Cytiva

検索のヘルプ

Location:Home実験手法別製品・技術情報2D DIGE(蛍光標識二次元発現差異解析)

DIGE道場看板

DIGE 道場 第7回
IPGゲルの平衡化から二次元目への添加まで

第7回 もくじ

  1. はじめに
  2. IPGゲルの室温化 (本ページ)
  3. 平衡化のポイント -温度以外-
  4. アガロースの重層
  5. IPGゲルの添加
  6. 最後に

Dr. 近藤のコラム
→コラム第7回 「名人芸お断り」

2. IPGゲルの室温化

24 cmのIPGゲルの場合、細胞の培養に使う直径10 ㎝のプラスチックシャーレが保存にはちょうどよい。長いストリップをピンセットつまんでくるりと丸めながらシャーレに入れてー80℃で保存しておく。ゲル面を内側に。慣れればピンセット一本でできるようになる。

図1

図1 シャーレに入ったIPGゲル

見えにくいのだが、シャーレの内側、側面にIPGゲルがへばりついている。


引き続きIPGゲルはシャーレにいれたまま遮光して室温に1時間放置する。1時間は超えないようにしている。このステップは必須である。また、このときシャーレは1枚1枚個別に設置するようにする。重ねて室温においても真ん中付近のシャーレはなかなか暖まらないことがある。

図2

図2 遮光用の暗箱にシャーレを入れたところ

1枚1枚個別に置くようにしている。右側のシャーレは少し前に室温に戻したので霜が溶けている。溶けたらすぐに平衡化を開始できるように平衡化バッファーを準備しておく。


次に平衡化バッファー(A)(室温)を20 ml入れる。CyDye™ DIGE Fluor Saturation Labelling Dyeの場合は20分振とうする。CyDye™ DIGE Fluor Minimal Labelling Dyeの場合は途中で平衡化バッファー(B)に変え、20分振とうする(Aで20分、Bで20分、計2回行う)。平衡化バッファーの組成は下記の通り。12本分の量である。

【平衡化バッファー(A) 組成】

ウレア 90 g
1.5M Tris-HCl pH 8.8 17 ml
87% Glycerol 87 ml
10%SDS 25 ml
超純水で250 mにする。ウレアによる吸熱反応を乗り越えて完全に室温にするために、朝から午後2時ぐらいまでかけて攪拌を続ける。使用直前にDTT(1.25 g)を加える。

【平衡化バッファー(B) 組成】

上記、平衡化バッファー(A)のDTT(1.25g)の代わりに、ヨードアセトアミドを4.5%となるよう加える。

まとめて作って分注することはしていない。そうしていた時期もあったのだが、溶かすのに結局時間がかかるため止めた。

使用している試薬とメーカー
試薬 メーカー コード番号
尿素、EP-MB grade ロシュ・ダイアグノスティックス 11-685-899-001
Glycerol, 87% Cytiva 17132501
ゲルキャスティングバッファー 1.5 M Tris-HCl pH 8.8 バイオラッド 161-0798
Sodium Dodecylsulfate 和光純薬工業 191-07145

平衡化の操作

図3

図3 平衡化バッファーを入れているところ

図4

図4 平衡化バッファーを捨てるところ

捨てる時はデカントで。IPGゲルの本数が多いと、平衡化バッファーを入れたり捨てたりするタイミングで、たとえば1本目と12本目で時間差が発生する。この時間差をできるだけ少なくするために操作は素早く行う。

図5

図5 泳動バッファーを使った洗浄

その後、二次元目の電気泳動用のバッファーで軽く洗って余分な平衡化バッファーを除く。プラスチックの筒(Equilibration Tube Set、12セット、コード番号:80646779 Cytiva社)に泳動バッファーを入れて、その中でIPGゲルを上下させる。


ブロッティングろ紙(ワットマン 3MM Chr、Cytiva社にて販売)の上にドライストリップを置く。ゲル面は上にする。このステップはとくに遮光していない。遮光した方がいいかもしれないが実験が大変になるので省略している。特に問題はないようである。12本ある場合は12本のIPGゲルが並ぶことになる。

図6

図6 ブロッティングろ紙による乾燥

洗ったあとはろ紙の上で乾燥。過乾燥にはなかなかならない。

これで準備完了。この状態から二次元目のゲルにIPGゲルを載せていく。

その前にトラブルを防ぐ工夫について、次項「平衡化のポイント-温度以外-」で述べる。

次へ 平衡化のポイント -温度以外-

このページのトップに戻る

DIGE道場トップページへ


お問合せフォーム

※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。