はじめに
この度、Biacore™ Insight software ver.6.0がリリースされ、本バージョンに関する3つの進化とアップデート・インストールマニュアルを公開しております。
今回は、かゆいところに手が届くようになった細かな新機能に関してご案内していきます。
Biacore™ Insight Control software
- Method builder、Immobilization、Interactive runに入力できるSolution名が50文字に拡張、統一されました。
Figure 1:(A) Method definitionのSolution名、(B) Variables and positioningのSolution名
- サンプル情報のインポート時に列の自動マッピングが導入されました。Excelなどのソースマテリアルのヘッダー行(Figure 2 Includedに反映)に基づいて、メソッドに対応するVariablesへ自動的にマッピングします。「Conc1」など、ある程度の略称を認識します。認識しなかった項目についてはメニューから選択します。
Figure 2:Excelヘッダー行を認識して自動でマッピング
- 固定化や測定のメソッドにおけるプレートレイアウト情報(ポジション、溶液名、容量、そのほか変数)をTXTファイルに出力でき、自動分注器への情報入力をサポートします。
Figure 3:Plate layoutのステップから「Export positions to txt file」を使用
- ポジションエラーに対する処理が改善し、エラーの原因や解決策をより具体的に示します。
Biacore™ Insight Evaluation software
- 主にAffinity dataを評価するとき、大規模なevaluations を開くとき、そして、Remove rangeやcurve markersを処理するときのパフォーマンス(処理速度)が改善されました。
- すべてのEvaluation itemsにおけるTableの列にRun name(測定データ名)を含めることができます。追加したい項目はTable setting(Figure 4歯車マーク)から選択します。
Figure 4:Table SettingからRun name追加可能
- Kinetics/AffinityとSensorgramアイテムのRemove rangesにおいてUndo機能が付きました。Undoはregulated procedureで作成されたアイテムにおいてaudit trailにログが残ります。
Figure 5:Remove rangeにUndo機能追加
- Kinetics/AffinityアイテムのResult tableに、新しくfit mode (global/local/constant)や各パラメーターのinitial valueのカラムが追加できます。追加したい項目はTable setting(Figure 6歯車マーク)から選択します。Result tableに追加したカラムはExcel、pdf、ppt、更にAPIを介したエクスポートに含まれます。
Figure 6:Table settingからfit modeやinitial valueが追加可能
- 各Plotにマウスオーバーすると、Y軸値が表示されるようになりました。
Figure 7
Biacore Intelligent Analysis™ Software
- フラグメント化合物のように速やかに解離するバインダーだけでなく、平衡状態に達するあらゆるデータに対応するようになりました。
詳細は「Biacore™ Insight Software Ver.6 新たな3つの進化」参照 - 新規に作成するPrediction modelに対して、Classification namesやClassification purposesを編集することができ、より柔軟に解析が可能です。
Figure 8
- Binding level screenにおいて、測定時にポジティブコントロールが無くてもClassificationのsuper stoichiometryを予測してサポートします。
ポジティブコントロールがある場合は、そのレスポンスを最大結合活性としてsuper stoichiometric bindersを予測しますが、無い場合は理論的Rmaxを指標とします。
Figure 9
Biacore™ Insight Data Integration Extension
-
Application Programming Interface (API)を介してRun dataやEvaluated dataの自動転送が可能となります。
詳細は「Biacore™ Insight Software Ver.6 新たな3つの進化」参照
Biacore™ Insight Epitope Binning Extension
- エピトープビニングにSelf-self subtractionが導入されました。同じ第1抗体と第2抗体を持つセンサーグラムを、その抗体を第1抗体として持つセンサーグラムから減算します。これにより、第2抗体の結合レスポンスがより明確になり、ランキングが容易になります。
Figure 10
Biacore™ Insight GxP extension
- Biacore™ 1シリーズのpublished proceduresにおいて、フローセルの選択がより柔軟になりました。例えば、procedure developerがflow cell pair (1, 2)でproceduresを作成した場合、flow cell selectionをunlocked にしておくと、procedure 実行時に flow cell pairs (1, 2)、(3, 4)、(5, 6)の選択が可能となります。
Figure 11:Biacore™ 1Kにおけるフローセルの選択
(A) flow cell pair (1, 2)でflow cell selectionをunlocked にしてprocedure作成
(B) procedure 実行時に flow cell pairs (1, 2)、(3, 4)、(5, 6)の選択が可能
Inject and elute
- Biacore™ 1K+およびBiacore™ 1S+において、Biacore™ Insight Control softwareの標準機能としてInject and elute(アナライト回収機能)コマンドが選択できます。
- Inject and eluteコマンドを使用したBiacore™ 1K+およびBiacore™ 1S+の測定データについて、Biacore™ Insight Evaluation softwareではSensorgramやPlotのアイテムによる評価ができます。Inject and recoverコマンドを使用したBiacore™ T200測定データについても同様です。
Figure 12
Biacore™ Insight Software Ver.6 の細かな新機能に関してご案内しました。本ソフトウェアは無償でアップグレードできますので、是非最新Versionをご活用ください。