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医薬品業界における「ブロックバスター時代」が終焉を迎え、いま製薬メーカーは抗体医薬品を「多品種少量生産」することによってより多様なポートフォリオを展開しています。しかし薬価引き下げへの関心が高まるなか、こうしたバイオ医薬品開発の総コストを抑えるためのカギとなるのは、現状と同等もしくはそれより抑えた設備投資で製品を製造することです。今日の医薬品業界を取り巻く環境の大きな変化により、各キャンペーン間の切り替えを最小限にできる「フレキシブルなソリューション」への需要が高まっています。さらに、アップストリーム工程での力価向上と、確立されたシングルユーステクノロジー(SUT)の急増によって、プロセスチェーンに存在するギャップにも注目が集まっています。生産性の最大化のためには、「ダウンストリームに新たなSUTオプションを投入」することが考えられます。ダウンストリームの製造オペレーションを強化するために、どのような要因が意思決定に影響を与えるかを理解することが重要です。

バイオ医薬品業界の変遷

過去数十年にわたり、既存技術を可能な限り効率的に活用し発展してきた「バイオプロセシング」。たとえば、現在のいわゆるブロックバスターを製造するためのバイオプロセシングのオペレーションおよびその原価は、十分に最適化されています。つまり、医薬品のライフサイクルが長い場合には、製造に使用される固定資産は減価償却され、条件にもよりますが、製品1グラムあたり約100ドルから300ドルとなります(1)。とはいえ、どのようなビジネスやプロセスにおいても、目指すべきは「効率の悪さ」を特定し改善していくことにあります。上述したように、少量生産バッチに対して資本支出を減価償却しなければならないという状況の変化を考慮すると、効率の悪いプロセスの数は今後数年で大幅に増加することになるため、その原価は10倍にも上昇する可能性があります。現在、既存および新規のインフラ/設備投資から得られる生産高を最大とするバイオプロセシング戦略を可能にする「新しいテクノロジー」が注目されています。

このような見通しを念頭に置きながら、バイオプロセスの強化を推進する「3つのポイント」を見てみましょう。1つ目は、製薬企業の1つのブロックバスターへの依存から、より多品目の抗体医薬品を含む多様なポートフォリオへの移行です。対象となる患者数の減少、現地と密着した製造拠点、さらに個別化医療も成長した場合には、医薬品の生産量は減少するでしょう。このことから、資本が効率よく減価償却されるには、大きなダウンタイムなしで異なる製品の製造プロセスを簡単に切り替えることができるインフラが必要です。たとえば、建設費3億ドル、耐用年数10年の小規模な施設では、発生する減価償却は毎年3,000万ドルです。1つのバッチで十分であるような少量の製品ならば、次の製品をより迅速に生産開始することができ、設備の使用機会をより大きくすることができます(したがって、その製品の原価に占める減価償却費の割合が小さくなります)。

2つ目は、設備全体の稼働率を高めること。これは設備投資が依然として製品原価の最大の要因であるためです(多くの場合、50%以上を占めます)。現状と同等かそれより安いコストでより多くの抗体医薬品を製造することができれば、設備を稼働するために必要な投資も減り、薬価を引き下げることにもつながります。

3つ目は、設備投資のリスクに関する問題です。医薬品業界は長年、生産能力と需要に関する判断に頭を悩ませています。製造設備の建設が早過ぎると、臨床試験が失敗して設備が不要となるリスクがある一方で、開発薬の成功に期待が高い場合に設備の建設が遅れると、生産が間に合わなくなるリスクが生じます。後者の場合、市場の需要に応えることができず医薬品不足に陥り、最終的には企業の長期的なイメージダウンになってしまう可能性があります。現行の規制下では、タイムラインを簡単に変更することは容易ではありません。そこで、1)投資は遅らせつつ、建設を早める(11~18カ月の短期間で設備を構築するモジュール式バイオ医薬品工場「KUBio」が挙げられます)、あるいは、2)投資を先延ばしにせず、その代わり、多品目の製品や生産キャンペーンを念頭に置いて、よりフレキシブルな方法での運用を想定した施設を構築する、という選択肢が考えられます。

いま述べた理由を考慮すると、設備の利用率向上とコスト削減の実現に役立つだけでなく、特にプレシジョン・メディスンが普及していくなかで、「将来の新しいプロセス戦略」にも活用できる「選択肢を認識しておくこと」が重要になってきます。

ダウンストリーム工程の運用:4つのソリューション

ダウンストリーム工程の生産性と効率性を向上させるためには、現行のインフラ、バッチサイズ、設備稼働率などに応じて、さまざまなソリューションがあります。

クロマトグラフィーレジン

捕捉ステップに関して言えば、効率的で信頼性が高くどのようなスケールでも導入しやすいことが証明されている「protein Aクロマトグラフィー用レジン」。業界で長い実績があり、規制当局にも受け入れられています。しかし、protein Aレジンはタンパク質リガンドとしての性質上、厳密な洗浄条件に対して他の樹脂よりも弱いことが知られています。タンパク質リガンドの場合、最初の捕捉ステップが多くの栄養素を含むフィードにさらされること、また同時に、高濃度の水酸化ナトリウム(一般的な洗浄溶液)に弱いことによって、微生物汚染の問題やリスクにさらされます。しかし、新世代のprotein Aレジンは高い耐アルカリ性をもち、バイオバーデンの管理もしやすくなっています。

力価の増加にともなって、バッチプロセスの生産性を向上させるもっとも一般的な戦略は、カラムサイズの拡大です。しかし、これにはprotein Aクロマトグラフィーレジンの使用量を増やす必要があり、高コストになる可能性があります。別の選択肢としては、より高容量のレジンを使用することが考えられます(たとえば、新抗体精製用クロマトグラフィーレジンMabSelect PrismAがあります)。耐アルカリ性と結合容量を向上させたMabSelect PrismAは、最大で80 g/Lまでの処理が可能で、プロセス時間を短縮し、レジンとバッファーの消費量を削減することができます。

また、高い耐アルカリ性によって、繰り返し利用による結合容量の低下を抑えられ、レジンの寿命も長くなります。たとえば、MabSelect PrismAの場合、0.5 Mの水酸化ナトリウムによるランを最大で300サイクル行っても、92%以上の動的結合容量が実証されています。結合容量と耐アルカリ性の向上は、レジンの寿命を延ばし1バッチあたりのコストを最大75%削減することによって、protein Aのプロセス全体の経済性を改善することができます(図1;2)。

図1.MabSelect PrismAと旧製品の耐アルカリ性(0.5M NaOH)を考慮した、標準化したコスト/バッチ比(2,000 Lバイオリアクター、力価2.5 g/L)およびレジン寿命。サイクルあたりの寿命は、0.5M NaOHで洗浄した際に初期DBCの90%になるまでとして測定した。

シングルユーステクノロジー(SUT)とプレパッククロマトグラフィーカラム

SUTは、多くの場面でバイオプロセスを強化する効率的なツールです。たとえば、事前確認作業を減らしたり、洗浄バリデーションを不要にしたり、多品目製造施設における製品ラインの切り替えを容易にするメリットがいくつもあります。プレパッククロマトグラフィーカラムは10年以上前からある製品ですが、最初は小スケールのものが主流でした。時が経つにつれてSUTの利用が増加したため、より大きなカラムも登場。たとえば、製造用大型プレパックカラムReadyToProcessカラムは内径600 mmで、最大で2,000 Lの高力価バイオリアクターハーベストの精製プロセスを、プラグアンドプレイ方式、すなわち接続するだけで使うことができます。

カラムだけでなく、ディスポーザブル技術の可能性を最大限に引き出すというハードウェアシステムの観点からもシングルユースは魅力的です。交換可能なシングルユース配管を採用したクロマトグラフィーシステム AKTA readyと、最近発売された大型のAKTA ready XLシステムは、ディスポーザブルの流路系とプレパックカラムを使用することで、バイオプロセシングにおけるフレキシビリティとスピードアップが可能であることを実証しています。シングルユース液体クロマトグラフィーシステム「AKTA ready」は、プロセスのスケールアップと製造を目的として開発されたもので、AKTA readyクロマトグラフィーユニット、UNICORNソフトウェア、ディスポーザブルの流路系(検出用フローセルを含む)で構成されています。

プレパックカラムは、上流バッチ1回分についてシングルユースで使用することもできますが、これは高コストな単位操作となります。プレパックカラムは通常複数回のバッチで使用され、手間のかかるセットアップ時間は短縮されますが、バッチ間の洗浄とバリデーションは必要になります。プレパックのprotein Aカラムは、臨床段階の製造において広く導入されており、特にキャンペーン間の迅速な切り替えが重要な多品目施設では、今後も商業生産において導入される可能性が高いと考えられます。

連続クロマトグラフィー

業界全体で広く議論されているクロマトグラフィーステップを改善するもう1つの方法は、「連続運転」です。最初から最後までを1つの連続運転とするend-to-endな方法ではなく、上流および下流だけを連続的に運転するハイブリッドアプローチを検討している企業が多いです。また、灌流バイオリアクターにバッチ精製プロセスを組み合わせて運転する手法や、フェドバッチ型バイオリアクターを上流として、その後ろに連続運転のクロマトグラフィーによる捕捉ステップをおくという選択肢もあります。どのようなアプローチであっても連続化の利点は、コスト削減、生産性向上、そして品質向上の可能性です。これは、カラムやバイオリアクターの小型化によるもので、バッファー消費量を減らすとともに、設備全体の設置面積を小さくすることができます。mAbの精製においては、連続クロマトグラフィーまたはマルチカラムクロマトグラフィーは、上記の利点に加えprotein Aレジンの容量利用率の向上も相まって、多くの場合に有益であると考えられます。連続クロマトグラフィーの主な利点は、プロセスが高速で保持時間が短いことであり、これは特に不安定な分子にとって重要です。しかし、連続クロマトグラフィーはハードウェアシステムが複雑になることや、規制の見通しが不明瞭であると考えられることからまだ課題はありますが、プロセス開発や臨床段階において多くの関心を集めています。商業生産への導入もまもなくであることが期待されます。連続クロマトグラフィーとバッチ式クロマトグラフィーのどちらが最適であるかを判断する前に、プロジェクトごとに徹底した分析を行う必要があります(図2)。

図2.バッチ式/連続式のprotein Aクロマトグラフィーステップを比較したときのパラメーターの関係(MabSelect SuRe LX、2,000 Lバイオリアクターからのフィード、力価は5 g/L)。図が示すように、望ましいアウトプットに応じて、優先順位とトレードオフを最適化する必要があることを示しています。

新技術、ファイバーベースのクロマトグラフィー

protein Aクロマトグラフィーレジンは確実に進化していますが、さらに小型なバッチサイズと多品目製造施設へと移行しつつあることを鑑みると、克服すべき課題はまだ存在します。精製プロセスには長い時間がかかり、工業的な処理では通常4~8時間/1サイクルを要します。バイオ医薬品メーカーが複数サイクルを実行しようと考えるなら、精製には数日を要する可能性があります。その結果、プロセスに制限がかかったり設備構築のコストへ影響が生じてしまいます。レジンの場合は、洗浄して温度管理されたクリーンルームに保管しなければならないため追加の費用も発生します。新たな精製方法であるFibroテクノロジー(Fibro PrismA units:モノクローナル抗体及び抗体医薬品精製用セルロースファイバーテクノロジー)は、充填床クロマトグラフィー精製システムの拡散および流速の限界を克服するために、新規な独自構造を使用しています。

protein Aを用いる場合、培養上清中の標的抗体は、クロマトグラフィービーズの細孔奥深くの結合面に到達するまでに、2段階の物質移動を経なければなりません。初期の膜拡散、そして多孔質構造内部への拡散は、運転時の流量に制限をもたらし、精製の生産性を向上させる上で障壁となります。一方、Fibroテクノロジーが有するファイバー構造は、膜やモノリステクノロジーと同様にオープン構造であるために、拡散なしの物質移動が容易であるだけでなく、表面積も大きくなります。この構造はエレクトロスピニングと呼ばれる付加的プロセス、製造方法によって実現しています。このFibroテクノロジーの特長により、分単位の時間を要する従来のビーズクロマトグラフィーに比べ、数秒という滞留時間で30 mg/mLを超える結合容量を得ることができます。従来は、精製サイクルに数時間を要していたところ、Fibroテクノロジー技術では約5分です。この高速mAb精製によって、総プロセス時間を大幅に短縮することができます。高速精製プロセスは、1回のバッチで最大200回までFibroユニットを循環させることによって、精製担体サイズの小型化およびコスト削減をしうる新たな手法として利用可能です。この手法は1回のバッチでFibroユニットの寿命まで完全に使い切るため、費用対効果の高いシングルユースクロマトグラフィーと言えます(図3)。

図3.ファイバークロマトグラフィーの利点としては、生産性の向上(最大400 g/h/L)、研究・プロセス開発用途におけるスループットの向上(最大50倍)、フレキシブルで生産性の高い製造のための迅速な切り替えなどが挙げられます。

以前から、protein Aクロマトグラフィーに代わる新しい技術が業界では求められていましたが、protein Aは有用であり、既存のmAbの製造にはほとんど採用されている実績があります。一方で、Fibroテクノロジーはこれからの「生産性」において変革をもたらし、protein Aとともにバイオプロセスの未来を拓きます。

Fibroクロマトグラフィーは、シングルユース装置の施設、すなわち、小規模から中規模の処理スケールの施設(主に利用されるのは最大2,000 Lまでのバイオリアクター)、迅速な切り換えが必要とされる多品目生産施設や、非常に高速なmAb精製が期待されるアプリケーションにおいて大きな強みをもちます。

最適なクロマトグラフィー製品を選ぶためには、一度に生産する製品数、事業を展開している地域、研究・臨床におけるフェーズなどを考慮する必要があります。これらの要素を考慮した上で、ここで紹介した製品を含む幅広いソリューションから、個別のニーズに合致したご提案を行っております。

本ページでご紹介しているFibroテクノロジーに関する詳細はこちらをご覧ください。


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