適化

タンパク質濃縮のパラメーターは使用する生体分子の組み合わせによって異なります。最良の結果を得るには、生体分子の組み合わせごとに最適化をする必要があります。

最適化が必要と思われるパラメーターの例を以下に挙げます。

  • ビーズの量:推奨出発容量は磁気ビーズ5 μlです(担体スラリーとして25 μl)。
  • 抗体の量:免疫沈降で推奨される抗体の量は磁気ビーズ1 μl当り1~8 μgです。
  • 濃縮するタンパク質(抗原)の量:手法ごとに異なります。
  • インキュベーション時間:サンプルの安定性と操作温度によります。
  • バッファーの選択:バックグラウンド値を低減させるために、より厳密な洗浄が必要になることがあります。ただし、過度に洗浄を行うと回収率が低下することがあります。
  • 洗浄回数

タンパク質サンプル調製ハンドブック目次3章 References 略号と用語、記号解説


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