フィッティングできないセンサーグラムを評価する

Biacore™ 解析といえば、Kinetics解析やAffinity解析、Potency Assayなどのレポートポイント解析を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際のサンプル測定では、結合様式が1:1モデルに適合しない、解離が非常に遅い、複数の結合サイトが存在する、といった理由から理想的なフィッティングが得られず、kineticsパラメータ(kakdKD)による評価が難しいケースがあります。

また、Potency Assay等のレポートポイント解析が適用できる場合でも、特定のレポートポイントに限定せずにセンサーグラム全体の情報を活用して評価したいというケースもあるかと思います。その様な時に検討いただきたいのが、Biacore™ Insight Software Ver.7.0で新たに追加されたSensorgram comparisonです。

Sensorgram comparisonとは?

Sensorgram comparisonは、標準品と評価サンプルのセンサーグラム形状を比較して、その類似性を数値化して評価する解析方法です。Kineticsパラメータ(kakdKD)を算出するのではなく、結合から解離までのセンサーグラム全体の形状を評価対象とするため、フィッティングが困難な相互作用にも適用できます。

解析結果として Similarity Score(類似性スコア: 0 – 100%) が算出され、評価対象のサンプルが標準品にどの程度類似しているかを定量的に評価します。

Fig 1:評価対象であるサンプルのセンサーグラム(オレンジ線)が、標準品の測定により設定したsimilarity range(緑線)の範囲内にどの程度収まっているかを0~100%のSimilarity Scoreとして数値化しています。

どんな用途に使用できるか?

Sensorgram comparisonは、センサーグラム形状のわずかな変化を検出して数値化することが可能です。そのためメインの用途は、バイオシミラー開発や、抗体などバイオ医薬品の品質管理(ロット間比較、安定性試験など)で、標準品に対する同等性・類似性の評価になると考えられます。

さらにそれだけではなく、基礎研究の一環としても幅広く利用できるかと思います。例えば、解離速度が非常に遅い相互作用、多価結合などKinetics解析が困難な相互作用の解析や、簡易的なスクリーニングにも活用できるかもしれません。それ以外にも標準品の測定データを最初に測定・保存しておくことが標準的な運用方法で、研究室内での試薬サンプルの長期的な品質モニタリングにも使える可能性があります。

例えば現在のポジティブコントロールのデータを基準(標準品のデータ)として保存しておき、半年後や1年後に再測定して結合活性が維持されているかを確認するといった、試薬やサンプルの簡易的な品質チェックに使うということです。アイデア次第でさまざまな使い方ができそうです。

参考資料

Biacore™ Knowledge Center