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Location:Home実験手法別製品・技術情報タンパク質サンプル調製・前処理

第4章
タンパク質サンプル調製ワークフロー内での適合性の確保(3)

バッファー交換と脱塩(3)

■限外ろ過(Ultrafiltration;UF)(2)

vaspin 500を用いた脱塩/バッファー交換

材料

製品に付属のVivaspin™ 500サンプルコンセントレーター

最小角40度、チューブ容量2.2 mlの固定角遠心機

最終サンプルに適したバッファー

前調製

サンプルにもっとも適したメンブレンカットオフ値を選択します。回収率を最大限に高めるには、目的タンパク質の分子量より50%以上小さい分画分子量(MWCO:Molecular Weight Cutoff)値を選択します。

プロトコール

固定角遠心機を使用します。標準的な微量遠心機は、ほとんどこのプロトコールに適しています。詳細については製品使用説明書を参照してください。

  1. サンプルを所要のレベルまで濃縮します
  2. ろ液チャンバーを空にします。
  3. コンセントレーターに適切な溶媒を再充填します。
  4. サンプルを再度濃縮し、夾雑物の濃度が十分に低下するまでこれを繰り返します。通常、3回の洗浄サイクルで初期塩含量の99%が除去されます。

■エバポレーション

遠心分離真空濃縮では、減圧および加熱にて溶媒を蒸発させることで生物サンプルの濃縮を、簡単かつ高い再現性で行えます。この手法はペプチドの濃縮を行う場合に(例えばTiO2 Mag Sepharose™によるリンペプチド濃縮の前やMS分析の前に)特に有用です。このようなシステムは一般に、冷却トラップを介して遠心機に接続した真空ポンプをベースとしています。冷却トラップにより蒸発させた溶媒を凝集し、溶媒がポンプに入るのを防ぎます。

■透析

透析では、ユーザが選択した分画分子量(MWCO)値の半透膜を構成要素とする容器や袋にタンパク質溶液を入れます。この容器を既知組成の大量の液体の中に入れることで、浸透圧の差によりタンパク質溶液を分画することができます。分画分子量(MWCO)値よりも小さい分子は、濃度差がなくなるまで膜を通過します。夾雑物除去またはバッファー交換の程度は、周囲の液体の容量により調節します。平衡状態に達する前に透析容器を新しいバッファーに移す操作を繰り返すことで、このプロセスの速度を上げることができます。

Mini Dialysis Kit

少量サンプルの透析は取り扱いが難しいことがあります。サンプルを透析バッグから出し入れするときにサンプルのロスが生じることがあります。CytivaのMini Dialysis Kitは、少量サンプルの透析に伴う問題を解決することができます(図4.5を参照してください)。このキットに付属の透析チューブは、透析膜を張ったキャップ付きのサンプルチューブです。ピペット操作によりサンプルを簡単かつ定量的にチューブに出し入れできます。サンプルの透析に使用する溶液とスターラーをビーカーに入れ、ここにキャップを閉めた透析チューブを逆さに入れます。透析膜の分画分子量(MWCO)値よりも小さい塩と分子は透析膜を通過して速やかに交換されます。透析後、透析チューブを単時間遠心分離します。これで、透析チューブ中の全内容物がチューブの底に集まり、基本的に100%の回収率を確保できます。透析したサンプルを保管する場合には、透析キャップを通常のキャップと交換します。

Mini Dialysis Kitは、二次元電気泳動などに使用するサンプルの調製に特に適しています。その理由として、透析チューブの容量(10~250 μlまたは200 μl~2 ml)が二次元電気泳動用サンプルの一般的な容量範囲と一致すること、またこのキットを用いた手順ではサンプルのロスをほとんど無視できることが挙げられます。数時間から一晩という透析時間で、一次元目IEF分離に影響しないレベルにまでイオン夾雑物を減らせます。

図4.5
図4.5  Mini Dialysis Kitで透析する方法の概略図。(A)透析膜を張ったキャップ、円錐形の内側サンプルチューブ。(B)サンプルを入れ、キャップを閉め、チューブを浮きに差し込みます。(C)チューブを逆さにし、撹拌しながら透析します。(D)短時間遠心分離してサンプルを回収します。

 

>>バッファー交換と脱塩(4)

タンパク質サンプル調製ハンドブック目次4章 References略号と用語、記号解説


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