Biacore™ Insight softwareは、Biacore™ 1 seriesと8 seriesの共有のソフトウェアでSQL Server™上にデータが保存されます。Biacore™ T200、S200で測定したデータについても、インポートして解析を行うことができます。

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これまで研究機器は装置とソフトウェアの機能だけで評価されがちでしたが、これからは第3の要素、データ管理・運用への対応も必須になりつつあります。今回はBiacore™とSQL Server™、さらには研究施設内のネットワークまで含めてBiacore™でできることをご紹介します。

パターン1:スタンドアローンPC

SQL Server™を介したBiacore™ Insight softwareの最小構成は、スタンドアローンPCにSQL Server™とBiacore™ Insight softwareをインストールする構成です(図1)。SQL Server™は有償版と無償版があり、無償版の場合はBiacore™本体に接続されたPCに直接インストールして利用する形となり、こちらが最も安価な構成となります。無償版は10 GB(Biacore™ 8K週3日運転で半年分程度)の保存容量で、一定期間毎にデータベース外へのエクスポート・保存が必要です。再度データを使用するにはそのたびにインポートして利用することになるため、煩雑性は避けられません。

また、主に装置据え付けのPCでのデータ解析および閲覧を行い、USBスティックメモリなどを用いたデータの移動を行うケースがありうるため、データ漏洩やウィルス感染などのリスクが伴います。このように、データの出し入れとそれに伴うリスクが高いため、GxP環境での利用はお止めください。

図1.パターン1:スタンドアローンPC

パターン2:SQL Server™を介したクローズドでのデータ管理

別途有償版のSQL Server™をご用意いただくことで、複数台・他機種(Biacore™ 1 series, 8 series, T200 ver2以上, S200)のデータを同一のデータベースで一元管理することが可能となります(図2)。SQL Server™に保存されたデータは、Biacore™ Insight softwareがインストールされた各PCから、いずれの機種で測定されたデータであっても解析・閲覧することができ、解析の利便性が向上します。

また、サーバーの機能を活用することで十分な実行容量を確保しつつ、データバックアップなどの冗長化によりデータ損失のリスクが回避できます。

図2.パターン2:SQL Serverを介したクローズドでのデータ管理

パターン3:SQL Serverを施設内ネットワークに接続したデータ管理

SQL Server™を施設内のネットワークに接続することで、さらに利便性、安全性が向上します(図3)。Biacore™ Insight softwareでは、フローティングライセンスを採用しています。図3ではネットワークを介して5台のPCがSQL Server™に接続されています。たとえば3つのライセンスをご購入いただいた場合、5台のPCすべてにBiacore™ Insight softwareをインストールすることが可能ですが、同時に使用できるのが3名様までとなります。これによりラボではなく、居室でデータ解析・閲覧・レポート作成などが行える利便性が確保できます。

また、データ損失のリスク回避(データバックアップなどによる冗長性)に加えて、USBスティックメモリなどを一切介さずにデータを取り扱えるため、データ漏洩やウィルス感染といったデータセキュリティーに関するリスクも最小限にできます。

図3.パターン3:SQL Serverを施設内ネットワークに接続したデータ管理

データ検索機能

最後に、Biacore™ Insight softwareはデータの検索機能が優れています。退職してしまった研究者、卒業してしまった学生など、ファイル名だけでは過去のデータを探し出すことが困難なケースがあるかと思います。本ソフトウェアでは、サンプル名、ユーザー名、日付など、検索機能に優れているため、沢山のファイルに埋もれてしまった貴重なデータを探す手間が大幅に削減できます。

図4.Biacore™ Insight softwareのデータ検索機能

いかがでしたでしょうか。Biacore™ Insight softwareとSQL Server™を活用することでできることをまとめます。

  • データの安全性が保たれる(消失・漏洩の予防)
  • データに施設内ネットワーク上のあらゆる場所からアクセスできる
  • 複数台・他機種の装置のデータを一元化することができる
  • データインテグリティーの観点で望ましい
  • 過去のデータの検索機能に優れている

※弊社ではサーバー製品の取り扱いはございません。ご必要の場合はサーバーベンダー様とお取次ぎいたします。ご希望の際はTech-JP@cytiva.comまでお問い合わせください。

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