ImageQuant™ LAS 4000シリーズ活用法 その3 : 落射緑色/落射赤色光源について
はじめに
今回は、ImageQuant™ LASシリーズのオプションのうち、520 nm緑色、630 nm 赤色の落射光源についてご紹介いたします。これらの励起光源を用いて検出できる蛍光色素は多く、さまざまなアプリケーションに応用できます。
対応する蛍光色素
520 nm緑色、630 nm 赤色の落射光源で検出できる蛍光色素の例です。タンパク質染色に使われる色素や、Cy3、Cy5といった応用性が広く実績のある蛍光色素の検出に対応しています。
520 nm 緑色光源
- タンパク質染色試薬
Deep Purple、SYPRO Red(蛍光フィルター:605DF40)、Pro-Q Diamond(蛍光フィルター:575DF20)
- 標識試薬
Cy3、Tetramethylrhodamine、TAMRA™(蛍光フィルター:575DF20)
Alexa 514, 532, 546, 555(蛍光フィルター:575DF20)
Alexa 568, 594(蛍光フィルター:605DF40)
630 nm 赤色光源
- 標識試薬
Cy5、Did(蛍光フィルター:R670)、Alexa 633, 635, 647(蛍光フィルター:R670)
- ケミフローレッセンス
DDAO phosphate(蛍光フィルター:R670)
緑色光源と赤色光源を活用したアプリケーション例
ECL Plex™による蛍光ウェスタンブロッティング
これら2種類の光源を使用した例として、ECL Plex™シリーズの2次抗体を使用した蛍光ウェスタンブロッティングがあります(図1)。蛍光検出を用いたウェスタンブロッティングは、以下のような点から定量性の求められる実験に向いています。
1. 定量ダイナミックレンジが広い
定量精度が高まります。目的タンパク質濃度が幅広い範囲に渡る場合でも、安心です。
近年では、低蛍光性のPVDFメンブレン(Hybond™-LFP)が販売されています。蛍光検出で問題となっていたバックグラウンドの高さについても改善が施されており、安定した検出が可能になっています。
図1. ECL Plex™を用いたアクチン検出例(緑色光源、Cy3)
メンブレン:Hybond™-LFP
一次抗体:抗アクチン マウス抗体
二次抗体:ECL Plex™ goat anti-mouse IgG-Cy3
システム:ImageQuant™ LAS 4010
光源:Epi G(Cy3, 520 nm)
フィルター:575DF20
図2. ECL Plex™によるトランスフェリン検出例(赤色光源、Cy5)
メンブレン:Hybond™-LFP
一次抗体: 抗ヒトトランスフェリン ウサギ抗体
二次抗体:ECL Plex™ goat anti-rabbit IgG-Cy5
システム:ImageQuant™ LAS 4010
光源:Epi R(Cy5, 630 nm)
フィルター:R670
2. 簡単でロスのない操作で2種類の抗体検出を行える(多重蛍光アプリケーション)
緑色、赤色の双方の検出設備があれば、1枚のメンブレンから2種類の抗体による検出ができます。化学発光によるウェスタンブロッティング手法で2種類の抗体検出を行うには、通常、抗体除去(ストリッピング)やリプロービングといった操作が必要ですが、これらの操作はメンブレン上のタンパク質をロスしたり、変性させたりするリスクがあります。蛍光検出を用いることでこのような余分な操作は必要なくなり、これらの心配もなく2種類以上の抗体検出に対応することができます。
(参考)蛍光ウェスタンブロッティングの特長/アプリケーション例
●ECL Plex™ 蛍光ウェスタンブロッティングを使った多重検出アプリケーション
●ECL Plex™と二次元ウェスタンブロッティングの組合せアプリケーション
ImageQuant™ LAS で緑色、赤色光源を検出するためには
機種
ImageQuant™ LAS 4010をお使いいただけるようであれば、すぐに上のような検出アプリケーションをお試しいただけます。
・ImageQuant™ LAS 4010: 標準装備で検出できます。
・ImageQuant™ LAS 4000: オプション光源を購入することで検出が可能です。
・ImageQuant™ LAS 4010mini: 残念ながら、検出に対応していません。
ImageQuant™ LAS 4000のオプションについて、
緑色光源: Epi-G Set
赤色光源: Epi-R Set
緑色/赤色光源: Epi-BGR Set (青色光源検出にも対応)
※各オプションには、検出フィルターも含まれています。
3色対応の光源(Epi BGR Set)であれば、光源を取り替えることなく、マルチカラー蛍光の検出が可能です。1色のみの光源(Epi G SetとEpi R Set)を用いてマルチカラー検出する場合には、光源を付け替えて検出します。
蛍光検出の場合には、ゲル・メンブレンを置くトレイは、化学発光と同じくEPIトレイを使用します(「青色落射光源」参照)。
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